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接客の基本マナーをプロが解説!現場指導にも活きる接客マナー5原則・接客7大用語
インターネットを使えば何でも手に入る時代に、お客様は対面での購入に何を求めて来店されるのか。価値観が多様化している今、マニュアルではない一人一人のお客様に合わせた接客が、繁盛店を目指すには必要とされています。心配りのある接客をスタッフに浸透させるためにも、まずは基本の接客マナーをしっかり見直し、お店全体でステップアップしていくことが重要です。ここでは、店長やリーダーが現場指導で活かせる、接客マナーの重要性から、接客マナー5原則の基本、接客7大用語の伝え方まで、形だけのマナーにしないノウハウをお伝えします。
目次
接客マナーとは?
接客マナーとは、お客様が商品を購入したり、サービスの提供を受けたりするとき、スタッフがお客様との関係を構築するうえで必要不可欠なスキルです。「マナー」「サービス」「ホスピタリティ」「おもてなし」など混同しがちな言葉がありますので図1を確認してみてください。
接客マナーを身につけることではじめて、お客様とともに楽しむことができる「おもてなし」を意識することができます。
接客のプロフェッショナルに欠かせない「気働き」
究極は一人一人のお客様に合わせた接客です。そのためには「気働き(きばたらき)」が必要となります。気働きは「目配り」「気配り」「心配り」の3ステップから成り立ちます。
まず、お客様が何を求めているのか、声をかけていいのかどうかなど、相手を観察する「目配り」。次に、相手のタイミングに合わせて行動する「気配り」。行動するためには接客マナーのスキルと商品知識・情報力が必要です。そして最後の「心配り」は、「このお客様にはこうしたら喜んでいただける。一緒に自分も楽しもう」というように、マニュアルではなく、一人一人のお客様に寄り添った接客ができるようになることです。
ここまでできると、「接客のプロフェッショナル」といえるでしょう。ときには「ほうっておいて!」オーラを漂わせているお客様もいらっしゃいます。そのようなときは「何かありましたらお声かけください」と1人の時間をつくって差し上げるのも「心配り」といえます。
接客マナーが必要な理由は?
最近はお店に行かなくてもインターネットを使って簡単に必要なものが手に入る時代です。そのような状況の中、インターネットにはない、リアル店舗ならではの強みがスタッフとのコミュニケーションです。特に「情報提供をしてくれる知識が豊富なスタッフがいる」ということは大きな強みです。またそのようなスタッフがいることは他のリアル店舗との差別化にもつながります。
しかし、知識が豊富なだけで挨拶もできないようなスタッフでは、逆にお客様を不快にさせてしまいます。お客様との信頼関係の基本となるのが接客マナーです。「基本的な接客マナー」があってこそ、リアル店舗の強みであるコミュニケーションをとることができるのです。
「接客マナー5原則」は第一印象の基本
お店の評価にとって第一印象は非常に重要です。お客様は商品そのものだけでなく、店に滞在する心地よさの「サービス」も期待します。同じブランドが近隣エリアにあるのなら気持ちよく買える店を選ぶでしょう。「このスタッフから話を聞きたい」「ここで買いたい」と思われるかどうかが大切です。ほとんどのお客様はパッと見て感じが悪ければすぐに店を出ます。その重要な第一印象は「接客マナー5原則」が基本となりますので、スタッフに指導する際にも丁寧に教えるようにしましょう。
挨拶
第一印象は7~8秒で決まるといわれ、この短い時間でスタッフだけではなくお店の評価も決まるといわれています。挨拶をするときは背筋を伸ばし、笑顔でハキハキと「いらっしゃいませ」とお声かけしましょう。気持ちのよい挨拶ができることは接客業だけでなく、社会人として大切なスキルです。笑顔で挨拶することは、お客様だけではなく自分自身の心も豊かになります。
また、スタッフ同士の挨拶も意外とお客様は聞いています。「お疲れさまです」「お願いします」など、スタッフ間の連携のよさはお店の信頼感にもつながります。
挨拶の練習は鏡に姿を映してロールプレイングを行い、またスタッフ同士でもチェックしましょう。
表情
表情の基本は笑顔です。挨拶や話しかけるときなどは、笑顔を意識しましょう。特にお客様がはじめてのお店に入るときは警戒心を抱くことが多いようです。お客様の「心のハードル」を下げるのがスタッフの感じのよい笑顔です。入店の際に不快に感じたこととして「店員が無表情」「目を合わせない」という声をよく耳にします。お店に出る前に必ずチェックしましょう。
ただし、クレーム対応時や相談にのるときなどは、その状況に合わせた表情でお客様の心に寄り添うことが大切です。
態度
姿勢がよく、言葉遣いが丁寧でも「商品の扱いが乱暴」「私語が多い」など失礼な態度をとっていることはないでしょうか。失礼な態度は悪い口コミにつながりやすいものです。悪い口コミはよい口コミの2倍以上のスピードで広まるといわれています(グッドマンの第二法則)。現在のインターネット社会ではさらにスピードアップしているでしょう。
また、自分ではしっかりやっているつもりでも、気が抜ける瞬間は誰にでもあるもの。お客様と接しているとき以外も常にお客様から見られていることを意識しなければいけません。
身だしなみ
第一印象において、人はまず視覚で情報を得ます。「身だしなみ」「表情」「姿勢」など“見た目”のことです。その中でも「身だしなみ」はお店のイメージを決める重要なファクターです。靴が磨かれていなかったり、髪が不潔だったりすると、お店まで居心地の悪い空間になってしまいます。まずは「清潔第一!」、そしてお店の雰囲気や他のスタッフとの調和を考え、身だしなみを整えましょう。基本のチェックリストをご参照ください。
言葉遣い
お客様への言葉遣いは「丁寧」であることが原則です。フレンドリーと勘違いし、友達に使う言葉で話すとお客様を不快にさせてしまうこともあります。“親しみやすい”と“なれなれしい”は全く異なりますので注意が必要です。ただし、丁寧すぎるのは、逆に慇懃無礼(いんぎんぶれい)で失礼になったり、冷たい印象を与えてしまったりすることも考えられます。大切なのは、お店の雰囲気やお客様に合わせた話し方です。
丁寧な言葉遣いの基本となる敬語は「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」「美化語」と変化がたくさんありますが、まずはしっかり基本を覚えることで応用につながります。
気持ちのこもった「接客7大用語」の伝え方
これから紹介する用語はいずれも接客でよく使う重要な用語です。単に用語を知っている、使っているだけではマナーがしっかりしているとはいえません。どのような気持ちで、どのような状態で伝えるかが大切です。心地よい雰囲気のお店を作るためにも、まずは店長・リーダー自身が積極的に「伝え方」を意識していけるとよいでしょう。
「いらっしゃいませ」
お客様が来店されたときの第一印象につながる大切な言葉です。笑顔で明るくハキハキとお客様のほうを見てお声かけしましょう。音程としては少し高めの「ソ」の音ぐらいが、相手に声が届きます。
この言葉には「たくさんあるお店の中からここを選んでくださってありがとうございます」「何度もご来店ありがとうございます」「お忙しい中、お店まで来ていただきありがとうございます」といった歓迎と感謝の気持ちが込められています。商品整理や品出しなどで忙しくても店舗の入り口にはいつも気を配っていることが必要です。
「少々お待ちください(ませ)」
「お客様をお待たせして申し訳ない」という気持ちを込めましょう。もちろんお待たせしないですぐにお答えできるのがベストですが、なかなかそうはいきません。確認や調整など少しでもお客様をお待たせしてしまうときは、この言葉を忘れずに。
「かしこまりました」
お客様からの要望や注文を受けたときには「かしこまりました」か「承知いたしました」を使いましょう。「確かに承りました」との意思表示の言葉です。会釈とともに語尾までしっかり言い切ることで信頼感がうまれます。
「お待たせいたしました」
お待たせしたときに使う言葉です。お時間をいただいてしまい申し訳ない、という謝罪の気持ちを込めることが大切です。「大変お待たせいたしました」としたり、「お待たせいたしまして、申し訳ございません」と謝罪の言葉を加えたりして状況に合わせた言葉にしましょう。
「申し訳ありません」
お客様にご迷惑やご不便をおかけしたときの謝罪の言葉です。状況により「申し訳ございません」とし、誠心誠意、心を込めて深いお辞儀も忘れずに。このとき大切なのは、「自分がもしお客様の立場だったら……」と相手の立場になって考えること。言葉にこもる心が変わるはずです。
「恐れ入ります」
感謝の気持ちを表す言葉ですが、クッション言葉としては申し訳なく思う気持ちを表現しています。いずれにしてもお客様にお手間をとらせていることになりますので、笑顔のなかにも申し訳なく思う気持ちは必要となりますので丁寧に伝えましょう。
「ありがとうございます(ました)」
接客用語のなかでも最も重要といっても過言ではありません。ご来店に感謝、ご購入に感謝、この感謝が接客の基本です。心を込め、笑顔で「ありがとうございます!」と伝えましょう。
まとめ
接客マナーは人間関係の基本であるコミュニケーションには欠かせないものです。そして、この基本ができていることが繁盛店になる必要条件のひとつといえるでしょう。単に「挨拶をしよう」「丁寧な言葉遣いを使おう」とスタッフに指導するのではなく、なぜ重要なのか、お客様にはどう映るのか、どのような意識で使うべき言葉なのか、といった接客マナーのなかにある真意を伝えることが大切です。「気配り」「目配り」「心配り」で、一人一人のお客様に合わせ、自分たちも楽しめる接客ができるようスタッフ全員のスキルアップを心がけましょう。