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GMS、スーパーマーケット まだ間に合う8月の販促のオサエドコロ
目次
ショッピングセンターの「家族三世帯・キッズ」ターゲット企画
GMSやスーパーマーケットの今期の販促・MDのテーマの一つは、異業種競争(EC、ドラッグストア、コンビニエンスストア、外食など)を可能な限り「価格競争」に頼らずに勝ち抜くことが求められています。
そこで直近の上場企業の決算説明会資料や中期経営計画等をチェックすると、その対策として「高品質化」「第一次商圏のシェア率アップ」「ローカライズ」「催事・イベントの強化」「ギフトの強化」「デジタル化・オムニチャネル化・SNS活用」「家族三世帯ターゲット」等が方針として挙げられているケースが多いようです。
今後の記事は、これらのテーマに基づき、情報発信をしていければと思います。
今回は、私が最近ショッピングセンターで企画された「家族三世帯」「キッズ」ターゲットでこれは「イイな」と思った企画を1つピックアップしてみます。
それは「イオンモール杯争奪2019 こども将棋王決定戦」です。
参加対象は、「小学生以下で全ての対局に参加できる方」で、「クラス」は、
1)ブロック代表決定戦クラス(有段者またはそれに近い希望者)
2)交流戦低学年クラス(~小学3年生)
3)交流戦高学年クラス(小学4年生~6年生)
に分かれて実施されます。
全国のイオンモールでブロック大会が開催され、最後は2019年10月13日「イオンモール天道」にて「イオンモール杯争奪2019 こども将棋王決定戦全国大会」にて勝敗を決します。
一般的には、SCの「キッズ」向け企画は、「ワークショップ」「本読み聞かせ」「撮影」「ファッションショー」等の「身近な体験」「SNS映え」のテーマが多い中で、「将棋王決定戦」は、全国にモールを有するイオンモール様ならではの他社が真似できない企画だと思います。
藤井聡太七段に続く、逸材の出現の期待大ですね。
GMS・スーパーマーケット 8月の販促のオサエドコロ
さて今回の「お題」は、「GMS、スーパーマーケット まだ間に合う8月の販促のオサエドコロ」です。 まずは、去年2018年8月の「概況」をチェックしてみます。
1.2018年8月 売上高「前年比」
(1)チェーンストア(※1) | 販売統計 総販売額 0.1% |
(2)全国百貨店(※2) | 売上高概況 総額 -0.2% |
(3)コンビニエンスストア(※3) | 店舗売上高 既存店ベース 1.0% |
※1 日本チェーンストア協会調べ
※2 日本百貨店協会調べ
※3 日本フランチャイズチェーン協会調べ
2.概況
去年(2018年)の8月は猛暑で「夏物商品」「季節商品」の動きが好調でした。一方で「台風の接近・上陸」「猛暑による外出控え」等が業績のマイナス要因となりました。
主だった小売業の動向をまとめてみました。
1)チェーンストア
①食料品は農産品、惣菜が好調だった
②衣料品、住関品は天候要因もあり苦戦
2)全国百貨店
①プラス要因
高額消費やインバウンドが業績を牽引した他、
各社が積極展開したセールや人気イベントなども集客に寄与。
②マイナス要因
・台風の接近・上陸
・土曜日 -1日(前年比)
3)コンビニエンスストア
①全国的に平均気温がかなり高かった
②夏休みなどの行楽需要
③飲料・アイスクリーム・冷し麺等の夏物商材好調
8月のGMSやSMの週末チラシの「食」企画
また去年8月の主だったGMSやSMの週末を中心としたチラシの「食」企画を、ほぼ出現の多い順番にまとめてみました。
1)お盆+お盆準備
2)秋の味覚・秋の新商品・新米
3)焼肉・BBQ・ステーキ
4)夏休み・おやつ
盆明け 冷蔵庫満タン
6)涼味・ひんやり・涼味麺
7)産直(全国・北海道・青森・タイ・アジアン)
8)朝食
新学期
10)カレー サラダ おウチ居酒屋
スタミナ・夏バテ回復 野菜の日
また「小ネタ」として、「夏の旨さ・ごちそう」「おでん」「ドリンク」「クールデザート」「お手軽・簡便」「防災」「夏の節分」「うなぎ二の丑」 等も散見されました。
2018年夏 売上 伸びた商品・落ちた商品
さて、マーケティングリサーチ会社のインテージによる「2018年夏(6-8月)に 売り上げが伸びた商品/売り上げが落ちた商品」のそれぞれTOP5をチェックしてみました。
【売上が伸びた商品】TOP5(増加額)
・アイスクリーム 93.0億円
・スポーツドリンク 77.6億円
・ミネラルウォーター類 37.3億円
・納豆 36.8億円
・キャンディ 35.1億円
【売上が落ちた商品】TOP5(減少額)
・ビール -70.1億円
・殺虫剤 -65.0億円
・焼酎 -54.5億円
・日本酒 -30.7億円
・果汁飲料 -28.1億円
まとめ
1)去年の8月は「猛暑」によって、「夏物商品」「季節商品」の動きが良かった
一方で40℃に達する気温のエリアでは、従来の「高温」時に売れるアイテムの動きが悪かったようです(ビール・殺虫剤など)。
これは、あまりにも暑すぎて「外出を控える」「巣ごもり」「自炊」等の行動パターンがあったと推測できます。
今年の8月は、今のところ「天候不順」の予測なので、データ至上主義で、去年売れたものを単純に売るという発想ではなく、去年の「反動」、今年の「トレンド」を予測した上で販促計画を組むことが肝心であると考えられます。
2)去年のチラシのタイトルの傾向から企画の「ヒント」を!
①「熱闘BBQ」「焼肉甲子園」「夏のおやつ選手権大会」など「甲子園」モチーフの企画が散見されました。
②お盆は、従来のオーソドックスな「ハレの日」メニューパターンと共に「Home Party」タイトルで、「焼肉」「オードブル」「おつまみ」「アルコール」「スイーツ」の「洋メニュー」が提案されました。
③盆明けの定番企画は、「秋の旬」ネタ。去年は猛暑で、果物等の前進出荷の影響があったエリアでは、今年の産地情報を得て的確に仕掛けたいところです。
④去年の「帰省」「外出」派に向けた「冷蔵庫いっぱい!セール」は、お盆の「前」または「後」パターンに分かれていました。
3)去年のショッピングセンターのアパレル提案
定番の「家族で帰省」「仲間とアウトドア(海・山)」と共に、イマドキの「夏フェスコーディネート」提案も散見されました。
近隣で「夏祭り」「花火大会」等のイベント共に「夏フェス」が開催されるエリアの店舗では、情報発信をしましょう。
<著者>
株式会社マーケティングラボ 代表取締役 中村 仁
東証一部上場スーパーマーケット勤務後にコンサルタント活動開始。2007年株式会社マーケティングラボ 代表取締役に就任。GMS・SM・メーカー等の「マーケティング」や公的機関の「派遣事業」等を中心に常に「リアル」「現場」に基づいた情報を提供。