コラム
販促・集客
雨の日の売上・集客ピンチをチャンスに変える店舗施策!
目次
小売店では雨の日になると客数が減り、売上が減少してしまうことがあります。とはいえ、売上や集客の減少はできるだけカバーしたいですよね。ここでは、雨の日だからこそできる店舗の施策を紹介します。施策の結果、お客様に「雨の日はこの店に買い物に行こう!」と思ってもらえれば、雨の日の集客ピンチをチャンスに変えることもできるでしょう。
雨の日にスイカが売れない理由は?
雨の多い季節と言えば、梅雨時の6月~7月をイメージされる方も多いでしょう。7月の果物売場の主役は、年間で最も売れるシーズンを迎える「スイカ」。平台に氷を敷き詰め、大量のカットスイカやサイコロカットされたパック入りスイカを販売する店舗なども多くなります。
この時期のスイカは果物部門の売上でも上位を占めていますが、雨が降ると急激に販売数量が減ってしまいます。私自身がスーパーに勤めていた頃は、晴れの日に1日50切れ程度売れていたカットスイカが、雨の日では1桁まで減ってしまうこともありました。こうなると、果物部門の雨の日の売上は完全に目標未達になってしまいます。
売場に売れないカットスイカを並べているとロスになるので、代わりに並べる商品を探すわけですが、私の経験上、雨の日でも比較的売れる果物は「バナナ」と「りんご」でした。バナナは気温に関係なく売れる人気商品ですが、雨が降ると気温が下がるのでスイカのさっぱりとした甘味よりも、バナナのねっとりとした甘さが好まれるのかもしれません。りんごも人気商品であることはもちろん、サイズが小さいので荷物を少なくしたい雨の日の買い物に好まれているようです。スイカについて振り返っても、雨の日にはカットスイカよりサイコロ状のパック入りスイカのほうが、サイズもコンパクトなため比較的売れ行きが良くなります。
このように、雨の日にスイカが売れない理由は「気温の低い雨の日に食べたくない」「雨の日にサイズが大きくて重たいものを買いたくない」というお客様の心理があると考えられます。つまり、雨の日にはそうした心理をクリアにする品揃えを行うことで、売上の減少をカバーすることが期待できます。
雨の日に売れなくなる商品と対策
スイカの例から考えられるように、雨の日に売れなくなる商品の特徴は2種類あり、ひとつは「気温の影響を受けるもの」、もうひとつは持ち運びに影響する「大きさや重さ」になります。スイカと同じ青果売場であれば、雨が降るとサラダ関連の野菜の売れ行きが鈍るので、かぼちゃや人参など、煮物に使う野菜を中心とした売場づくりをすると良いでしょう。また、サイズの大きな商品であるキャベツや大根などは動きが鈍くなりますので、ピーマンなどのサイズの小さな商品を売り込むのも効果的です。
ほかにも、鮮魚売場であれば刺身、食品売場であれば牛乳、豆腐、ビール、アイスクリームなど、気温が高いときに食べたい商品の売れ行きが鈍ります。また、飲料のケース売りや米などの重たい商品の売れ行きも同様です。雑貨類であればトイレットペーパーやティッシュペーパーなど、雨に濡らしたくなく、かさ張るものはなかなか売れなくなってしまいます。
これらの、雨が降ると動きが鈍くなる商品は、事前の天気予報を見て発注量を減らしてロスを出さないようにすることと、スイカの例のように「雨の日に強い商品を売り込んでカバーする」ことが大切になります。刺身の代わりとしては、焼き魚や煮魚に使える「切り身」、調理済の「焼き魚」「魚フライ」「煮魚」を積極的に販売することも効果的ですし、雨の日には素材よりもすぐに食べられる食材が好まれるので、「惣菜」「弁当」「調理パン」などの売場を広げて販売することも良いでしょう。また、青果売場やデイリーの売場では、サラダや冷やし中華などの冷たいメニューの提案だけでなく、煮物などの提案を追加することも効果的です。
トイレットペーパーやティッシュペーパーなどは、雨の日は売れ行きが鈍りやすいですが、同じ雑貨カテゴリーであれば「雨傘」などの雨具は良く動きますので、雨の季節にはしっかりと在庫をもって、雨が降ると同時に店舗入口付近でしっかりと売り込みを図りましょう。
雨の日にできるさらなる売上アップ施策
色々と品揃え面での対策をご紹介しましたが、それだけでは多少の売上減少をカバーすることができても効果は限定的になります。より効果を上げるためには更なる工夫や雨の日対策が必要です。
例①.雨の日限定のポイントサービスやタイムセール
まず、欠かせないのが「雨の日サービス」です。雨の日にわざわざお越しいただいたお客様への感謝の気持ちということで「ポイントサービス」をする店舗も時折見かけます。ポイント以外の方法でも、各部門で積極的にタイムサービスを行う「雨の日タイムサービス」や、一定のお買い上げ金額に対して卵が1パック安く買えるような「雨の日の卵お買い得サービス」なども考えられます。
事前の準備が必要になりますが、しっかりと取り組んで定着すれば、「雨の日はこの店に買い物に行こう!」と思ってもらえる店づくりにつながります。雨の日のタイムサービスの注意点は「コンパクトで重くないもの」を商品に選ぶことです。動きが鈍いからといって、キャベツなどをタイムサービスにすると買上点数の減少につながりますので注意が必要です。
例②.雨の日限定のお弁当配達サービス
店舗の規模が小さく、人員に余裕があれば「雨の日のお弁当配達サービス」なども考えられます。朝から手の空いた従業員が、近隣の住居に惣菜や弁当を配達するサービスのポスティングを行えば、雨の中買い物に行きたくないお客様からの注文を受けることが可能になります。ポスティング件数を100件などに限定することで、エリアがまとまり配達しやすくなりますし、回数を重ねることで「ポスティング100枚あたり10件の注文が取れる」などの傾向が掴めてきますので、ポスティング枚数で注文数をコントロールすることが可能になります。
まとめ
雨が降ると客数が減少し、売れる予定のものが売れなくなることも多いですが、逆に雨の日に売れる商品もありますし、雨の日だからこそできることもあります。雨の日の売上をアップさせるためには、お客様の志向や行動パターンを想定して対策を講じることが有効です。さらには雨の日サービスなどに取り組むことで「雨が降った日の一番店」になることができれば、お客様から「雨の日はこの店に買い物に行こう!」と思っていただける店になります。
雨が降ると苦戦するのは競合店も同じですし、一年間の売上は晴れの日と雨の日の合計です。雨の日の集客でライバルに勝つことで、地域内における「雨の日の売上シェア」を高めることができれば、年間での売上向上にもつながりますので、雨の日に利用したくなる店づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。
執筆者:株式会社ユーミックプロデュース 渡貫 久
中小企業診断士として、経営全般の相談や中長期経営計画の策定支援を専門分野に経営支援を行う。食料品小売業の経験が長いことから、食品系のマーケティング・販売促進・販路開拓・商品開発が得意分野。2006年から現在まで、公的機関や大学、民間企業において「マーチャンダイジング」「情報化」「ビジネスプラン作成」「商圏分析」「営業管理者研修」等の研修講師を務める。共著に『小売業のための利益改善&能力開発チェックリスト1000』がある。
【Shufoo! メディアビジネス部 柴田 由香梨 からひとこと】
店舗独自の取り組みを行う際は、お店側が情報を発信し、来店前のお客様に知ってもらうことが重要です。雨の日サービスなど、直ぐに紙チラシでお知らせすることが難しい状況であれば、デジタルで販促を行うのも1つの手段です。
Shufoo!の「基本プラン」には、写真を撮ってその場で投稿できる「タイムライン」という機能があります。近隣の方に雨の日だからこそのお得な情報をリアルタイムに発信し、「雨の日はこの店に買い物に行こう!」とイメージづけをするのはいかがでしょうか?
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