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好印象な接客は言葉遣いから!マナー研究家が解説する敬語ルールと間違い敬語

2021年03月08日
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執筆者
株式会社ヒューマンディスカバリー 代表取締役 尾形 圭子

株式会社ヒューマンディスカバリー 代表取締役 尾形 圭子

【マナー研究家/キャリアカウンセラー/僧侶】 航空会社、大手書店、外資系化粧品会社で接客や人材育成に携わる。2005年に研修会社を設立。現在、官公庁を始め、ショッピングセンター、フィットネスクラブ、百貨店や病院など多様な業種でマナーやクレーム対応の研修・講演を行う他、TV出演や執筆活動を行い、2011年には僧籍を得る(僧名:尾形圭照)。著書に『接客用語事典』すばる舎、『販売員の悩み解決大全』日本能率協会、『電話応対&敬語・話し方のマナー』西東社、『一生使える電話のマナー』大和出版、『大人かわいい女性の話し方&マナー』日本文芸社など30冊以上。

情報化が進む現代、「商品やサービスに格差はほとんどない」といわれています。また価値観が多様化しお客様一人一人に目を向けなければいけない難しい時代です。そこで、他店との差別化は重要で、その役割を担うのが「スタッフ(人)力」です。相手に合わせ柔軟な接客が必要ですが、筆者が難しいと感じていることのひとつに「言葉遣い」があります。ここでは、接客におけるお客様の期待の変化や、敬語のルール・使い方などポイントをおさえてお伝えします。

接客で「言葉遣い」がなぜ重要か

まず、お客様の気持ちになって考えてみましょう。接客やサービス、スタッフ(人)に対し何を期待してこられるのか。そこには「基本」「期待」「願望」「予想外」の4段階があります。

お客様が期待する4つの段階における基本中の基本

第1段階「基本」は、「私はお客様です。きちんと対応してください」という基本的な欲求を満たしてくれることです。スタッフには基本的な接客スキルが必要とされます。第2段階「期待」では「商品知識、情報提供、迅速な対応」、第3段階「願望」は「的確・誠実なイレギュラー対応、個人に合わせた提案」、そして最高レベルの第4段階「予想外」では「ホスピタリティ・意外性」などがあげられ、第4段階に応えることで感動につながります。言葉遣いはこの中の第1段階にあたり、基本中の基本です。

図1:お客様の期待値
図提供:株式会社ヒューマンディスカバリー

目に見えない言葉遣いだからこそ強く印象に残る

接客マナーというと、身だしなみや姿勢・挨拶など、目に見える「形」が多いものです。その中で、「敬語・言葉遣い」は形としては見えませんが、相手の心に強く残ります。苦手意識をもつ人が多いですが、お客様の「心に残る」ということは、しっかり身につけて相手の気持ちに寄り添って伝えることができれば、あなたの大きな力になるでしょう。

敬語のルールを覚えて正しい言葉遣いを

敬語というと堅苦しい印象をうけるかもしれませんが、敬語は相手に敬意を伝えることができる便利な言葉です。敬語があるおかげで、お客様や初対面の方、目上の方ともスムーズに人間関係を構築することができるのです。逆に、敬語を使うことができない人は接客の場において大きなハンデを背負うことになります。

敬語の種類と役割

では、基本の敬語の種類と役割をみていきましょう。

尊敬語

お客様や目上の方に対し、相手の動作や状態などを高める(立てる)ことで敬意を表す。

1.動詞+れる・られる
 思う→思われる/来る→来られる
2.お・ご+動詞+になる・なさる
 思う→お思いになる/尋ねる→お尋ねになる
3.特定の言葉に置換
 見る→ご覧になる/知る→ご存じ

謙譲語

お客様や目上の方に対し、自分や身内の動作や状態をへりくだることで敬意を示す。

1.お・ご+動詞+する・いたす
聞く→お聞きします/案内する→ご案内いたします
2.お・ご+動詞+させていただく
使い方は1と同様。相手の許可を得たり、謙譲の意を強く示したりする場合の言葉。使い過ぎに注意。
3.特定の言葉に置換
見る→拝見します/言う→申し上げます

丁寧語・美化語

1.丁寧語……です、ます、ございます、など語尾につけて文章全体を丁寧にする。
2.美化語……名詞に「お」「ご」をつけたり、「飯(めし)」を「食事」、「腹(はら)」を「お腹(おなか)」としたりして、上品で柔らかい印象にする。

※基本的に和語の場合は「お」、漢語の場合は「ご」をつけます
<例>「お住まい」「お休み」「お知らせ」/「ご案内」「ご提案」「ご質問」

図2:敬語変換例
表提供:株式会社ヒューマンディスカバリー

立場の違い

次の図3は立場の違いで気をつけたい点を表したものです。相手と自分の立場を意識して適切な言葉遣いをするようにしましょう。

図3:立場の違い
図提供:株式会社ヒューマンディスカバリー

接客で敬語を使いこなすための注意点

敬語の注意点を4つ紹介します。そのポイントをおさえることで敬語への理解が深まります。

NG敬語1:「尊敬語」と「謙譲語」の混同

相手の行動に謙譲語を使ったり、自分の行動に尊敬語を使ったりする単純なミス。

NG「後ほど、拝見してください」
OK「後ほど、ご覧になってください」

NG敬語2:「2重敬語」

ひとつの動詞に2つ以上の敬語表現を使っている。

NG「お客様がお帰りになられました」(お~なる+られる)
OK「お客様がお帰りになりました」

NG敬語3:「さ」入れ言葉

意味のない「さ」が入っている。

NG「読ませていただきます」
OK「読ませていただきます」

NG敬語4:過剰敬語

動詞に重複しているわけではありませんが、丁寧にしようといくつもの敬語を重ねてしまうこと。

NG「お使いになっていらっしゃいますでしょうか?」
OK「お使いになっていらっしゃいますか?」「お使いになりましたか?」

接客で使っているかも?実は間違いの敬語4例

前述したほかに、お客様が失礼と感じる敬語の間違い例を4つ紹介します。
例えば、
NG「よろしかったでしょうか?」
OK「よろしいでしょうか?」(現在形を過去形にしている間違い)

NG「こちらが商品になります」
OK「こちらが商品でございます」(「なります」は状況や物の変化に使うため間違い)
などは、よく聞く間違いですね。以下も確認してみましょう。

NG「こちらにお座りください」

⇒OK「こちらにお掛けください」
「座る」の尊敬語に、「お座りになる」「座られる」などがあります。しかし「お座り」は、犬の「しつけ」をイメージしてしまうため、使わないほうが無難です。待っていただくときは「こちらにお掛けになってお待ちください」とすると大変丁寧です。

NG「お名前様を頂戴できますか」

⇒OK「恐れ入りますがお名前を伺ってもよろしいですか」「お名前をお願いいたします」
「お名前様」の「様」は人格があるものにつけます。一方で、「頂戴」とは物に対して使用します。
ほかにも「どちら様でしょうか」という表現はNG。どんなに丁寧にいったとしても「あなたは誰?」という意味のため失礼な印象を与えます。

NG「△様でございますね」

⇒OK「△様でいらっしゃいますね」
「ございます」は「在る」の丁寧語ですが、自分や身内に使う謙譲語と捉えられるため、正確には「△様でいらっしゃいますね」と尊敬語を使います。

NG「コーヒーと紅茶どちらにいたしますか?」

⇒OK「コーヒーと紅茶どちらになさいますか?」「どちらがよろしいでしょうか?」
「いたす」は謙譲語で自分の動作に使う言葉です。「どちらにされますか?」も間違いではありませんが、「なさる」のほうが丁寧な印象となります。

接客7大用語を正しく使おう

接客をするうえで必ず覚えておきたいのが「接客7大用語」。お客様に対する代表的な挨拶や言葉のことで、使う機会が非常に多いですね。あなたはきちんとできているでしょうか。“知っている”と“できている”は違います。できることで、対応がスムーズになり印象アップにもつながります。ただ単調に使うのはNG。TPOや相手によって変えることがポイントです。ここでは言葉に着目し、言い換え表現も含めてお伝えします。

「いらっしゃいませ」

お客様をお迎えするときの言葉。時間帯によって「おはようございます」「こんにちは」とすると変化があります。また、「お待ちしていました」「お久しぶりです」「△様、(いらっしゃいませ、など)」とすると、お客様の満足感を高めます。

「少々お待ちください(ませ)」

お待たせするときの言葉ですが、「少々」がどれくらいの時間なのか曖昧なため、お客様は不安になることも。そのため「5分ほど」など所要時間を加えると安心感につながります。また、「待つ」という言葉から、お客様にとっては「今から待たされるのか~」とネガティブな印象にもとられます。「ただ今すぐ確認してまいります」「ただ今すぐまいります」など、状況により、ポジティブな言葉に言い換えてみましょう。

「かしこまりました」

「わかる、了解する」の意味があり、謙譲の意を示しています。どんなに親しくなったお客様でも、友人のように「わかりました」といったカジュアル過ぎる言葉はNG。楽しい会話のなかでも「かしこまりました」と要所で敬意を払うことにより、あなたのプロ意識を感じられるのです。また、「よく理解した」「引き受ける」の意味では「承知いたしました」があります。状況に合わせて使いましょう。

「お待たせいたしました」

少しでもお待たせしたら、心を込めて「お待たせいたしました」とお詫びします。「お待たせしました」では軽い印象になりますので注意しましょう。また、長くお待たせした場合は「大変お待たせいたしました」「お待たせして申し訳ございません」など丁寧な言葉遣いを忘れずに。

「申し訳ありません」

「ごめんなさい」「すみません」といった言葉を使っていませんか? 「ごめんなさい」はお客様に使う言葉ではありません。「すみません」は本来「恩返しが済んでいない」といった意味合いをもつため、ミスに対する謝罪としては、しっかりと「申し訳ありません」、あるいはさらにへりくだって「申し訳ございません」とします。

「恐れ入ります」

「ありがとうございます」と同じような場面で使われますが、「恐れ入ります」には「感謝」の他に「申し訳ない気持ち」や「恐縮の気持ち」が含まれます。クッション言葉で「恐れ入りますが……」がありますが、単体で使う場合は、より感謝の意が強く感じられます。「ありがとうございます」と合わせ、場面によって使い分けができると知的な印象になりますね。

「ありがとうございます(ました)」

接客で「ありがとうございます」を機械的に言っていませんか? この言葉は「有り難し」。つまり「非常に稀なこと」という意味から転じています。お客様への感謝の気持ちを伝えるために「お待ちいただいてありがとうございます」など、具体的にするといいですね。また、「……ました」は過去形のため、これからのご縁を願い「…ます」とする店舗も増えています。「いつもありがとうございます。またお待ちしております」など言葉を続けると違和感がありません。

定型的な言葉でも、単調にならないよう場面に合わせ変化をつけること、そしてポジティブな言葉でお客様に「また来たい」と思っていただきましょう。

接客で便利なクッション言葉

お願いしたり、お断りしたりするときのように、相手にいいにくいことを伝える場合、後に続く言葉をやわらげる効果があるのが「クッション言葉」。3つの例をあげましょう。

尋ねるときに使う

恐れ入りますが/失礼ですが/ご迷惑でなければ/差支えなければ/もしよろしければ

例「もしよろしければ、ご連絡先を伺ってもよろしいでしょうか?」

お願いするときに使う

恐れ入りますが/お手数おかけいたしますが/ご足労おかけいたしますが/ご面倒でなければ/ご都合がよろしければ/お忙しいところ申し訳ありませんが

例「ご足労おかけいたしますが、明日、もう一度お越しいただけますか?」

お断りするときに使う

(大変)申し訳ございませんが/あいにくではございますが/ご要望に添えず申し訳ございませんが

例「大変申し訳ございませんが、ただ今、在庫をきらしておりまして3日後に入荷いたします。入荷次第ご連絡させていただきますがよろしいでしょうか?」
お断りする場合は、代替案を付け加えましょう。ご希望に近い商品もおすすめしてもよいです。

まとめ

言葉遣いを身につけるには学びと体験が必要です。ここでは、その基本と事例をお伝えしましたので、是非参考にしてください。そして、言葉には人格が表れます。間違った敬語や言葉遣いをしても「まぁ、いいか」と許せるのは、その人の人柄によるものといわれています。信頼関係を築くためには「適切な言葉遣い」は不可欠ですが、言葉だけが流れてしまうと冷たい印象になります。お客様から「また会いたい」と思っていただけるよう「言葉に心をのせる」ことを忘れずに。

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