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QRコード決済とは?導入を検討する店舗が知っておきたいことを徹底解説【2021年8月版】

2021年08月12日
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執筆者
取材の匠 渡邉奈月

取材の匠 渡邉奈月

中小企業診断士、情報処理技術者。通信事業者のマーケティング担当者、プロダクト・マネージャーを経て財務分析業務に従事。最前線でのWebマーケティングの知見を活かし、中堅・中小企業のマーケティング戦略から制作までワンストップで支援。全国の商工会・商工会議所、民間企業、金融機関、自治体にてセミナー、研修を行い、マーケティングやITの普及啓発に努める。

QRコード決済は、スマホを使った新しい決済方法ですが、すでに利用したことがある方も多いのではないでしょうか。

2018年のPayPayによる「100億円あげちゃうキャンペーン」や、消費税増税時のキャッシュレス・ポイント還元事業などをきっかけに急激に広まり、シェア1位のPayPay登録ユーザー数はすでに4,000万人を突破。(2021年6月現在)店舗が支払う決済手数料が無料であることも拡大要因の一つでしたが、 ここにきて2021年10月よりPayPayが有料化の方針を発表しました。

本記事では、QRコード決済の変化や、店舗側が知っておきたいことを解説します。

QRコード決済とは?決済方法は2種類ある

QRコード決済は、日本で開発された規格「QRコード」を読み取ることで決済するキャッシュレス決済の一つです。利用者はスマホにQRコード決済用のアプリを事前にインストールし、店舗における会計時にスマホアプリを介して決済を行います。決済方法は、QRコードを読み取るのが、店舗側か、利用者側かで、2つの方式に分かれています。

ユーザースキャン方式(店舗提示方式)

店舗側がコードを掲示し、利用者がスマホアプリで読み取る方式です。利用者は決済にあたり、店舗情報が埋め込まれたQRコードを読み込むことで支払い先を指定し、会計金額を入力して、決済金額を確定します。

ユーザースキャン方式は、店舗側で読み取る端末を用意する必要がなく、紙にQRコードを印刷することで開始できるため、導入の手間や費用がかからないことが特徴です。

ストアスキャン方式(利用者提示方式)

利用者がスマホアプリでバーコードを掲示し、店舗側が専用端末やタブレットなどで読み取る方式です。店舗側は決済にあたり、利用者の情報が埋め込まれたコードを読み取って支払い元を認識し、端末に金額を入力して、決済金額を確定します。

ストアスキャン方式は、利用者にとって、決済時の金額入力の手間が省ける分、利便性が高いと言えるでしょう。

お客様にとってQRコード決済のメリット・デメリットとは

キャッシュレス決済には、QRコード決済の他に、クレジットカードや電子マネーなどがあります。決済方法は、店舗サービスを構成する重要な要素の一つ。利用者にとって、QRコード決済が、クレジットカードや電子マネーと比べてどんな違いがあるかを知っておきましょう。

メリット1: アプリによる豊富な機能を利用できる

個人間送金機能、購買履歴の閲覧機能、クーポン機能など、コード決済アプリには決済にまつわる多彩な機能があります。電子マネーやクレジットカードでも管理ページはありますが、決済をするアプリ上で一括管理できる操作性、利便性は、QRコード決済ならではのメリットです。

メリット2: キャンペーンの割引額が大きい

クレジットカードや電子マネーにおけるポイント還元は通常0.5%〜2%程度ですが、QRコード決済は、ユーザー獲得のためのキャンペーンなどで地域、店舗、時期、商材等を限定し、一定の条件下で10〜20%のポイント還元を行うことがあります。

メリット3: 審査がない

クレジットカードは信用取引のため、利用者の年収や信用情報によっては利用できないケースがあります。一方、主なQRコード決済は、電子マネー同様、前払型のため、与信の審査なくキャッシュレス決済を利用することができます。

一方で、以下のようなデメリットもあります。

デメリット1: セキュリティへの懸念

都市部では約9割がQRコード決済の利用経験があるというQRコード決済先進国の中国では、ユーザースキャン方式のQRコードを詐欺集団の口座にすり替える「ステッカー詐欺」などの不正利用が報告されています。また、スマホアプリの不具合やシステム障害で、一時的に決済ができなくなることもあります。

デメリット2: スマホの電源・電波がないところでは決済ができない

スマホが通信をして決済を行うことから、「スマホの電源が切れてしまった」「電波が届かない」という状況では決済できないのがQRコード決済の特徴です。QRコード決済を導入する店舗は、携帯各社の電波が届きにくい立地であればWi-Fiを用意する、スマホの充電環境を提供する、などの対応が、不満に繋げないために必要でしょう。

データで比較!QRコード決済はどれくらい使われているのか

クレジットカード、電子マネー(SuicaやPasmoなど)と比較

株式会社インフキュリオンが16歳〜69歳の男女5,000人を対象に実施した「決済動向2020年12月調査」※1によると、QRコード決済の利用率は50%を超え、若年層だけではなく、幅広い年齢層で利用が定着していることがわかっています。QRコード決済はキャッシュレス、すなわち非接触決済としてコロナ禍でもニーズの高い決済方法であり、2020年の取扱高は、前年比約4倍の4兆2000億円※2 電子マネー(SuicaやPasmoなど)の6兆円に迫る勢いです。クレジットカード、電子マネーと比べ、QRコード決済がどのように利用されているのかをみてみましょう。

※1参照元 株式会社インフキュリオン「決済動向2020年12月調査
※2参照元 一般社団法人キャッシュレス推進協議会「コード決済利用動向調査 2021年5月31日公表

保有率で比較!電子マネーからスマホ決済に利用が置き換わりつつある。

導入や継続の検討にあたり、利用者を囲い込む観点から、各決済手段の保有率は知っておきたいところです。もっとも保有率が高いのは、「クレジットカード」で86.6%。「電子マネー」は77.4% 、QRコード決済を含む「スマホ決済」の保有率は56.5%の順になっています。これまで日本のキャッシュレス決済を牽引してきたクレジットカードの保有率は依然として高い状態にありますが、電子マネーの保有率が昨年から6.8ポイント減少しているのに対し、スマホ決済は13.6ポイント増加と、徐々に置き換わっている構図が浮かび上がります。※3

※3参照元 株式会社ジェーシービー「クレジットカードに関する総合調査(2020年度版)

決済金額で比較!低額商材を扱う店舗はQRコード決済と相性良し。

電子マネーの保有が減り、スマホ決済の保有が増加している背景として、利用者が「高額はクレジットカード、低額は電子マネーかスマホ決済」と、使い分けをしていることが考えられます。クレジットカードは主に10万円以上を限度額とした信用払いであるのに対し、電子マネー、コード決済の中心は前払型です。この結果、クレジットカードの月の利用平均額は4.4万円である一方で、電子マネーは1.3万円、コード決済は1.1万円という調査結果※1もあります。高額な商材を扱う店舗はクレジットカード、低額な商材を扱う店舗では電子マネーやQRコード決済が好相性といえるでしょう。

「デジタル給与」で構図が変わる?

現時点では、「高額な買い物のキャッシュレス決済=クレジットカード」というイメージですが、これが大きく変わる可能性を秘めているのが、政府内で議論される「デジタル給与」です。キャッシュレス推進のため、給与を銀行口座だけでなく、QRコード決済アプリにも入金できるように労働基準法施行規則を改正しようという検討が進んでいます。本稿執筆時点で結論は見えていませんが、実現すると、QRコード決済のチャージ額が大きく増えることが予想されます。高額な買い物においてもQRコード決済の活用が進んでくる可能性があり、今後の動向に注視したいところです。

利用者が多いQRコード決済は?

2018〜2019年頃は日本のQRコード決済黎明期であり「○○ペイ」が乱立していました。かつて、どれを使おうと迷われた方も多いのではないでしょうか。現在の主要なサービスの利用者数をみてみましょう。

主要各社の取扱高とユーザ数

PayPayd払い楽天ペイau PAYLINE pay
取扱高
(2020年)
3.2兆円8,100億円
不明不明不明
ユーザー数3,900万人3,523万人5,000万人3,200万人3,880万人

各社の発表によると、主要なQRコード決済サービスの利用者は各社3,000万人を超えており、利用者は複数のQRコード決済アプリを登録している現状がうかがえます。一方の取扱高を公表しているのは、PayPayとd払いです。前述の通り、2020年の取扱高はスマホ決済全体で4兆2000億円だったことから、利用者は複数コード決済を登録しつつも、PayPayとd払いを頻繁に利用していることが伺えます。

※取扱高、ユーザー数参照元:d払い、楽天ペイ、au PAY、LINE payは各社決算資料(2021年8月時点)PayPayはBCN+R「PayPay、決済取扱高が3.2兆円に 前年比で2兆円の増加」より

もっとも利用されているQRコード決済は?

QRコード決済各社の利用率※1は下記の通りです。

1位2位3位4位5位6位
サービス名PayPay楽天ペイd払いLINE Payau PAYメルペイ
利用率34%15%12%10%9%8%

PayPayを筆頭に、携帯キャリア各社やショッピングモールを母体にしたサービスのうちいずれかをメインに利用している利用者が多いようです。

一方で、今後注目されるのが、FamiPayのようなチェーン独自で展開するコード決済です。ユニクロの「UNIQLO Pay」、無印良品の「MUJI passport」、イオンの「イオン銀行PayB」など小売業が参入しています。各社の狙いは、プッシュ通知による情報提供、クーポン発行、決済、ポイント提供まで、会計周りをワンストップでアプリにて提供し、顧客の利便性を向上させることです。これらは、ファンを囲い込むための施策であり、主要各社が利用者拡大を目指す動きとは異なるため、当面淘汰されることなく、共存していくものと考えられます。

PayPayの手数料有料化でどう変わる?QRコード決済の今後とは

手数料無料で広まったQRコード決済

QRコード決済が短期間にここまで広まった要因の一つが、期間限定で決済手数料無料を謳い、加盟店を急速に増やしたことです。

中小企業の経常利益は平均1%程度だそうですが、クレジットカード決済では一般的に3〜10%、電子マネーでは3〜5%の手数料が設定されています。特に個人経営や中小企業では、支払い能力が低いとみなされ、手数料が高く設定されるケースも多いようです。決済代行会社を利用すれば3〜4%程度の手数料で済むとはいえ、キャッシュレス決済の導入の集客や売上への効果が不透明な中で、数%の利益を削ることは経営への影響が大きく、導入が難しいものです。

これが手数料無料となれば、中小店舗にとってはリスクなく、顧客の利便性を高めることができます。実際、このような謳い文句でコード決済事業者は全国津々浦々の中小店舗に営業をかけ、加盟店が増えていきました。

QRコード決済各社の2021年10月1日以降の手数料

政府のポイント還元事業が終了したことを機に、QRコード決済各社は有料化に踏み切りました。有料化は事前に公表されており、PayPayは年間800億円の赤字を計上するなど、コード決済各社は手数料無料をシェア拡大のための先行投資と捉えており、今後の手数料有料化は致し方ない面もあります。

一部はすでに有料化しており、10月1日以降の主要なコード決済会社の手数料は下記の通りとなります。

Pay
Pay
d
払い
楽天
ペイ
au
Pay
メルペイLINE
Pay
Fami
Pay
(参考)
交通系
IC
手数料1.6/1.98%2.6%3.24%~2.6%2.6%2.45%0%※43.24%

ポイント還元事業の補助対象となる決済サービスの要件が手数料3.25%以下であったことから、クレジットカード会社としての一面を持つ楽天ペイでも3.24%となっています。その他は3%未満に抑え、クレジットカードや電子マネーよりコストメリットを出しています。PayPayはスケールメリットを生かし、さらに安価な、1.6%/1.98%の手数料を発表しました。店舗情報を掲載したり、店舗のお知らせを配信できるPayPayマイストア ライトプラン加入者は1.6%、未加入者は1.98%となります。中小事業者、個人商店への手数料有料化で、今後は収益化にも力を入れるのではないでしょうか。
なお、PayPayマイストア ライトプランへの加入が9月19日までは6ヵ月間、10月19日までなら5ヵ月間の「お店のPayPay決済額合計の3%振り込みますキャンペーン」があります。
PayPayの手数料有料化を発表したのは8月19日。今後各社手数料の改定が行われる可能性もあるので、注視する必要がありそうです。
※手数料参照元:各公式HPより(2021年8月24日現在)
※4 総務省が主導する統一QRコード「JPQR」の加盟店が対象。’21年4月1日以降は2.94%(税別)。

キャッシュレス決済全体の手数料が下がる?

コード決済の手数料がこの秋から有料化する一方で、クレジットカードの手数料は下がる可能性があります。2つの大きな動きを紹介しましょう。

クレジットカードの手数料を公開しようという動きがある

2021年7月に公正取引員会は、クレジットカードの手数料の調査をはじめました。日本は、カード決済時に経由するカード会社間の手数料が公開されておらず、加盟店側はカード会社に手数料の交渉をしづらい状況となっておりこれを是正しようとするものです。

三井住友カードが中小事業者向けに手数料引き下げを発表

もう1つの動きは、大手カード会社の三井住友カードが、2021年4月より中小事業者向けに、手数料引き下げを発表したことです。クレジットカードの手数料は3%以上が相場ですが、専用端末を利用するサービスに限り、2.7%〜の手数料率を適用します。 三井住友カードは、カード決済の約2割を占める大手であり、他社の動向を注視したいところです。

政府は手数料を引き下げる動きを継続する見込み

世界的に見ると、韓国、アメリカ、EUなど、政府が手数料の上限を規制するなどして、手数料は抑えられており、日本のクレジットカード決済手数料は相対的に高くなっています。ポイント還元事業後にキャッシュレス決済をやめた加盟店の主な理由は手数料であることから、政府がキャッシュレス推進に向け、手数料を引き下げる動きは継続しそうです。

コード決済においても、手数料は有料化したものの、今後クレジットカード並みに上がるとも限りません。コード決済先進国の中国で展開する「Alipay」は中国で店舗が支払う手数料は0.6% 。アプリ内で小口投資信託、後払いサービスなどを展開し収益の柱としています。PayPayもこの動向を踏まえ、「スーパーアプリ」を謳い、金融サービスを含むサービスの充実を図っています。

これからQRコード決済導入を検討する店舗が注意すべきポイント

これまでは「実質無料だし、とりあえず入れておこう」という店舗も少なくありませんでした。今後は、自店舗の経営におけるQRコード決済の意義を問い直し、費用対効果を見極める必要があります。

コード決済導入前に「利益率を維持できるか」をシミュレーションしよう

先に述べた通り、中小企業の経常利益率は平均1%程度です。また、小売業など、利益率が元から低い事業構造の業態もあります。決済手数料は売上に対してかかるコスト(変動費)ですから、ダイレクトに利益を圧迫します。コード決済の加盟店手数料が1〜3%としても、経営への影響は大きいものです。

これまでも、キャッシュレス決済においては、導入時に資金繰りの考慮が必要でした。現金と異なり、コード決済会社からの入金が後日になるためです。お金の心配を無くすには、経営を維持できるか、導入前に机上でシミュレーションを行っておくと安心です。資金繰りに加え、今後は利益の観点からも事前に確認を行いましょう。

例えば、「先月の売上の○%がコード決済になった場合は…」などの仮定を置きます。まず、資金繰りの観点から、現金は即日、売上の○%はコード決済会社の入金日に入金があるものとして、仕入れ業者への支払い日なども加味して1ヶ月の資金の流れを見てみましょう。現在よりも、現金のストックを増やす必要があるかもしれません。

同時に、収益の観点からは、1ヶ月の売上、費用、利益がいくらになるか、計算してみましょう。利益を圧迫するようであれば、対応が必要です。

対応としては、次項で述べるような利益をあげる施策に加え、中堅規模以上の企業であれば、アプリ開発費を投資しても、回収できる見込みが立つ可能性もあるため、戦略的に考えるとよいでしょう。

コード決済導入が、集客ではなく「利益」に貢献するかを考えよう

これまでは、コード決済事業者側のキャンペーン実施で「集客につながるから」と導入を決定していた店舗も少なくありませんが、先に述べた通り、手数料は変動費であるため、顧客が増えても、費用も比例して増え、単純計算では利益率が上がることにはなりません

利益率が下がることとなる分、薄利多売でこれまで以上の集客を見込めればよいのですが、集客への貢献はコード決済事業者の動向にもよるため、事前の読みが難しいところです。

そこで、コード決済の導入メリットを、「集客」ではなく「利益」で説明できるかが重要になってきます。すなわち、「費用を下げる」または「利益があがる」施策になるかどうかを確認します。業種・業態や、導入するコード決済サービスにもよりますが、以下のようなメリットが自店に生じるかを確認し、業務に落とし込む計画を立てましょう。

費用が下がる例

  • 現金管理の手間が減り、人件費などの管理コストが下がる
  • ペーパーレスが進み、消耗品費が減る
  • コード決済会社のキャンペーン時期と合わせ、店舗でもキャンペーンを打つことで、販促費用を削減する
  • 販売履歴をデータで管理しやすくなり、売れる時間帯・曜日などの傾向を見出し、販促や仕入れの効率をあげることでコストダウンを図る

利益が上がる例

  • キャッシュレス決済は、客単価が高い傾向にあり、利益率の高い商品も含めた買い上げ点数が増加する
  • 決済方法の拡充は顧客サービスの向上につながり、付加価値があがる

セキュリティ面の情報収集はできるか

利用者が増えてくれば、これを悪用しようとする動きも増えてきます。新しい不正利用の手法として、国内でも、PayPayの決済音だけを鳴らし、商品をだまし取る詐欺で、逮捕者が出るニュースもありました。
クレジットカードの不正利用がいたちごっこであるように、コード決済も一般化するにつれ同じ流れをたどるものと考えらえます。店舗側としては、自店の経営を守るため、また顧客の信頼を守るためにも、動向を収集し、適宜対策を打っていく必要があります。

まとめ

キャッシュレス決済は国を挙げた施策であり、引き続き普及が進むものと考えられます。スマホが普及した時代に、コード決済は、実店舗利用者にとって利便性の高い決済手段です。また、技術の進歩、コロナ禍などの社会情勢でも状況は常々大きく変わります。自店にとって有利な決済手段を選択できるよう、政府、自治体、事業者、利用者の動向を踏まえ情報収集に努めましょう。

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