2019年08月14日

販促・集客 メーカーと小売が協力して効果的な販促を行なうための考え方

販売促進活動(販促)は売上を上げるための重要な業務になりますが、日々の業務に追われる中で効果的な対策が打てず、頭を悩ましている小売業の方も多いのではないでしょうか? そこで提案したいのが、メーカーと協力する販促です。メーカー視点から販促を考えてみると今まで気づかなかった、新しい販促に取り組むことが可能になるでしょう。

販促活動をメーカーサイドから見てみると…

販売促進活動(販促)とは、文字通り「販売」を「促進」することなので、消費者の購買意欲を刺激し、売上向上に繋げる一連の活動です。

小売サイドから見ると「いかにして効率的に売上や利益を上げていくか?」「お客様に喜ばれる売場にするか?」が販促の至上命題でしょう。一方でメーカー視点から見ると「自社の商品をどのようにして多く売るか?」が販促の目的になります。

小売業に商品を納品しているメーカーは、立場は違えど「売上を上げたい!」という思いは同じなので、いわば同志とも言える存在です。しかし、売上を上げるという最終目標が同じであっても、小売サイドは店舗の売上アップを、メーカーサイドは自社商品の売上アップと“目標にしている売上の中身が異なる”ことは意識する必要があります。

メーカーサイドの協力無くして良い商品は揃えられませんし、良い販促を行なうこともできず、最終的な売上目標を達成することが難しくなることも。数多くある各メーカーの意向を汲み取りながら、最適な船の航路の舵を取るのが小売サイドの店長や、販売促進担当の役割と言えるでしょう。

メーカーから販促支援を受けるためには

ここでは、販促活動のメインでもあるPOPにフォーカスを当てて、メーカーに販促支援を受けるための方法を紹介します。

メーカーに要望を伝えてPOP提案を依頼してみる

POPは小売サイドで作成することが一般的ですが、メーカーサイドが作成して店舗での取り付けを提案してくれる場合もあります。ただし、その場合は競合店と同じ内容のPOPであったり、店舗のコンセプトにそぐわない内容であったりして、必ずしも小売サイドにとってベストなPOPとは言えないこともあるはずです。

そこで、POPを提案してくれるメーカーに対しては、具体的に要望を伝えましょう。例えば「当店に合った独自のPOPを提案して欲しい」「当店のコンセプトやポリシーに合ったPOPを提案して欲しい」「季節の催事やイベント催事に合わせたPOPを提案して欲しい」などです。もちろん、このような要望を伝える際には店舗のコンセプトやポリシー、イベントの趣旨などをしっかりと伝えて共有するようにしてください。

メーカーが求めている“提案に必要な情報”とは?

メーカーサイドからすれば、担当する“商品そのものの情報”は豊富にもっていますが、商品を売場で購入したお客様の生の意見や感想はなかなか知ることができません。そのため、小売サイドはそれらの情報をメーカーサイドに提供することも効果的です。

実際に「こんな情報が小売サイドから提供してもらえたら良い提案ができるのに……」と思っているメーカーの担当者は少なくありません。例えば「その商品を実際にどのようなお客様が購入しているのか」「お客様がその商品をこんな料理に使っていた」「遠くからわざわざこの商品を買いに来られたお客様がいる」といった情報を提供すれば、メーカーの担当者は売場提案やPOP提案をしやすくなるので、小売とメーカーが連携した売場づくりや販促活動に繋がります。

実際にあった話ですが、ある小売店で果物を使ったドレッシングを販売したところ、お客様から「このドレッシング、たまたまマヨネーズと混ぜたんだけどすごく美味しかったの!」という感想を店員が聞きました。小売店はその感想をメーカーの担当者に伝えたところ、メーカーサイドからPOPの提案や売場づくりの提案があり、売上向上に繋げることができました。どこにでもあるような雑談程度の情報ですが、使い方次第で効果的な取り組みに繋がることを証明した実例です。

ここでは主にPOPに関するメーカーとの販促活動をお伝えしましたが、POP以外にもチラシ広告などの販促活動でメーカー側に協力を依頼しても良いでしょう。

小売とメーカーの販促活動に+α

さらに、小売とメーカーが協力して行なう販促活動をより効果的にするためのポイントを2つピックアップして紹介します。

POPを超える試食販売

小売店の売場には、数多くの商品が並んでいます。一般的な食品スーパーであれば約1万SKU(Stock Keeping Unitの略でアイテムよりも小さい最小の管理単位)程度になります。

そのため、いくら良い商品が並んでいてもお客様に気づかれなければ売れないですし、魅力的な商品を集めてコーナー化してもお客様に気づかれなければ無駄になってしまう可能性があります。お客様に少しでも気づいてもらう可能性を高めるためには、POPを取り付けることは効果的です。POPそのものが目立つことでお客様の視線誘導ができ、POPに書いてある商品説明にはお客様の購買意欲のスイッチを押してくれる効果もあります。

さらに、売場での効果的な販促活動は“人を付けた試食販売”です。試食そのものが魅力的ということもありますが、味を知ってもらえたら購入に繋がるかも知れませんし、お客様が試食をしなかったとしてもチラッとは見てもらえるので“商品の認知”には繋がります。 特に新商品などを試食販売することは効果が期待できますので、小売サイドからメーカーサイドに試食販売の提案を依頼してみると良いでしょう。大手メーカーはもちろん、地元の小規模メーカーであっても取り組みたい会社はあるはずなので、「これは!」という商品があればメーカーに声を掛けてみてはいかがでしょうか。

デジタルチラシ・SNSなどのインターネットの活用

今ではチラシ広告もDMも電子化されてきて、さらにはSNSを使った情報発信など、スマートフォンなどを活用した販促活動が盛んになってきています。これらを活用した販促活動の特徴としては「ターゲットを絞って情報発信できる」「タイムリーに情報発信できる」「メーカーなどとタイアップし易い」「販促の効果が測定できる」ことなどがあります。

大規模なタイアップについては大手メーカーが中心となりがちですが、地元の中小メーカーなどであれば、エリアが狭い特徴を活かして「店舗やエリアを限定した催事販売やその情報発信」「工場見学などのイベント企画」「数量を限定した新商品のプレゼント企画」などを行なうことも有効でしょう。そういった場合にインターネットを活用します。

デジタルチラシやDM、SNSでターゲットを絞った告知をし、自社サイトなどに応募ページを設置しておくことで、店舗だけで取り組むよりも効果が期待できます。地元の中小メーカーなどは、「地域のお客様と交流したい」という思いがある場合が多い一方で、「機会が無い」「告知などが難しい」といった悩みもあります。“機会”は小売サイドで提供することができますし、SNSなどを活用すれば“告知”の問題をクリアすることもできます。 デジタルチラシは紙代や印刷代がかからず、SNSも広告機能を使わなければ無料で使用できるといった特徴もあるので「費用対効果の高い販促」が可能です。POPなどの従来の販促と合わせて、検討してみると良いでしょう。

まとめ

販促活動は小売業だけで取り組むこともできますが、メーカーを巻き込むことでさらに効果的な取り組みが可能です。小売ならではの生の情報をメーカーに対して積極的に提供し、販促の協力を依頼することはメーカーサイドに「一緒に販促や売場づくりに取り組みたい!」と思ってもらえる“きっかけ”になります。小売とメーカーという異なる立場で協力し、それぞれの強みを活かして、効果的な販促活動に取り組んでみてはいかがでしょうか。


執筆者:株式会社ユーミックプロデュース 渡貫 久
中小企業診断士として、経営全般の相談や中長期経営計画の策定支援を専門分野に経営支援を行う。食料品小売業の経験が長いことから、食品系のマーケティング・販売促進・販路開拓・商品開発が得意分野。2006年から現在まで、公的機関や大学、民間企業において「マーチャンダイジング」「情報化」「ビジネスプラン作成」「商圏分析」「営業管理者研修」等の研修講師を務める。共著に『小売業のための利益改善&能力開発チェックリスト1000』がある。

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