コラム 販促・集客
子どもをターゲットとしたマーチャンダイジングで競合に差をつける方法とは?

2020年09月15日
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少子高齢社会により「これからの時代のターゲットは高齢者!」と考え、どこの店舗も同じような店づくりを行いがちです。

しかし、ターゲットとして忘れがちな「子ども」をよく観察すると、その後ろには「親」「祖父母」などの有望なターゲットが見え隠れしていないでしょうか?お客様を「ファミリー」として捉えれば、ファミリーの中における子どもの発言力は侮れないものがあります。つまり、店舗の集客力を上げるためには、地域に住む子どもを味方につけることも重要な要素になるのです。

執筆者
株式会社ユーミックプロデュース 渡貫 久

中小企業診断士として、経営全般の相談や中長期経営計画の策定支援を専門分野に経営支援を行う。食料品小売業の経験が長いことから、食品系のマーケティング・販売促進・販路開拓・商品開発が得意分野。2006年から現在まで、公的機関や大学、民間企業において「マーチャンダイジング」「情報化」「ビジネスプラン作成」「商圏分析」「営業管理者研修」等の研修講師を務める。共著に『小売業のための利益改善&能力開発チェックリスト1000』がある。


ターゲットが大人と子どもで異なる「お店の選定基準」

ターゲットを設定する際、”近所に住む高齢のお客様”、”仕事帰りに当店を利用するお客様”のように、「大人」をターゲットに想定することが多いです。

大人がターゲットの場合、下記の4つのポイントを重視します。

  • 価格
  • 来店にかかる時間
  • 駐車場の停めやすさ
  • ポイントカードの有無

一方、子どもをターゲットにした場合、大人の視点とは大きく異なります。例えば、大人の視点であれば重要な要素である「価格」「ポイントカードの有無」については、自分の財布で買い物をしない子どもにとっては関係ないですし、「来店にかかる時間」「駐車場の停めやすさ」なども、自分で車を運転しない子どもにとっては関係ない要素になります。
では、子どもが行きたいと思うお店はどのようなお店なのでしょうか?それは、「子ども自身が楽しい!」と感じるお店です。
キッズスペースを用意したり、キャラクターのカートを導入する等、工夫するポイントが考えられそうですが、マーチャンダイジングのポイントは何か?次の章でご紹介します。

子どもに選ばれるマーチャンダイジングのポイント

ここでは、スーパーマーケットで子どもをターゲットとしたマーチャンダイジングについて考えてみます。
スーパーマーケットで子供が関係する商品は「お菓子」「文具」などが考えられます。

子どもに好かれる『お菓子売り場』の改善案

お菓子売り場の品揃えを見直す場合、当然ですが子どもが好きな商品を品揃えすることが大切です。しかし、実際に品揃えを考えている小売業の担当者は大人であるため、品揃えは単純に今ある商品の中で「子どもに売れている商品」だけになってしまいがちです。その結果、競合店と類似した品揃えになってしまうことになります。
子供に好まれる売り場により競合店と差別化するためには「子どもの意見を聞く」「子どものいる親の意見を聞く」のがおすすめです。

調査方法としては、幼稚園グループ、小学校低学年グループなど、年齢でグルーピングした子どもモニターを募集し、スナック菓子・キャラクター菓子・チョコレート・駄菓子などの分類の中で、「どのお菓子が好きなのか?」を聞いてみると、子ども目線での品揃えが見えてきます。

同様に、子どもの年齢でグルーピングしたパパ・ママモニターを募集して、「子どもにどのお菓子を食べさせたいか?」を聞いてみると、子供を持つ親目線での品揃えがわかります。

なお、両者を比較すると、同じとはならないことも多々あります。例えば”駄菓子”については「子どもが好んでいたとしても、大人は好まない」といった結果が出てきます。また、本物そっくりなお寿司やお弁当のようなお菓子が自分で作れる”知育菓子”は、子どもは好んでいたとしても、大人は「価格が少し高いし、作るのが面倒くさい」といった意見が出てきます。

このような場合、あくまで子供の視点を優先しあえて子ども向けに駄菓子コーナーや知育菓子コーナーを充実させる方法もありますし、知育菓子は大人が面倒くさいのであれば「みんなで作る知育菓子教室」を開催するなどし、その面倒くささを軽減する施策を実施しても良いかもしれません。

『文房具売り場』の改善案

文房具はスーパーマーケットがあまり重視しない分野であるため、少し工夫すると子どもに好まれる品揃えが実現できます。

ファミリー層が利用する大型商業施設などの文房具売り場に行くと、子ども向けの文房具が充実していますので、それを参考にするほか、お菓子のときと同様に「子どもモニター」を活用する方法があります。

また、近隣の学校を訪問し、その学校が指定している文房具をヒアリングすることも有効です。学校によっては指定しているノートやペンがあります。学校が休みの期間は売店で購入できないので、スーパーマーケットに探しにくる子どもや親もいるのですが、学校指定の文房具は置いていない場合も多いようです。夏休みの宿題で良く使う「画用紙」や、新学期に持参する「ぞうきん」などもあると喜ばれます。

子どもが来店したくなるイベント企画

売り場の品揃えや売り場づくりといったマーチャンダイジングとは異なる、子どもに喜ばれる取り組みを、3点ご紹介します。

イベント時の似顔絵コンテスト

オーソドックスですが、母の日や敬老の日などの似顔絵コンテストは子どもが喜ぶことはもちろん、店舗に掲示することで、親や祖父母が絵を見るために来店する集客効果があります。

お店独自のイベントの実施

小さな子どもが一人でおつかいをするテレビ番組が人気ですが、これをスーパーマーケットの店内で実施している店舗があります。手間は掛かりますが、低コストで取り組めて話題性もある取り組みなのでおススメです。

社会科見学の実施

近隣の幼稚園や小学校の社会科見学を積極的に受け入れている店舗もあります。社会科見学をした子どもはそのスーパーマーケットが好きになり、親と一緒に行きたくなることが多いそうです。当然、親からの好感度も高くなりますし、子どもに見られることで、従業員の意識が高くなるといった効果もあります。

まとめ

小さな子どもであれば、自分の財布をもっていないので直接の顧客ターゲットとしては考えない場合も多いですが、実は家庭内での子どもの発言力は強いのです。特に少子化で子どもの数が減っている中、「子どもを大切に育てる=子どもの意見を取り入れる」傾向が強くなることが考えられます。「子どもを味方につける」「競合店と差別化する」ため、子どもの意見を取り入れ、子どもの目線で店舗の活性化に取り組んでみてはいかがでしょうか?

Shufoo! メディアビジネス部 柴田 由香梨 からひとこと

今までは6ポケット(両親2人とその祖父母の4人の財布から子どもや孫にお金をかけること)と言われていましたが、少子化や未婚女性の増加によって、自身の子を持たない叔父や叔母なども関わり、ポケットの数は増えていると言われています。
子どもが購入するわけではないものの、子どものためにと購入をする親・祖父母・叔父・叔母は増えているようです。是非、今回の記事を参考に売り場の改良を試してみてはいかがでしょうか?

また、改良した際には是非地元客にお伝えしましょう!せっかく新しい試みをしたのに気付かれないと勿体ないです。
Shufoo!ユーザーの約6割は子どものいる世帯になります。ファミリー集客をお考えの際には、Shufoo!への掲載もご検討ください。

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