コラム お役立ち情報販促・集客
トレーを変えるだけでも売上アップ? 商品を「見せる」から「魅せる」にすれば売上が変わる!

2020年02月19日
※掲載内容は公開日時点の情報です。現在と異なる場合がございます。
このエントリーをはてなブックマークに追加

商品の見た目と中身はどちらが大事でしょうか? もちろん「中身」のほうが大事ですが、見た目を疎かにすると商品の価値が伝わらずに「売れない」ことも多くありますし、逆に商品の見せ方を工夫すれば「売上が上がる」こともあります。今回は、商品の見せ方を変えたことで売上が上がった事例をいくつか紹介します。

バラ売りから皿盛り販売で売上が約2割アップ

例えば、青果物の販売方法としてはバラ売り、袋やラップでパッキングするパック売り、トレーやザルに盛り付ける皿盛りといった方法があります。どの方法が有効かは、その店の雰囲気や客層による差がありますが、販売方法の特徴を把握して最適な方法をチョイスすることを心がけましょう。

バラ売りであれば鮮度感は出しやすいですが、お客様が手に取って商品を選ぶため、どうしても商品劣化が早くなります。
パック売りは商品がキチンと見えるうえに傷みにくいですが、鮮度感が出しにくく、また商品が傷んでいるかどうかがわかりにくい側面もあります。

私は勤めていたスーパーで青果物を扱っていたことがあります。その時は、キュウリやトマトのような野菜、リンゴや桃のような果物を箱ごと売場に並べてバラ売りすることが多くありました。

ある時、たまたま細長く深さのあるトレーが手に入りサイズが丁度良かったので、キュウリを3本ずつ皿盛りにして販売してみました。それまで箱のまま「1本38円、3本で100円」でのバラ売りをしていて、売価は変えずバラ売りから皿盛りに販売方法を変更しただけです。

結果、皿盛りのほうが売上は2割程度増えました。バラ売りのときには10本程度発生していた売れ残りがほぼゼロになり、ロスを削減することができました。皿盛りのほうがお客様には魅力的に見えたと考えています。また、従来の売り方をベストと捉えず、いろいろな売り方を模索する必要があるという気づきにもつながりました。

トレーの種類を変えただけで売上アップ

鮮魚や精肉、惣菜部門には多くのトレーが使われています。
トレーは商品を衛生的に管理、陳列できるとともに、商品の価値を高めることもできます。
さらに、一般的な白いトレーに盛り付けて販売するよりも、黒いトレーや彩色されたトレーのほうが立派に見え、かつ中身が同じでも美味しそうに見えます。刺身用のトレーや弁当用のトレーは、段が組んであって並べやすく見栄えが良くなります。

普通のトレーでも形状を変えることで売上に変化がでることがあります。以前、焼き肉を盛り付ける長方形のトレーが品切れした際、鮮魚部門で使用する細長いトレー(サンマやウナギに使えるもの)を使って商品化したことがありました。見た目が変わったからなのか、いつもより良く売れたことに驚きました。

トレーには色、形、深さ、質感、装飾、フタの有無などの違いがありますし、新商品も毎年出てきます。定期的に情報収集し、最適なトレーは何なのかを探してみましょう。情報収集する場合には、競合店が使用しているトレーや、大都市の有名店が使用しているトレーなどを参考にすることもオススメです。

手間とコストをかければ魅力的になるとは限らない

あるショッピングセンターにテナントで入っている鮮魚店の品揃え改善のアドバイスをした時のお話です。

その店舗は、それまでは生魚、刺身を中心に販売していましたが、今後は新たに魚惣菜を販売したいとのことでした。

まずは売りやすい商品ということで、「サバの塩焼き」の販売から始めました。トレーにパックし、1日10~15パック並べることからスタートしましたが、3日後に鮮魚店の方から「1日に1~2パックしか売れないけどどうしましょう?」と電話がありました。

そこで、感じの良い和テイストの大皿を使ってサバの塩焼きをバラのまま並べて、お客様がトングで自由に選んで購入する方法に変更するようにアドバイスをしました。

すると、2日後に再び電話があり「売り方を変えたら、今度はすぐに売り切れました」と報告を受けました。その後1日20個、30個と販売数量を増やしていくとともに、徐々に他の焼き魚や天ぷらなどの品揃えを増やすことで、継続して売上を増やすことに成功しました。

この場合、商品をパック売りするほうが手間もコストもかけているもののお客様の魅力には繋がらず、逆に大きな負担なく販売できる大皿での提供のほうがお客様に魅力的に見えたようです。中身は同じ商品であっても、商品の見せ方で売上の上がる好事例と言えるでしょう。

まとめ

商品の販売方法や見せ方は、従来からの手法が習慣化したり定着していると、なかなか新しいことへのチャレンジが難しいものです。従来の手法から変えると一時的な作業効率の低下も発生します。しかし、ずっと同じでは商品づくりや売場のマンネリ化に繋がります。少しの工夫が、「商品を見せる」を「商品を魅せる」ことに変化させます。常にお客様の目線に立って創意工夫するとともに、先進事例などを視察して、「良い販売手法は参考にして取り入れる」ことなどに積極的に取り組んでいきましょう。


執筆者:株式会社ユーミックプロデュース 渡貫 久
中小企業診断士として、経営全般の相談や中長期経営計画の策定支援を専門分野に経営支援を行う。食料品小売業の経験が長いことから、食品系のマーケティング・販売促進・販路開拓・商品開発が得意分野。2006年から現在まで、公的機関や大学、民間企業において「マーチャンダイジング」「情報化」「ビジネスプラン作成」「商圏分析」「営業管理者研修」等の研修講師を務める。共著に『小売業のための利益改善&能力開発チェックリスト1000』がある。

あなたに合った集客方法をご提案します

ページトップへ