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【家計調査年報を売場改善に活かす 第1回】統計データを活用して売場活性化!~全体の解説~

2020年03月12日
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国や地方公共団体などによる統計調査は、新聞やニュースで見聞きする程度で身近な存在ではなく、なんだか面倒くさい印象があるという方もいるのではないでしょうか。しかし、私たちの生活や経済活動に密接に関わる情報であり、データを整理することでさまざまなことを知ることができる資料です。その中でも家計調査年報は、小売業に密接に関わる内容であり、上手く活用することで売場の活性化にもつながります。今回は家計調査年報の概要と使い方を紹介します。

統計調査を使って売場活性化!

数ある統計資料の中でも、小売業で使いやすいものとして「家計調査」があります。家計調査は、総務省が行っている指定統計調査で、日本国内に居住している世帯における家計の支出(何に対していくらお金を使っているか)を通じ、個人消費を捉えることができる統計です。

データを整理することで品揃えや売場改善など、小売業に関わるさまざまなことに活用することができます。家計調査をはじめとする統計資料は無料で公開されているので、お客様のためにも自社のためにも有効に使わない手はありません。

家計調査年報とは?

家計調査年報は、1年間の家計調査のまとめの資料となっています。毎年6月に前年度の家計調査年報家計収支編が公開されます。

総世帯、2人の世帯、単身世帯などで集計されており、一世帯あたり「どのような商品に」「いくらお金を使っているか」を知ることができます。一世帯当たり、1年間で「魚介類」をいくら購入しているかはもちろん、「まぐろ」をいくら購入しているのかなど、かなり細かいところまでわかるのが特徴です。また、「品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(https://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html)」というデータもあり、これを見れば品目別の支出だけでは無く、地域別の違いや特徴などを知ることもできます。

家計調査年報は、商品の生産量や販売金額から見たのではなく、実際に消費者が購入した金額から見ている資料です。比較的調査項目も細かいため、信憑性もあり、さまざまな分析に活用できます。

例えば下記の図表は、家計調査年報家計収支編にある鮮魚に関する支出金額データを加工したグラフです。このようにデータをグラフ化すれば、それぞれの品目について支出金額がどのように変化しているかを知ることが可能となります。次回、グラフの作成方法も解説します。

(e-Stat|2019年6月7日公開 家計調査年報 家計収支編<品目分類>1世帯当たり年間の品目別支出金額 より加工)

家計調査年報の使い方

家計調査年報では、一世帯あたりの支出金額がわかるので、「商圏規模」「支出が増えているカテゴリ(=売れている商品カテゴリ)」「支出が減っているカテゴリ(=売れてない商品カテゴリ)」を把握することができます。

商圏規模は、例えば店舗周辺半径2kmの世帯数を調べることができれば、それに該当する商品カテゴリの一世帯あたりの支出金額を掛けあわせることで算出することが可能です。

商圏規模=対象地域の一世帯あたりの支出金額×店舗周辺半径2km以内の世帯数

例えば、世帯数2,000、一世帯あたりの支出金額10,000円であれば、商圏規模は2,000万円となります。

また、売れている商品カテゴリを調べる場合には、時系列で1年ごとの支出金額を整理し、支出金額が増えていれば「売れている商品カテゴリ」となり、支出金額が減っていれば「売れていない商品カテゴリ」となります。  

この方法を活用すれば、売場の品揃えを見直す際に、「どのカテゴリの品揃えを強化するのか?」「どのカテゴリの品揃えを縮小するのか?」などの判断情報を得られます。

もちろん、POSシステムを導入している店舗であれば、販売実績で「良く売れているカテゴリ」などを把握できますが、それはあくまでも自店の売場の品揃えに限られた販売動向です。

しかし、家計調査年報は「日本全体の支出動向」なので、自店の売場ではわからない世間の売れ筋を把握することができます。もし、乳製品の売場が10年間同じで、売上もほとんど変わらない場合、POSシステムの販売実績を見ても何もわかりません。
一方、家計調査年報で10年前よりも乳製品の支出金額が大幅に増加していたとすれば、「乳製品売場を充実させることで売上拡大が見込めるかも?」といった仮説を立てることができ、実際に売場改善のアクションを起こすことが可能となります。

まとめ

今回を含め、全4回にわたって家計調査年報のデータを売場活性化に活用していく手法について紹介していきます。次回は、家計調査年報を活用した「生鮮売場の改善」について、具体的なカテゴリをピックアップしながら詳しく説明します。


執筆者:株式会社ユーミックプロデュース 渡貫 久
中小企業診断士として、経営全般の相談や中長期経営計画の策定支援を専門分野に経営支援を行う。食料品小売業の経験が長いことから、食品系のマーケティング・販売促進・販路開拓・商品開発が得意分野。2006年から現在まで、公的機関や大学、民間企業において「マーチャンダイジング」「情報化」「ビジネスプラン作成」「商圏分析」「営業管理者研修」等の研修講師を務める。共著に『小売業のための利益改善&能力開発チェックリスト1000』がある。

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