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顧客属性とは?顧客属性を集客につなげるための分析方法3つ
店舗の売上を向上させるには、顧客ニーズに対応していくことが欠かせません。しかし店舗には毎日、何百人ものお客様が訪れることから、一人一人のニーズに対応することは難しいでしょう。
それを解決する手段が、顧客属性の活用です。顧客属性を活用して顧客をグループ化することで、対象を絞り込んだ効果的な施策を講じることができます。
ここでは、顧客属性の活用方法、分析方法をご紹介いたします。
目次
顧客属性とは?
顧客属性とは、顧客が持つプロフィールなどの固有の情報をカテゴリー化したものです。「名前」「性別」「生年月日」などの個人の性質や特性の情報のことを「属性データ」と呼びます。
【属性データ】
- 名前
- 性別
- 生年月日
- 住所
- 家族構成
- 趣味・嗜好
顧客属性は、顧客の特徴を把握して、店づくり、品揃え、販売促進などの施策を考えたり、実行したりすることに活用できます。小売業へのPOSレジなどの導入が進んだことで、顧客属性は以前より効率的に取得できるようになりました。それに比例して顧客分析の重要性は増しており、取り組み次第で業績が左右されるといっても過言ではありません。
ただし、顧客属性は個人情報を含むため、取扱いに十分注意する必要があります。不要なデータは収集しないようにし、取得したデータの情報管理は徹底する必要があります。個人情報の保護に関する法律にも目を通しておきましょう。
「属性データ」には「静的属性」と「動的属性」がある
「属性データ」を理解するために、「静的属性」と「動的属性」についても知っておきましょう。
「属性データ」は顧客が持つ固有のデータであり、日々変動するようなものではありませんが、長いスパンで見ると変化する要素があります。
変化のない属性を「静的属性」といい、変化する可能性のある属性を「動的属性」といいます。
【静的データ】変化のない属性
- 誕生日
- 性別
- 出身地
【動的データ】変化する可能性のある属性
- 氏名
- 現住所
- 職業
- 家族構成
- 趣味・嗜好
「名前」は一見「静的属性」のようですが、婚姻により変化することは珍しくありません。
「静的属性」は変化がないので、初めにデータを収集したときから更新する必要はありませんが、「動的属性」は変化する可能性があるので、データとして活用するのであれば定期的なメンテナンスが必要になります。
顧客属性を活用する意味とは
顧客属性を活用するメリットについてもう少し詳しく説明します。
1日にたくさんのお客様が来店する店舗の場合、一人一人のニーズを個別に把握することは現実的には不可能です。これを解決するには、顧客属性を整理し、例えば「近隣に居住するファミリー」「近隣に居住する単身男性」のような類似した特徴でまとめることが効果的です。顧客を属性ごとにグループ分けすることを「顧客セグメント」と呼びますが、このようにセグメントすることで、施策を効率的に実行できるわけです。
顧客属性を整理し、顧客セグメントを設定して、セグメントに合わせた対応策に取り組む。これが顧客属性を活用する大きな流れとなります。
実際に顧客属性を施策に活用するには、前述の「属性データ」に加えて「履歴データ」も欠かせません。「履歴データ」とは、POSレジの購買行動、予約情報、配達記録など、顧客の行動履歴によって日々変化し蓄積されるデータのことです。
属性データと履歴データを組み合わせることで、「1カ月間で○○という商品を購入した顧客セグメント」といったグループ化や、「○月○日○時に○○を購入したお客様」といった抽出も可能となります。こうすることで、新たな顧客セグメントを見つけ出し、そこに対する施策を検討していくのが実際の顧客属性の活用の流れです。属性データと履歴データの組み合わせこそ顧客属性を活用する肝になる、といっても過言ではないでしょう。
顧客属性の分析手法3つ
ここからは、顧客属性の具体的な分析手法について説明します。
RFM分析とは
RFM分析Recency(最終購買日)、Frequency(購入頻度)、Monetary(購入累計金額)の3つの視点で顧客をグループ分けして、分析する手法。
実際に顧客が店舗を利用した履歴データを活用することで、購買動向の特徴に基づいたグループ分けを行うことができ、その特徴に応じた施策を考えることができるのが特徴。
例えば「最近来店している」かつ「来店回数が多い」かつ「いままで多額に購入いただいた」グループの顧客を「優良顧客」として分類し、他の店に逃げられないような施策を講じることができます。
また「来店回数が多い」「いままで多額に購入いただいた」にも関わらず「最近来店していない」グループであれば、顧客の不満に繋がる何かがあったのかも知れないと推測されるので「不満顧客」として分類し、あらためて顧客にアプローチするような施策を講じることが可能です(この場合、多くは「引っ越ししていた」というケースが多いですが…)。
ただし、RFM分析は視点が3つあるので分析が難しいという弱点もあります。これを簡易にする方法として、RFMの内の2つだけを使用する「RF分析」や「FM分析」を行う方法もあります。私も実際に利用するときがありますが、「優良顧客」のほか、優良顧客に引き上げたい「準優良顧客」、「不満顧客」を見つけ出したりすることに活用できます。
デシル分析とは
デシル分析顧客の購入金額累計をもとにクラス分けする分析手法。
購入金額だけで顧客をグループ分けするので、比較的取り組みやすく、規模の大小問わずに活用できる手法。
具体的な方法としては、まず顧客の購入金額累計を調べ、金額が大きい順番に並べます。それを10等分して、金額の多い順に「デシル1」「デシル2」…とグループ分けしていきます。
10等分した各グループの売上構成比を調べると、例えば割合としては20%の「デシル1」「デシル2」のグループが売上の多くを占めている、といったことがわかると思います。そうすると売上により貢献しているグループはどのデシルなのかがわかるので、「優良顧客」「準優良顧客」などが明確になります。
「優良顧客」のグループがわかれば、他の店に逃げられないような施策を講じることができますし、「準優良顧客」がわかれば、「優良顧客」にランクアップさせるための施策を講じることができます。各デシルのグループに合わせた効率的な施策を講じることができるようになるのです。
セグメンテーション分析とは
セグメンテーション分析顧客の属性や特徴などを整理して、類似した特徴を持つ顧客をグループ化して分析する手法。
<代表的属性>
「人口統計学的属性」(性別、年齢、住所、職業…)
「心理的属性」(ライフスタイル、価値観、趣味・嗜好…)
「行動科学的属性」(利用頻度、購入日時、購入金額…)
これらの中から類似性を見つけ出し、それを指標として分析していく。
例えば「若い女性向けに化粧品のプロモーションを行いたい」という課題に対して、「年齢:20代」「性別:女性」「購入商品:類似ブランドの商品」「購入日時:1カ月以内」などのように、複数の属性を組み合わせて顧客をグループ化していきます。このグループは似た特性を持つグループなので、より顧客のニーズに近い施策を講じることができますし、施策によってどのような変化があったかを検証することも可能となります。
顧客属性の収集方法
1.会員登録
顧客属性を収集する方法としては、会員カードやポイントカードを導入してお客様に「会員登録」してもらうことが基本的な手段です。POSデータとも連動できれば分析をよりスムーズに進められます。
2.アンケート
「アンケート」を活用する方法も有効で、お客様のライフスタイルや価値観などの心理的属性を知ることもできます。また収集するデータ数は少なくなりますが、顧客から具体的な情報をダイレクトに聞く方法としては「モニター会議」などを開催してヒアリングする方法も有効です。
アンケートやモニター会議は規模の小さな店舗でも取り組みやすく、生の顧客の声を収集することは店舗改善にも極めて有効です。
3.接客
生の声を集めるという意味では、店頭での接客でも顧客属性を収集することができます。
例えばケーキ店であれば、誕生日ケーキの予約を受け取りにきた高齢のお客様と「お孫さんへのケーキですか?」「他にもお孫さんはいらっしゃるんですか?」といった会話をすることで孫の人数などがわかりますし、誕生月を知ることができるかもしれません。ケーキを予約いただいた注文リストにこういった情報も追加できれば、DMの発送などにも活用できます。
店舗の規模を問わず、工夫次第で顧客属性を活用した分析は可能なので、まずはしっかりと顧客属性を収集することが大切です。
顧客属性の施策への生かし方
ここからは、実際に顧客属性を活用した取り組み事例をご紹介しましょう。
「優良顧客」に対する取り組みの事例
RFM分析やデシル分析は、「優良顧客」「不満顧客」などのグループを把握しやすい分析方法です。例えば「優良顧客」に対しては、他の店に逃げられないための取り組みが必要になります。
優良顧客を優遇する施策例●ポイントを加算する
●優良顧客だけの販売会やイベントを開催する
●優良顧客だけの特別なサービスを提供する
→この店を続けて利用したくなるような施策を行うことが効果的
実際に筆者の元勤め先であるスーパーマーケットでも、優良顧客に誕生日プレゼント贈ったり顧客限定でコンサートを開催したりといった取り組みを行っていました。
また優遇するだけでなく、
- 優良顧客の好む品揃えを増やす
- 優良顧客が好むものをチラシの特売に採用する
といった施策もあります。
ある店舗で取り組んだ例をご紹介しましょう。その店では、価格訴求できる外国産の生鮮食品を特売商品にしたのですが、購買履歴を調べたところ優良顧客がほとんど購入していないことが判明しました。そのため次は優良顧客が購入している生鮮食品を調べ、国産で高価格の生鮮食品を特売に採用してみました。すると多くの優良顧客に購入してもらうことができ、アンケートでも高評価をもらうことができました。
こういった施策は明らかな優遇策ではないものの、優良顧客の方に喜ばれる基本的な取り組みといってもいいでしょう。
セグメンテーション分析を活用した取り組みの事例
次に、顧客の属性や特徴でグループ化するセグメンテーション分析の事例です。
クライアントからの「健康食品の新商品のテストマーケティングを行いたい」という要望に対し、下記のように複数の属性を組み合わせて、顧客をグルーピングしました。
年齢:20代
性別:女性
購入商品:効果の近い類似商品
購入日時:1カ月以内
そして、そのグループに商品をPRするDMを発送する施策を行いました。
DMには割引券を付け、どれだけの反応率があるのかを検証するとともに、属性の年齢を30代、40代に変更し、同じようにDMを発送して反応率を比較することで、どの年齢がメインターゲットになるのかを検証することができました。
アナログの顧客情報を活用した取り組みの事例
POSが導入されていなければ分析ができないというわけではありません。
筆者は過去に、高級衣類や雑貨類を扱う老舗店の指導をしたことがあります。その店では「購入日」「顧客名」「購入商品名」「購入金額」などをノートに丁寧に記録してはいましたが、データは十分には活用されず、購入金額の多い顧客にDMを送付するという施策しか実施していませんでした。
そのノートを見たところ
- 年間で数百万円の購入をしている顧客
- 年間で50~100万円程度購入している顧客
- 10~50万円程度購入している顧客
のように分類できそうだったので、データをエクセルに入力し直し、購入累計金額と最終購買日、購入頻度を整理しました。
そして、単純に購入累計金額が高い顧客だけにDMを送付するのではなく、
購入累計金額が高くても3か月以上来店していない顧客▶来店促進のためにDMを発送する
購入累計金額はほどほどだが来店頻度が増えている顧客▶お得意様限定販売会に招待する
といった施策を講じていきました。
そうすると実際に来店に繋がったり、お客様の上得意化が進んだりと、目に見える成果を出すことができました。
「Shufoo!」なら顧客属性の収集もできる
電子チラシサービスShufoo!(シュフー)の基本プランでは、チラシの配信を行いながら、顧客属性を把握することが可能です。チラシを閲覧したユーザーの年齢、性別、お住いの地域を把握することができるので、自店がどのようなお客様にチラシを見られているのか把握できます。
また、チラシを閲覧したユーザーに限定してアンケートを取ることが可能です。自店への来店の有無、来店頻度や、家族構成、趣味嗜好などアンケートならではの幅広い調査が可能です。アンケートはオプションメニューなので他のメニューと組み合わせることが必要ですが、興味のある方は是非資料をダウンロードしてご確認ください。
まとめ
顧客属性の活用方法、分析方法についてご紹介しました。
顧客属性のデータを収集することでさまざまな分析をすることができ、効果的な施策を講じることができます。POSデータなどを活用することで効果的な分析も可能となります。
最近では、顧客が情報を収集する方法としてインターネットを活用する場合も多くなっています。ネットの場合、顧客属性などのデータを収集することが容易な上、デジタルを活用した施策を検証することも可能です。顧客属性の活用は、分析して施策を検討することはもちろん、施策を実行した後の効果検証も重要です。
顧客情報を効果的に活用し、店舗の魅力向上、売上の向上に取り組みましょう。