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【第2回】競合店調査の実践的知識~競合店調査で調べる必須項目~店外編

2019年11月22日
※掲載内容は公開日時点の情報です。現在と異なる場合がございます。
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第1回 「競合店調査の基本」では、「店外」と「店内」の調査が必要とお伝えしました。今回、「店外」の調査方法を紹介します。
競合店調査を行う際、まずは店外から見た調査を行います。商圏内における競合店のポジションを把握するとともに、お客様から見た店舗の外からの様子や利便性を把握することで、自店の改善に活かせる情報として整理することが可能となります。それでは、店外の競合店調査で重要なポイントを見ていきましょう。

商圏全体から見る視点

商圏とは「お客様が来店する範囲」になります。競合店調査を行う際には、まず、自店の商圏と思われる地域にある競合店が、商圏全体から見てどのようなポジションに位置するのかから調査します。

店内を調査する場合、「生鮮食品に強い店」「店舗が広くて品揃えが圧倒的な店」など店舗そのもののイメージを把握していきますが、商圏全体から見る視点としては「駅やバス停からの距離」「主要道路からのアクセス」「店舗周辺の来店阻害要因(線路、河川)」「道路の通行量と時間帯別の混雑具合」といった来店に至る交通利便性や、周辺に住んでいる住民の状況(高齢化率、ファミリー層の割合など)を調査し、地域に住むお客様が外側から見た視点でのイメージを把握してみましょう。

自店との類似性が高い競合店が、最も競合要素の強い「重点競合先」となります。自店と業態や品揃えが類似した店舗が競合先となりますが、その中でも「重点競合先」と設定した店舗は念入りに調査を行うと良いでしょう。

店舗の外観から見る視点

競合店を外観からみる場合、まずは「店舗の視認性」を見ておきましょう。店舗前の道路から店舗が良く見えるか、看板が見えるか、店舗や看板が見える場合でも店名や業種、業態がわかりやすいかなどが基本になります。周囲から店舗や看板が見えなければ、固定客以外の来店に繋がらず、通りがかりのお客様がついでに立ち寄る確率が極端に減少します。また、昼と夜とでは店舗や看板の見え方が異なることにも注意して調査することが必要です。

また、店舗前の道路状況があまりにも良い場合、自動車のスピードが落ちにくくなりがちで、店舗に気づかずに過ぎ去ってしまうこともあります。郊外のコンビニエンスストアなどでは、店舗のかなり手前に看板が設置されているのを見かけることがありますが、このような事情に対応している場合もあるようです。

そのほかにも、カーブの内側にある店舗は視認性が低くなることに対応するため、また、競合店より先に自店の存在を認知してもらうため、などを目的に看板を設置する場合があります。看板は店舗の視認性を向上させるうえで重要な要素をもっています。

店舗に付随する施設から見る視点

店舗に付随する施設としては、駐車場、駐輪場、テナントなどがあります。
駐車場については、駐車台数のほか、入口の出入りのしやすさ、一台当たりのスペースの広さ、駐車のしやすさ、警備員の有無、外灯の配置状況などを見ます。駐車がむずかしい店舗は、特に女性や高齢のお客様に敬遠される可能性が高くなります。

また、駐車してある車の種類を見ることも効果的で、「外車や高級車が多い」「軽自動車が多い」などの傾向を見ることで、客層を推測することも可能です。

駐車場だけでは無く、駐輪場の広さや自転車を利用しているお客様の多さを見ることも重要になります。車で来店されるお客様、自転車や徒歩で来店されるお客様を合わせて調査すれば、お客様の来店手段を知ることができ、より効果的な調査になるでしょう。

そのほか、複合施設の場合はテナントの種類を見ることも必要です。飲食店、衣料品、百円ショップ、ドラッグストアなどがありますが、それぞれ「若者に強い」「高齢者に強い」「ファミリー層に強い」などの特徴があります。
若者に強いテナントであれば、競合店舗にも若者客が増えることが想定されるので、自店は別のターゲット層を狙うなどの対策を講じることが可能になります。それぞれの客層や客数、曜日別の集客力を調査すると良いでしょう。

近隣の施設との関係性から見る視点

競合店そのものを調査するだけではなく、近隣にある他の施設との関連についても調査する必要があります。
競合店の近くに他の商業施設、市役所、病院、図書館、郵便局、銀行などがあれば、それらの施設に訪れるついでとしてお客様が利用する機会も多くなります。大きな公園があればファミリー層や高齢者を集客する効果もあります。

それぞれの施設との位置関係、距離、到達時間、施設利用者と客層との合致度などを見ながら、競合店と近隣施設との相乗効果がどの程度あるのかを調査しましょう。

都市部であれば、公共、民間ともに多くの施設が至るところに存在しますが、郊外になると施設が少なくなります。金融機関など、月末に利用者が集中する施設もあり、施設の少ない郊外ではその傾向が顕著です。郊外の店舗については特に注意して調査してみると良いでしょう。

競合店調査「店外編」のまとめ

競合店調査を行う方法として、今回は「店外編」を紹介しました。
まず、商圏全体から見る視点では「地域に住むお客様から見たポジション」の把握が重要になります。次に、店舗の外観から見る視点では「お客様から見た店舗の視認性」を調査し、店舗に付随する施設から見た視点では「駐車場の利便性や他のテナントとの相乗効果」を把握していきます。最後に、近隣の施設との関係性から見る視点では「他の商業施設や公共施設との相乗効果」を見ていくことで、競合店だけでは無く、周辺からの人の動きを把握していきます。

これらの調査に取り組むことで、地域の商圏における競合店の位置づけが明確となり、自店と比較することで、「ターゲット顧客の見直し」「看板の設置場所の見直し」「チラシの配布エリアの見直し」など、具体的な競合店対策を検討することが可能になります。次のチェックリストを活用し、競合店調査に取り組んでみましょう。そして、自店と競合店は「お客様から比較」されていますので、当然、競合店調査と同じ視点で自店の調査を行い、比較して改善につなげることが重要です。

次回は競合店調査「店内編」を紹介します。

■競合店調査のチェックリスト●商圏全体から見る視点・駅やバス停、主要道路からのアクセス・店舗周辺の来店阻害要因(線路、河川)・道路の通行量と時間帯別の混雑具合・周辺に住んでいる住民の状況●店舗の外観から見る視点・道路から見た店舗や看板の視認性・業種や業態のわかりやすさ・昼夜での視認性の違い・スピードが出やすい道路視点での視認性●店舗に付随する施設から見る視点・駐車場の利便性・駐車場に停まっている車の種類・駐輪場の状況やお客様の来店手段・テナントとの相乗効果●近隣の施設との関係性から見る視点・近隣の商業施設との買い回り状況・市役所や図書館などの公共施設との相乗効果・病院や金融機関との相乗効果・ファミリー層や高齢者の利用する公園との相乗効果

執筆者:株式会社ユーミックプロデュース 渡貫 久
中小企業診断士として、経営全般の相談や中長期経営計画の策定支援を専門分野に経営支援を行う。食料品小売業の経験が長いことから、食品系のマーケティング・販売促進・販路開拓・商品開発が得意分野。2006年から現在まで、公的機関や大学、民間企業において「マーチャンダイジング」「情報化」「ビジネスプラン作成」「商圏分析」「営業管理者研修」等の研修講師を務める。共著に『小売業のための利益改善&能力開発チェックリスト1000』がある。

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