コラム 販促・集客
【色彩心理】色彩心理に基づいた店内でのかしこい色の取り入れ方

2020年09月08日
※掲載内容は公開日時点の情報です。現在と異なる場合がございます。
このエントリーをはてなブックマークに追加
色彩心理 売りづらいための心理学 色がお客様に与える影響とは?

シリーズ「売りづらい時代のための色彩心理! 色がお客様に与える影響とは?」 前回は、色と立地、コンセプト、ターゲットの4つのバランスを取った外観、店舗作りを紹介しました。今回は色彩心理も踏まえて色を店内(内装やPOPなど)で使うときに注意すべきポイントを、外観との違いとともに説明していきます。

色彩心理に基づいた、外観と店内における注意すべきポイントの違い

まずは、外観と店内で注意すべきポイントの違いを2つ紹介します。

お客様に影響を与える役割

外観と店内では、お客様に影響を与える「役割」が異なります。店舗の外観の役割は、お客様に注目してもらうこと。いかに多くの人の目を引くかどうかが大事です。
一方で店内の役割は、お客様に行動してもらうこと。店内におけるお客様の行動とは、商品の購入です。1点でも多く商品を買ってもらえるかが重要になります。 つまり、店内ではお客様が商品の購入に至ることを想定して、買いたい気持ちを高める色を使うことが必要です。

コンセプトの解釈が異なる

店舗として重要な「コンセプト」ですが、外観と店内では解釈が異なる場合もあります。共通したコンセプトを持ちながら、店内においては「購入」を促すより具体的な解釈が必要となります。
例えば、スターバックスコーヒー。看板は緑色のロゴですが、店内はそのまま緑色を使っているわけではありません。スターバックスコーヒーのコンセプトは、「サードプレイス(第3の場所)」。つまり「家庭(第1の場所)でもなく、職場(第2の場所)でもない、第3の空間を提供していく」というもの。
看板の緑色の「癒し」イメージをそのままに、店内では「お客様には、ゆっくりとくつろいでもらい、居心地の良い空間作りを提供しながら、コーヒー文化を伝えていく」という解釈をし、それぞれの店舗で内装の色を工夫しています。例えば、東京のオフィス街では黒色の内装が多く、地方の病院に併設されている内装はやさしいベージュ系が多く使用されていたりします。

成功事例から見る店内におけるポイントを確認

厳密に言うと、色を見たお客様の様子や反応の色彩心理は「お客様の心、感情の動き」までです。実際の行動、購入するかどうかの動きは行動心理が関係します。色彩心理、行動心理を加味したお客様の消費行動は「外観の色に注目して店内に入り、内装や空間の色を見ながら、あれもこれも欲しくなり購入する」という一連の流れになります。
そして先述の通り、店内に至ったお客様は「購入」という行動に変わりますので、色の影響はそのまま顧客単価、リピート率の具体的な数値に反映されます。それでは、店内に色を上手に取り入れて成功した事例を紹介します。

POPの色とコンセプトのバランスで明暗が分かれた小売店

筆者は、ある小売店の経営者からお客様のクレームが続発していることを相談されました。話を聞くと、黄色の幟(のぼり)やPOPを使ったことでクレームがあったとのこと。しかも、競合他社と同じ価格であるにも関わらず、10人以上の60代前後の女性客から「(この商品が)高い」と言われ、打開策が見当たらないというものでした。
またある別の小売店では黄色のPOPを使用して、お客様から「店員の態度が悪い」とよくお叱りを受けるとのこと。経営者が店頭で何度チェックしても、店員はごく普通に接しており、首を傾げたという話がありました。
黄色は「安価」を表すイメージも含んでいるだけに、お客様は思った以上に安くないと本当に安いと感じないもので、他社と同じ価格では安さを実感しなかったということではないでしょうか。 また、黄色の「親しみやすい」イメージによりお客様は店員に親しみを抱くため、ごく普通の接客では「思ったより少しも親切ではない」「冷たい」とさえ感じてしまったと考えられます。

黄色は思った以上に安くないと本当に「安い」と感じない

では、黄色を使って成功している店舗ではどうでしょうか。
筆者の友人のコーヒー豆の小売店では、POPに黄色を使っていますが、クレームは発生していません。
店内の内装は「親しみやすい」黄色系のベージュの壁。ターゲットである30代、40代の女性を細かくチェックし、「安く」感じる納得の価格に設定しています。この店で販売しているコーヒー豆は近所のスーパーのものと比べて高値ですが、自家焙煎のコーヒーで品質のこだわりを謳い、「それでも安い」と感じる価格にしたのです。つまり、ただ単純に安いわけではなく、付加価値がついて「安い」価格を黄色で表現しました。また、「ほっぺたが落ちる〇〇コーヒー」と女性がクスッと笑うフレーズを入れ、好感度を上げたのも黄色の「親しみやすさ」と合ったと思われます。

店舗のコンセプトは「自分にもご褒美。至福のひと時を一杯のコーヒーでどうぞ」。これを店内では黄色の「親しみやすい」イメージをそのままに「一人でも多くのお客様とコミュニケーションをとりながら、コーヒーを飲む習慣を作ってもらいたい」と解釈。そしてこのお店では、世間話をしてくれる人柄の良い店主に一杯200円で淹れ方を教わりながらその場でコーヒーを飲むこともできました。こうした色と掛け合わせた取り組みで見事に女性心を掴み、リピート率の高さが顕著に表れました。
黄色の「安価」「親しみやすい」が全て悪い影響を与えるのではなく、要は使い方次第と言えます。

黄色のPOPを使ったコーヒー豆店

内壁の赤色を減らしたけで顧客単価が10%UP!クレーム続出店から繁盛店に変わった居酒屋

一方、日本での現状はどうでしょうか。日本はデジタルテクノロジーを駆使して新セルフ販売を提供している事例が多いようです。「恥ずかしい」「知られたくない」「傷つきやすい」というデリケートな心理に寄り添い、人的なサービスをデジタルによるセルフサービスに置き換えているのが特徴です。

次の事例はお客様からのクレームが続出していた居酒屋。クレームを受けた度に改善をしても、一向にクレームは減らず客足も遠のいたとのこと。クレームが多発する原因のひとつは、店内の内装が全体的に赤であったことでした。
赤は分量が多くなればなるほど、それを見たお客様の反応が「カッとなってイライラ」してしまい攻撃的になります。そのため「購入」よりも、クレームが勝ってしまった状況です。
改善するために、まず、この居酒屋にはコンセプトが無かったので、店内コンセプトを決めるところからはじめました。
そこで「お客様がお腹いっぱい食べて、幸せをもって帰って欲しい」というコンセプトに決まりました。このコンセプトに決めた理由は、「お客様が満足して食べていない」「店側も食べ物に愛がなかった」ことがクレームの原因のひとつにあったのではないかと解釈したからです。 ターゲットは変わらずに、平日の夜は30代~50代の男性、土日はファミリー層。外観は以前から変えずに黒色のままですが、内装は白色をベースにして赤色を減らし黒色をアクセントに、男性客を考慮して和モダンのデザインも取り入れました。色の配分はだいたい、白6:赤3:黒1の割合です。

0908画像3
攻撃的に見られがちな色、赤色の分量を減らして改装した居酒屋

こうした改善により、これまでさっと食べて出て行く男性客が多かったのですが、「もう1品食べようか」というお客様が増え、結果的に顧客単価が10%アップ。 土日のファミリー客も、「あれもこれも食べたい」という声が多くあがりました。これはお店をリピートする行動心理に繋がります。店内のコンセプトを定め内装の赤色の分量を変えることで、顧客単価、リピート率の高い繁盛店へと変わりました。

まとめ

店舗の外観と店内では、外観の「お客様に注目してもらうこと」と店内の「お客様に行動(購入)してもらうこと」という役割の違いがあります。特に、店内は購入を促すコンセプトの具体的な解釈が不可欠で、色はコンセプトの解釈をを手助けする役割を果たしします。お客様の色を見た様子や反応を見て、配色の改善を行うことで、顧客単価やリピート率の上昇が期待できそうです。

執筆者:株式会社ローズ・ウェッジ 代表取締役 うえた さより
集客の心理的アプローチ、科学性のある新しい売り方が特徴の経営コンサルタント。「経営者のための会社の競争力を高める集客戦略」というコンサルティングテーマをもち、指導している。リーマン・ショックから売上が上がったログハウスの会社、公共事業激減から10年右肩上がりの建設会社、過疎地に進出しグループ企業内顧客単価第1位になったスーパーなど危機的状況を救う。「色」「女性目線」をキーワードにした経営、マーケティングのセミナー、講演、コラム執筆、テレビ出演多数。

【色彩シリーズ】
第1回 売りづらい時代のための色彩心理! 色がお客様に与える影響とは?
第2回 色彩心理に基づいた店内でのかしこい色の取り入れ方
第3回 売場づくりで気をつけたい相性の良い配色・悪い配色
第4回 明るい寒色系の空間は長居しやすい?お客様の滞在時間と色の関係
第5回 商品によって適切な店舗照明は変わる!購買意欲をアップさせる照明と商品の適切な組み合わせとは?
第6回 「目立つ店舗」=「集客ができる」は間違い!集客で色を活かす考え方

あなたに合った集客方法をご提案します

ページトップへ