2019年08月16日

販促・集客 ニューファミリー層への販促は「価格コンシャス」が鍵になる!

小売業の販促においても、2019年10月の消費税増税に向けていよいよカウントダウンが始まりました。
8月の第1週にチェックしたショッピングセンターの入り口近くのディスプレイでは、「ニューファミリー層」「ヤングファミリー層」に向けた「家具」「ジュエリー」のクロス販売で、「8%→10%」「増税前マストバイ!」とパネルで大書されていました。
今後は、軽減税率対象外の住関品、アパレル、酒等と共に食品も含めた「ニューファミリー層」に向けた「価格コンシャス」の訴求が多くなってきます。

1.ニューファミリー層の定義とは

まずは、ニューファミリー層とは改めて何でしょうか?

古くは、1970年代半ば、第1次ベビーブーム以降に生まれた団塊の世代の夫婦と子どもたちが構成する家庭のことを指しました。
具体的には、当時の広告代理店などではニューファミリー層を、「マイホームを持ち、ファッションや趣味等に敏感で、『友達夫婦』『友達親子』のような親子のへだてがない家庭」という設定でとらえていました。
その後、1990年代半ばでも使われており、一般的には「20代後半~40代前半の共働き夫婦と小学生以下の子ども」の家庭を指すと考えられていました。

今、日本の「晩婚化」「少子化」の影響を考慮するのであれば、「ニューファミリー層」「ヤングファミリー層」は、「20代~50代夫婦と子ども」の家庭と幅広く定義して、中心を30~40代」とするのがよろしいかもしれません。

1990年代の半ばまでは「食品」「住関品」カテゴリーで圧倒的に業績が良かったスーパーマーケットも、2000年頃から団塊ジュニアが子育てに入る時期に状況が変化してきました。
今のニューファミリー層の購入行動は、より一層デジタル化が進行しています。結果として、

(1)新聞の購読率が下がり、チラシ情報だけではリーチできない

(2)食品・住関品の購入をスーパーマーケット以外の
   Eコマース、ドラッグストア、コンビニエンスストア等で使い分ける

(3)自社内のID-POSなどを分析しても異業種への流出の実態が把握できない

等の販促・マーケティング上の問題が出てきました。

2.価格コンシャスの傾向は引き続き続いている

では、「価格コンシャス」とは、どんな意味なのでしょう?「コンシャス」の意味は、「意識的な」「意識しているさま」「気付いているさま」です。

語義通りであれば「意識的な価格」、つまり消費者が「買いやすい価格」といったところでしょう。上で説明した「ニューファミリー層」を中心に、お金のない若い人たちの中では「価格コンシャス」支持の傾向は続いています。

直近の小売業で話題の店舗の一つは、2019年3月22日にオープンした「ヤオコー久喜菖蒲店」です。オープンから9年~10年経過した2つの大型ショッピングセンターのど真ん中の激戦エリアに出店して、業界では今後の動向が注目を集めています。

ヤオコーでは、このヤオコー久喜菖蒲店を「新たな旗艦店へのチャレンジ」と位置づけて、「ヤングファミリー層の取り込み」を方針に挙げています。
具体策の一つは「価格対応と簡単調理」です。ヤングファミリー層の特性・ニーズを踏まえた、「価格対応」「簡便・時短の充実」「冷凍商品・大量目対応」をコンセプトに挙げています。10月からの増税により節約志向の強まりが予想される中、「価格重視」の若い層に向けたアプローチがされています。

そこで、次に「簡便・時短」アイテムで、各企業が積極的に押し出している「ミールキット」のトレンドをチェックしてみましょう。

3.GMS・スーパーマーケットの「料理キット」「ミールキット」のトレンド

「ミールキット」は、カット・下ごしらえされた生鮮品や調味料などが人数分の材料とレシピが梱包されたアイテムです。

アメリカでは2017年に大ブームとなり、2018年も前年比20%以上の成長が見られる注目商品です。最近、GMSやスーパーマーケットでは、生鮮品の冷蔵ケースのコーナー化やデリカコーナーとのクロス販売されているのを見るようになりましたね。

イオン

2018年3月から、野菜ベースでフライパン調理の2人前調理キット「トップバリュ まるごと献立キットCooKit」が発売されて順調に販売を伸ばしています。

今回は、その新メニューをチェックしてきました。青果コーナーのカット野菜などの横で展開されていたアイテムは、「彩り野菜と鶏肉のカシューナッツ炒め(880円)」「マイルドな辛さ 彩り野菜のキーマカレー(680円)」「オイスターソース風味が香る青椒肉絲(880円)」「りんご酢のまろやかな酸味 酢豚(880円)」「ピリ辛キムチ風味 豚肉とキャベツ炒め(498円)」「4種野菜ときのこが入った四川風麻婆豆腐(880円)」「パクチー香るえびと春雨のタイ風炒め(880円)」等でした。それぞれ、材料は全てカットされ下ごしらえも済んでおり、付属の調味料と一緒にフライパンで加熱調理するだけです。  

多段ケースの下段で展開していた「鶏肉のカシューナッツ炒め」の作り方を見ると、にんじんを電子レンジで加熱したあと、フライパンで具材を炒めるだけ。調理時間は10~15分でした。

ヤオコー

ヤオコーでは、「『1STEPMENU』は、買ってきたらそのまま火を通すだけ!」と称し、「ヤオコーの新規開発商品 レンジで簡単!フィッシュデリ」が平台にて展開されていました。

今回は、「レンジで簡単!フィッシュデリ」のアイテムをチェックしてみます。
「まぐろハンバーグと焼き野菜セット(298円)」「鮭と野菜のバジル焼き(398円)」「かれいの黒酢あんかけ(398円)」「えびとブロッコリーのチリソース(398円)」「まぐろのブラウンシチュー(398円)」「えびとあさりのチャウダー(398円)」等が品揃えです。
「レンジで簡単! フィッシュデリ」は、レンジ調理でありながら、「手作り感」があります。  

また農林水産省の食料需給データによると魚介類の1人1年当たりの消費量は、2016年度は24.6㎏/人でした。(※)2001年のピークと比べると-38.8%となり、それ以降も「魚離れ」に歯止めがかかっていません。売上不振の鮮魚部門に、レンジアイテムの新カテゴリーの創出によって、売上のプラスオンが期待できます。
※水産庁「平成29年度 水産白書」より http://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/h29_h/trend/1/t1_2_4_2.html

クイーンズ伊勢丹

クイーンズ伊勢丹でも、簡便ニーズに応えるためOisixのミールキット「KitOisix」が展開していました。
今年の2月の売場では、平台にて「レシピつき献立キット KitOisix」のパネルが設置され、「続・深夜食堂の味 飯島さん焼肉定食1袋2人前(1,480円)」「ぜんぶのせ!チーズソースハンバーグ1袋2人前 (1,480円)」「包丁いらず!豚そぼろのチャプチェ風1袋2人前(990円)」等が品揃えです。

まとめ
~ニューファミリー層への販促キーワードは「簡便メニュー」と「ミールキット」~

1)10月には消費税増税も控え、小売業は、特に「ニューファミリー層・ヤングファミリー層」への販促・MDを強化が重要となります。
それは、「価格コンシャス」をメインにして、簡便・時短・量頃感を付加価値としたアイテムの販促・MDが強化されます。

2)特にスーパーマーケットは、今後はメインターゲットのシニア層から、デジタルリテラシーの高いニューファミリー層のシフトが求められます。
彼らの特徴である「新聞購読率が低いためチラシでアプローチができない」「異業種への使い分けをする購入パターン」に対して新たなアプローチが課題となるでしょう。

3)リアル店舗の「ミールキット」は、まだまだ発展途上で、これからのアイテムと考えられます。「ミールキット」は簡便・時短の要素だけではなく、主婦のデリカや冷凍食品等をそのまま食卓に出すと、家族から「手抜き」と見られることの悩みを解消する側面もあります。

※記事中の価格や製品名は取材時のものです。 最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。


<著者>
株式会社マーケティングラボ 代表取締役 中村 仁
東証一部上場スーパーマーケット勤務後にコンサルタント活動開始。2007年株式会社マーケティングラボ 代表取締役に就任。GMS・SM・メーカー等の「マーケティング」や公的機関の「派遣事業」等を中心に常に「リアル」「現場」に基づいた情報を提供。

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