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GW10連休の「流通小売業」への影響は?
目次
1.新元号「令和」発表当日の売場をチェックしてきました‼
GW10連休の「流通小売業」への影響度をレポートするに当たり、新元号「令和」が発表されて、メディアを中心に加熱モードとなった(テレビのワイドショー等では新元号発表までカウントダウン)4月1日にショッピングセンターやSMなどの売場をチェックしてきました。
それは、GW10連休の真ん中の皇太子さまの即位のため祝日となる5月1日(水)の「イベント・販促」の動向を探るためです。
結果的に、「新学期・新入学」「春の旬」「お花見」「月初め」「エイプリルフール」「イースター:今年は4月21日(日)」「朝食」「アウトドア」等の通常のルーティン的なイベントの打ち出しが中心で、新元号「令和」に対するイベントは確認できませんでした…
ちなみに、大手GMSでは「平成のヒット商品 振り返り」が企画されていました。また駅チカのショッピングセンターでは、SNS映えする「HAPPY EASTER」がディスプレイされていました。
2.GW10連休は、「平成最後」「新天皇即位のお祝い」を従来のGWのルーティン販促に「アクセント」として上手く取り入れることが肝心!
さて今年のGWは、今上天皇の退位と皇太子さまの新天皇即位に伴い、4月27日(土)から5月6日(月)の10連休の日程となりました。
2019年1月に発表した第一生命経済研究所の経済分析レポートによると、期間中の「旅行」消費は、前年比3323億円(28.9%増)の1兆4824億円と試算されています。
一方で2019年1月発表のニッセイ基礎研究所のレポートによると、「製造」「金融・保険」「医療・福祉」等の業種はマイナスが予測され、全産業活動指数でみると、祝日が1日増えると生産量は0.41%減少するとのことです。
そこで今回は、主にGMSやSMを中心とした「流通小売業」のGW10連休に関するレポートをまとめてみます。
食品商業2019年2月号「Interview特別版 ザ・トップマネジメント」の「サミット 竹野浩樹社長」のコメントには、10連休に関するものがありました。
「天皇陛下が退位されて、新天皇が即位され、10連休がある。10連休でちょっと良いものを食べるとか、集まるとか、どういう行動を取るのかを吸い取りながら、迎えるしかない。慶事が小売環境にとってプラスになるのか、どこまで乗ってよいのか分からない。これはすごく難しい変数ではある。楽しみでもあり、不安でもあるのが前半だ。」
月刊『食品商業』2019年2月号インタビュー記事より
連休やハレの日の影響度は、業態業種によっても異なりますが、竹野社長のコメントは、未体験ゾーン「10連休」に対する偽らざるメンタルが語られています。
一般的に連休時の店舗は、「大型店有利・小型店不利」「ハレの日に強い店舗・弱い店舗」等の傾向が考えられます。
直近のGW大型連休のパターンは、「2018年4月28日(土)~5月6日(日):2日休めば9連休」「2016年4月29日(金)~5月8日(日):2日休めば10連休」が挙げられます。
そこで家計支出データ(総務省 家計調査)で両方のトレンドをチェックしてみると、
(1)連休ではあるが「土曜日」「日曜日」の「週末」の指数が高い傾向
(2)5月3日~5日も指数は高い
⇒ 外食がピークとなる。また5日は調理食品(デリカ・冷凍食品)の動きも良い。
(3)GWの「前後」の指数は低い⇒「節約」志向が高い。
(4)(当たり前だけど)両方とも「平日」の売上は低い
⇒ 今年は平日が無いので「中だるみ」をどの様に想定するか?
等が挙げられます。
今年は、GWの連休中の消費行動にプラスして、GW前半は「平成最後」テーマで、GW後半は「新天皇即位のお祝い」テーマが加わることになります。
ただし課題としては、5月1日からの「お祝い」テーマは、どこまで引っ張れるかということが挙げられます。
一方で今年のGWは平日を挟まない10連休なので、当然「中だるみ」も予測されますので、「平成最後」「新天皇即位のお祝い」を従来のGWのルーティン販促に「アクセント」として上手く取り入れることが肝心でしょう
メインターゲット向けの販促の切り口
(1)「家族3世帯ホームパーティー」
GWの「ある」店舗は、特に「ハレの日」アイテムの品揃えを充実する。また事前の予約販売も強化する
(2)「休みが取れない」「巣ごもり」
世間がGW10連休でも仕事等の都合で休みが取れない方々向けの提案
① 都心部 ⇒「簡便」「時短」
② 地方部 ⇒エリアによってはGW前後で農作業(田植えなど)のお弁当・お茶菓子・ドリンクニーズあり
(3)「安近短アウトドア」
特に店舗の近隣にバーベキュー場がある場合は、「焼肉セット」「アルコール」等の予約販売を強化
(4) 「新元号お祝い(5月1日はテレビ特番)」
基本的に年末年始のハレの日アイテムの充実
(5) 「旅行から帰宅して冷蔵庫満杯」
GMSやスーパーマーケットの定番企画。今年は10連休なので長期間の旅行派は冷蔵庫を事前に空にする
(6)「こどもが喜ぶ」
「こどもの日」に向けて、「お子様メニュー」の充実と共に、「ランドセル」等のマゴノミクス・アイテムの販売も
等の生活パターンに合わせて販促を強化することが肝心です。
3.去年のGWは寒かった‼
2018年5月「全体」の主だった小売業の売上高「前年比」は下記の通りです。
(1)チェーンストア(※1) | 販売統計 総販売額 -2.3% |
(2)全国百貨店(※2) | 売上高概況 総額 -2.0% |
(3)コンビニエンスストア(※3) | 店舗売上高 既存店ベース -1.2% |
※1 日本チェーンストア協会調べ ※2 日本百貨店協会調べ ※3 日本フランチャイズチェーン協会調べ
(1)チェーンストア
①雨や気温が低い日が多かった
②食料品は農産品が相場安の影響を受け苦戦
③衣料品、住関品の季節商品が苦戦
(2)全国百貨店
①土曜日1日減(前年比)による入店客数減
⇛ 売上指数の高い週末が前年に比べて1日少ない
②前月の高温による夏物需要前倒し、当月の気温低下が相まって盛夏商材の動きが鈍かった
(3)コンビニエンスストア
①全国的に降水量が多く、特に、月前半のGW期間中に気温の低下等により、
来店客数が減少したことや飲料、アイスクリーム等の売れ行き不調
②カウンター商材やサラダ・惣菜・冷凍食品等の中食は引き続き好調に推移
もし今年のGWが去年の「反動」傾向で高温で推移するようであれば、「季節商品」「初夏商品」等の売上アップが望めます。
まとめ
1.今年前半の山場「GW10連休」は、小売業にとって未体験ゾーン
2.GW10連休は、「平成最後」「新天皇即位のお祝い」を従来のGWのルーティン販促に「アクセント」として上手く取り入れることが肝心!
3.去年のGWは「低温」。もし今年が「高温」であれば「初夏」「季節」商品の売上アップ間違いなし‼
<著者>
株式会社マーケティングラボ 代表取締役 中村 仁
東証一部上場スーパーマーケット勤務後にコンサルタント活動開始。2007年株式会社マーケティングラボ 代表取締役に就任。GMS・SM・メーカー等の「マーケティング」や公的機関の「派遣事業」等を中心に常に「リアル」「現場」に基づいた情報を提供。