コラム
販促・集客
クーポンを活用して集客・売り上げアップを目指すには
かつてチラシや雑誌に掲載していたクーポンも、今やSNSやウェブサイトを通じて発行される時代となりました。
スマートフォンの普及により手軽にクーポン取得・活用ができるようになった今、集客・売り上げアップにそうしたツールを使わない手段はありません。
しかし、クーポンはその効果と目的を正しく活用できなければ、景品表示法に違反したり、かえって店舗に負担となってしまうこともあります。
ここでは、クーポンの発行による、
・集客アップ効果
・売り上げアップ効果
・運用時の注意点
について解説します。クーポンが持つ販促効果を最大限に活用し、自店の集客・売り上げアップを目指しましょう。
クーポンで得られる「集客アップ」効果
消費者にとって、クーポンは「割引」や「お得」といった印象が強いもの。クーポンの特典がお得であればあるほど、「行ってみようかな」という心理が働きます。
そのため競合店と差別化をはかりにくい飲食店や美容院は、クーポンを発行することで純粋な「集客アップ」を期待できます。新規顧客を増やしたい場合は「初めてご来店するお客様に限り」とすることで今まで来店したことがない新規顧客の獲得につながるでしょう。
クーポンを使った新規集客で重要なポイントは、初めての来店・利用に対する消費者のハードルを下げることです。「お試し感覚で新規来店・新規利用できる内容」を重視し、「この価格(特典)なら行ってみる価値があるかも」と思わせられる内容を心がけましょう。
また、「次回使えるクーポンです」という形で配布できると、新規集客ではなくリピーター集客にもつながります。次回以降はそれまでよりお得に購入・サービスを受けられることを前面に出し、「利用しなければもったいない」と思わせられる内容にしましょう。 使用期限をやや短めに設定しておくと、お店を忘れられることなくリピートを促せます。
<集客アップにつながるクーポン例>
・ヘアカット通常4,500円→初めてのお客様に限り2,000円
・ラーメン替え玉1杯無料
・定食注文のお客様に限り豚汁1杯無料
・初回限定送料無料
・前回来店から1カ月以内の来店で5%OFF
・2回目のご利用で人気のクッキーセットプレゼント など
クーポンで得られる「売り上げアップ」効果
クーポンは一見すると「値引きされる=売り上げが下がる」と思われがちです。
例えば、クーポンを手にしたお客様全員が、
クーポン使用目的で来店
↓
クーポン対象サービスのみを安く利用して退店
という行動をとってしまっては、確かに売り上げダウンにつながりやすくなります。
しかし、クーポンにより、来店意欲だけでなく購買意欲を高めた場合はどうでしょうか?
集客効果を期待できるクーポンに「購入するメリット」も加えられた場合、お客様は目当ての商品やサービス以外にも「あわせ買い」や「ついで買い」をしてくれる可能性が高まります。
「集客できても売り上げが上がらないと困る……」と利益を重視するからこそ、よりお得で「買いたい(利用したい)」と感じてもらえる内容を盛り込むことが重要です。
<購入するメリットを感じられるクーポン例>
・3,500円以上お買い上げの方全員にノベルティプレゼント
・5,000円以上お買い上げの方全員に次回使える500円OFFクーポンプレゼント
・5,000円以上のお買い上げで送料無料
・2点以上のお買い上げで合計金額から10%OFF
・ヘアカットと同時の注文で人気のトリートメントが+1,000円でお試し可能 など
1人あたりの平均購入金額や点数は店舗によって異なるため、クーポンには平均をやや上回る程度の絶妙な価格設定が求められます。 また原価やコスト、利益率なども店舗によって異なることから、自店の特性とお客様の動向をよく分析したうえでクーポン内容を練ることが大切です。
クーポン使用時の注意点
クーポン発行時は一時的に客足と売り上げがアップし、「瞬間風速」が高まっている状態。しかし目先の集客や売り上げのみを見てしまうと、以下のようになることもあります。
クーポンがなければ客が集まらない
↓
頻繁にクーポンを配布する
↓
常時割引による利益減
クーポン使用による効果を追い風に変えて運営を軌道に乗せるには、LTV(Life Time Value)の観点でクーポンを正しく運用することが大切です。
LTVとは、目先の利益にとらわれずに一人ひとりのお客様がもたらすトータルの価値を見出す考え方のこと。
クーポンを発行することでリピーターやファンを増やして継続的な利益につながるような戦略が立てられると、クーポン運用を通じて大きな収益モデルを実現できるでしょう。
つまり、「なぜクーポンを発行するのか」「クーポンを発行したうえで、どこで売り上げを出すのか」をしっかりと考えることで、クーポンの本質をとらえた運用につながります。
ただしクーポンの効果を引き出すためとはいえ、過剰な割引やサービスの実施は景品表示法違反の可能性が高まるため注意が必要です。
景品表示法ではクーポンの割引限度額は定められていませんが、購入代金に応じたプレゼントや無料クーポンを配布する場合、以下の限度額を守る必要があります。
<総付景品の限度額>
取引価額 景品類の最高額1,000円未満 200円 1,000円以上 取引価額の10分の2 引用:消費者庁「景品規制の概要」より
まとめ
今や身近な存在となったクーポンは、性別年齢問わず多くの方が利用・期待しているサービスの1つ。
店舗側はクーポンを運用する目的とその効果を正しく理解し、「クーポンを出すこと」が目的とならないよう注意してください。 長い目で見た収益モデルと景品表示法の遵守を念頭に置き、効果的な集客・売り上げアップを目指しましょう。