コラム 販促・集客
【事例付】ホスピタリティを体感できる”新セルフ販売”を目指そう!

2020年08月31日
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前編では、インターネットの普及により、生活者の消費スタイルの変化がもたらされ、デジタルネイティブ世代が新セルフ販売を求めていることを説明しました。今回は、セルフサービスと人的サービスを組み合わせた”新セルフ販売”の事例をいくつかご紹介します。

執筆者:山中コンサルティングオフィス代表 山中 健
大手百貨店、外資系ブランド、大手経営コンサルタント会社を経て、コンサルタントとして独立。ファッションビジネス、百貨店、SC(ショッピングセンター)業界などにおいて、マーケティングやMD、リテールのコンサルティングを手掛ける。

アディダス、ブーツ……新セルフ販売に取り組む海外事例

まず最初に、海外の事例をご紹介します。

アディダスの新旗艦店「LDN」

セルフを基本としながら、ホスピタリティ溢れるソリューション力(問題解決力)をもつ販売スタイルを実現しているのが、アディダスが2019年10月にロンドンに出店した大型旗艦店「LDN」。

「フィジタル(フィジカル+デジタル)」、「サステナブル(持続可能)」といった小売業のトレンドワードを詰め込んだような店舗です。セルフ販売を基本としながらも、スマートフォンアプリを使用することで、商品の在庫状況を確認したり、試着したいサイズを要求したり、アプリ内でそのまま購入することができます。
デジタルサイネージで囲まれた空間での記念撮影、自由に使える卓球台などの遊戯スペース、カスタマイズのワークショップ、ランニングラボ、スニーカークリーニング、オンライン購入商品の店頭受け取り、店頭購入商品を自宅やホテルへ配達するサービスなど、解決策をメニュー化して掲示し、豊かな気持ちで過ごせるサービスカウンターなどを用意しています。

イギリスを代表するドラッグストア「Boots(ブーツ)」

「Boots(ブーツ)」がロンドン・コベントガーデンに開いた新コンセプトの旗艦店は”ウェルネス”をテーマに設定。専門家のアドバイスが受けられるだけではなく、水分補給ができるスポットがあったり、軽食が食べられるイノセントバーを設けました。
オープン記念の際には、ヨガレッスン、ヘアカラーの相談など通常のドラッグストアにはない体験イベントが企画されていました。

ルイ・ヴィトンの傘下、化粧品・香水の専門店「Sephora(セフォラ)」

早くから化粧品のHow to動画を配信してきたセフォラは、サンフランシスコの店などで美容ワークショップのスペースを設けました。
消費者がチュートリアル動画を見たり、セフォラのスタッフからメイクアップのレッスンを受けたりすることができます。

欧米での新セルフ販売の傾向

欧米でのセルフ業態の進化系で共通しているのは、テーマや哲学が一目でわかる空間作りです。サステナブル(持続可能)やウェルネスがベースでありながら、それぞれの企業メッセージが伝わります。

ワコール、ジンズ……繊細な購買心理に寄り添った日本の新セルフ販売事例

一方、日本での現状はどうでしょうか。日本はデジタルテクノロジーを駆使して新セルフ販売を提供している事例が多いようです。「恥ずかしい」「知られたくない」「傷つきやすい」というデリケートな心理に寄り添い、人的なサービスをデジタルによるセルフサービスに置き換えているのが特徴です。

ワコールのストレスフリーなインナーウェア体験

ランジェリーのフィッティングというデリケートな接客を、デジタルテクノロジーによりセルフで体験できます。デリケートな体のサイズを3Dボディスキャナーで計測、タブレットを使用して、計測した体型のデータの詳細を見ることができます。また、AI(人工知能)キャラクターから最適な商品の提案も受けられます。さらに、希望に応じて販売スタッフに提案を求めることもできます。

セルフで買っている多くの女性が間違ったサイズのランジェリーを身につけていると言われていますが、他人に自分のサイズを計測されたくない、そして知られたくない人は多いでしょう。その繊細な気持ちに沿ったソリューションと言えます。

次世代型ショールーミング店舗「JINS BRAIN Lab.(ジンズ・ブレイン・ラボ)」

眼鏡店JINS(ジンズ)の取り組みもユニークです。東京・上野のエキュートの中にある「JINS BRAIN Lab.(ジンズ・ブレイン・ラボ)」では、デジタルミラーで”ある”悩みを解決できます。
眼鏡をかけてデジタルミラーの前に立つと、「男性目線」「女性目線」の2つの評価結果がミラーに表示されるのです。眼鏡店の販売スタッフは、どの眼鏡が似合うかをはっきり言ってくれないもの。そのような眼鏡の試着体験での悩みを解決してくれるサービスです。

マクドナルドのモバイルオーダー

アプリで事前オーダーができ、店内で食事の際には席まで届けてくれるサービスを提供。ファストフードでありながら、ファミリーレストランのようなサービスを受けることができます。

このように対面接客を基本とする業態が挑む新セルフ販売は、デリケートな日本人の購買心理に寄り添ったものが多いようです。一方、もともとセルフ販売を基本としてきた業態は、ワンランク上のサービスを提供しています。

まとめ

いくつかの事例を紹介しましたが、新セルフ販売の特徴は”セルフ販売であっても豊かな気持ちになれる”という点が共通しているようです。安いからセルフ、だからお客さまにも我慢してもらうというのが従来の考え方でした。しかし、購買段階における「悩み解決」以外は、クィックかつスマート、そして豊かに買い物ができるような販売スタイルに支持が集まるでしょう。

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