コラム 販促・集客
デジタルネイティブ世代に刺さる「新セルフ販売」とは?

2020年08月21日
※掲載内容は公開日時点の情報です。現在と異なる場合がございます。
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消費スタイルの変化に合わせて、販売にも新たな形態が求められています。それは”セルフ販売”。ただし、自分で必要なものを選び、接客を必要としないこれまでのセルフ販売とは違います。セルフサービスと人的サービスを組み合わせた新しいセルフ販売(新セルフ販売)のスタイルが注目されています。ここでは、新セルフ販売が注目される背景を読み解いていきましょう。

執筆者
山中コンサルティングオフィス代表 山中 健
大手百貨店、外資系ブランド、大手経営コンサルタント会社を経て、コンサルタントとして独立。ファッションビジネス、百貨店、SC(ショッピングセンター)業界などにおいて、マーケティングやMD、リテールのコンサルティングを手掛ける。

購買経験の回数によって求められる販売スタイルは変わる

消費スタイルの変化のベースとなるのが生活者たちの購買経験の豊かさです。生活者は、購買経験の回数に応じて消費スタイルが変わります。

購買経験がないorほとんどない商品

住宅、出産・育児関連品、墓石、医療サービス、介護サービスなど

初めて買うような商品の場合、生活者は何も商品知識がありません。そのため、買う前に勉強する必要があります。人生に一度買うかどうかという商品などはまさにこれにあたるでしょう。
これらの多くは、売り手が先生のように「教えて売る販売スタイル」が向いています。売り手が主導権を取れる販売スタイルです。

購買経験が少しある商品

家電

商品知識がついてくると生活者は何を気にするのか?それは、価格です。
売り手は価格による価値の差を説明し、生活者の「納得を誘う販売スタイル」が必要になります。家電や情報機器などの売場に、価格と商品スペックをわかりやすく書いたPOPが多いのは、生活者に価格による価値の差を明確にし、比較検討しやすくするためです。

購買経験が多い商品

家具、家電、書籍、洋服

生活者の購買経験が増えると、商品自体の目利きができるようになります。しかし、組み合わせ方がわかりません。
そのため「コーディネート販売やセット販売」が有効です。家具ではコーディネート陳列が当たり前となっており、家電や書籍などの文化関連品でもコーディネート販売が広がっています。

購買経験がとても多い商品

食品、日用品

さらに生活者の購買経験が増すと、自分の好みのものを瞬時に判断できるプロのような買い方になります。プロ消費者には中途半端な商品提案は通じません。
必要な情報を必要なときに収集できるような環境やサービスがあれば「セルフ販売」でも問題ありません。食品では自分で必要なものを選ぶセルフ販売が当たり前でしたが、ファッションでもこのような買い方が増え、ファストファッションやECで洋服を購入するのも定着しています。

ただし、いくらプロ消費者であっても全ての商品について目利きができるわけではありません。なぜなら、自分に価値あるものだけを追求し、自分の興味のある範囲のみのプロ、すなわち「自分専門家」だからです。

なぜ今「自分専門家」が増えているのか?DXによってセルフの時代に突入

前章で述べた自分の興味のある範囲のみのプロ「自分専門家」はインターネットの普及により急速に増加しました。一体なぜでしょう?

「自分専門家」が増えている背景

「自分専門家」が増えている理由は、デジタルの進化によっていつでも自分の志向や好みに特化した情報を収集できるようになったからです。かつてはYahoo!やGoogleなどの検索エンジンで情報を収集していましたが、現在は多くの生活者がTwitterやInstagramなどのSNSで情報を収集しています。SNSで情報を収集するようになった結果、フォローしていない領域の情報には疎くなる一方で、フォローしている領域の情報はどんどん蓄積され専門性が高くなっていきます。

このようにデジタルの発達は、生活者に多くの情報を与え、消費スタイルの変化を加速させています。また、消費スタイルだけではなく、ビジネスや小売の仕組み・サービスも変えています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)による小売・サービスの変化

2019年に話題となった「セルフレジ」は、今やスーパーやコンビニエンスストアに定着しています。レジだけは必ず人が必要だと言われてきましたが、今ではレジさえもない店舗も広がってきました。デジタルでカバーできる領域はますます広がり、これまで販売業務の多くを占めていた人的サービスは少なくなっていくでしょう。

しかし、人的サービスは一切必要ないかというとそうではありません。人的サービスはスペシャルな体験となっていきます。そのキーワードとなるのが「”新”セルフ販売」です。

今、求められる”新”セルフ販売とは?

新セルフ販売は、これまでのセルフ販売と何が違うのでしょうか。

旧セルフ販売:自分で必要なものを選び、専門的な接客を必要としない
新セルフ販売:原則自分で選ぶが、困った時は専門的な接客を必要とする
商品についてプロフェッショナルで、お客様の求めに対して課題解決のお手伝いができる

これからは「問題を解決する」ことを約束できる店が支持されます。困ったときに助けてくれた人・店のことを生活者は忘れません。その一方、困ったときに無関心な対応をすると、すぐに離反してしまいます。

ホスピタリティ溢れるソリューション力を兼ね備えたセルフ販売。これが「新セルフ販売」なのです。良い評判もクレームもオンラインやSNSでシェアされる時代。今後は、人的サービスによるソリューション力を向上させるためにも、デジタルの力が活かされていくでしょう。

デジタルネイティブ世代は新セルフ販売を好む

新セルフ販売を最も受け入れる世代がミレニアル世代(現在の20〜30代)やジェネレーションZ(現在の20歳未満)などのデジタルネイティブ世代です。ミレニアル世代は中学生、ジェネレーションZは小学生から携帯端末を持っておりデジタルであらゆることを経験することが当たり前の世代です。

そのため、買い物もデジタルを駆使して、調べる、買うなどの行為を行うことは当たり前となっています。社会人になっているミレニアル世代はまだ旧世代の習慣を引きずってはいますが、ジェネレーションZについては独特の消費行動をします。

ジェネレーションZは、大人から接客を受けて買い物をすることに慣れていないため、接客を受けずに買い物をすることを好みます。調べたいことはスマホで瞬時に調べ、購入する傾向が上の世代と比べ強いとされています。

まとめ

購買経験を増した生活者の増加、デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速による小売の仕組みの変化、そして新たな世代の消費者の登場は、新たなセルフ販売スタイルへのニーズを高めます。共鳴できる哲学を持ち、スマートに買い物ができる店。そのような店への支持が今後はますます増えていくのではないでしょうか。次回は新セルフ販売の事例をご紹介します。

Shufoo! メディアビジネス部 柴田 由香梨 からひとこと

今後の生活者は、事前に情報収集を行う人が増えると思われます。チラシやセール情報の発信だけではなく、商品の詳しい使い方の解説、また「こんなお困りごと解決出来ますよ」といった情報発信することで「専門性の高いお店だな」「自分の課題を解決してくれそうだな」と事前に思わせることも必要になってくるかもしれません。店員さんの親しみやすい笑顔を発信し困ったときに相談できそうな雰囲気を伝えることも重要だと思います。Shufoo!の基本プランの「タイムライン」というメニューだと、チラシ以外の上記の様な情報発信も手軽に出来ますので、是非ご検討ください。

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