2019年12月19日

お役立ち情報 大規模停電、店舗としてできる停電対策は?~レジ、自動ドア、冷蔵庫はどうする?~【災害対策シリーズ・第2回】

有事のときに本当に“いいお店”かどうかが分かる。お客様、スタッフ、そして店舗を守るための災害対策シリーズ第2回は、店舗の停電対策です。大地震や風水害に備える際には、店舗やスタッフに対する物理的な影響だけでなく、停電や断水といったライフライン被害にも備える必要があります。電力を失った場合、どのような準備をしておけば営業を維持することができるのか、あるいはどうすればすばやい仮営業にこぎ着けることができるのか、考えてみましょう。

大地震による「被災地以外」の大規模停電

昨今の災害では、被災地そのものに対する物理的な影響だけでなく、直接的な被災地とならなかった地域における停電・断水被害が問題になっています。例えば大地震、2018年9月の北海道胆振東部地震では、「全道停電」という想定外の事態が発生し、北海道全域で数日間停電が継続しました。発電所が停止したことで、電柱などの送電設備が無傷の地域でも停電する可能性があるというのは、今後の教訓と言えます。

この地震では停電対策を徹底していたコンビニエンスストア「セイコーマート」が、道内95%以上の店舗で営業を維持したというBCPの好例を残しています。自動車からの最低限の電力供給、電源不要の会計端末の準備、ガス釜による店内調理の維持など、「何かしらの原因で電力を失ったらどうするか」という視点の対策を徹底していた成果と言えるでしょう。

また2011年3月の東日本大震災でも首都圏で「計画停電」が実施されました。これも停電地域の送電設備は無傷でしたが、原発が停止することで電力不足を招いた結果という意味で、胆振東部地震と同じ「被災地以外の停電被害」の事例と言えます。胆振東部地震のような「数日間」の連続停電だけでなく、数時間の停電が繰り返し生じるという計画停電も、今後生じないとは言い切れませんので、BCPによる対策が必要な対象と言えます。

では地震と並ぶもうひとつの自然災害、台風による停電はどのようになっているのでしょうか。

台風による「広域&長期」の大規模停電

2018年9月上旬に関西電力エリアで特に大きな被害を出した台風21号。暴風により電柱1,000本以上が倒壊、また倒木などの影響で山間部を中心に立入困難な地域が点在し、2週間にわたり最大240万戸が停電しました。同9月末に今度は中部電力エリアで特に大きな被害を出した台風24号。こちらは暴風により配電線に飛来物が絡みつく被害が多発し、撤去と修理に時間を要したため、1週間にわたり最大180万戸が停電しました。

さらに2019年には、9月上旬に東京電力エリアで特に大きな被害を出した台風15号により、大規模な停電被害が生じました。暴風およびその飛来物による配電設備の故障が相次ぎ、特に送電線の鉄塔が倒される、山間部の施設が倒木と土砂災害でメチャクチャに破壊されるといった状況が多数生じ、2週間以上にわたり最大93万戸が停電。とりわけ千葉県内においては1週間経っても8万戸が停電から復旧しないなど、長期間の停電が問題となりました。

停電被害はこれらの地震や台風によるものだけとは限りません。大雪による送電線の寸断、海辺の暴風で生じる塩害によるショート、大雨の浸水による設備の水没、大規模な噴火による降灰での送電設備破壊、さらに人為的な事故や火災などが生じた場合も停電を招く恐れがあります。

ライフライン対策は、その原因となる「災害」側に備えるのではなく、その「結果」側、つまり「何かしらの原因で停電したら、とにかくどうするか?」という考え方で取り組む必要があるのです。

では、どのような対策を講じるべきでしょうか。考え方は2つあります。

①「電力そのもの」を備えるための準備

停電対策としてまず思い浮かぶのは、「電力そのもの」を準備することです。

・小型のポータブル発電機やソーラーパネルで「電気をつくる」
・モバイルバッテリーや建物用蓄電池、または乾電池で「電気をためる」

といった手段が想定されます。

店舗の場合は100Vの電源が取れるような設備を準備しておき、これで最低限の設備や機材を動かして営業を維持することになります。ポータブルの発電機を準備する場合や、パソコンやIT端末を動かしたい場合は高品質な電気(正弦波)を作れる「インバーター発電機」が必要となります。

また、発電機を選ぶ際には停電時に動かしたい機器の「定格出力(W)」の合計数を満たす出力のものを選ぶ必要がありますが、扇風機・エアコン・冷蔵庫など「モーター」を使う機器の場合は、起動直後に大きな電流を必要とするため、定格出力ギリギリの発電機では動き出さない恐れがあります。

余裕を持った出力の発電機を準備するか、発電機を使う際にまずモーターで動くものから接続、起動したら他の機器を接続といった方法も考えられます。 店舗にソーラーパネルがついている場合は、一見すると日中であれば店舗内の大部分の機器がそのまま使えそうですが、実はソーラーパネルは停電すると使えなくなります。厳密には、非常用のコンセントから最大1,500Wまでの電力を取り出すことはできるのですが、店舗内のコンセントにソーラーパネルの電気を流すためには「インバーター(パワコン)」を動かす必要があり、これの動作には商用電力(電力会社から届けられる電力)が必要になるためです。そのため、非常用コンセントから使いたい設備まで配線できるよう、長めの延長コードや電工ドラムなどを準備しておくとよいでしょう。

②「電力の代替手段」を備えるための準備

「電気」は箱やバケツに入れてためておくことができないため、前述の「電力そのもの」を備える準備にはそれなりの手間やコストがかかります。そのため、そこまでコストを投じることができないという場合には、「停電した場合、電気なしでどう営業するか」を検討し、その際に必要となる道具なりを準備しておくことになります。

・レジ停止に備えて、電卓・ノート・紙の領収書などを準備しておく
・キャッシュレス端末などが停止するため、釣り銭の準備を普段から少し多めにしておく
・照明や冷暖房が確保できず、また自動ドアやセキュリティも全て停止する店内ではなく、屋外で最低限の商品販売を継続するため、アウトドア用のテント(屋根)を準備しておく
・冷蔵庫の停止に備え、早めに食材を調理してしまえるようなカセットガス調理器具を準備しておく

といった具合です。 電力なしで通常の営業を続けることは困難です。「非常時に維持しなければならないサービス・販売したい商品」を事前に確認しておき、その営業を継続するために「非電源」の何を準備しておけばよいのか、をぜひ考えておきましょう。

まとめ

常温商材が中心の小売店では、停電してもある程度の営業を手作業で継続することができます。一方、IH調理器具の飲食店ではどうにもなりませんし、魚の生け簀がある飲食店やアクアリウムがあるペットショップでは、停電により商材の全てを失う恐れもあります。「停電」による被害の程度は業態ごとに大きく異なるため、自店舗の場合はどうか、という想定を必ず実施することが必要です。


執筆者:ソナエルワークス代表 
    高荷智也(備え・防災・BCP策定アドバイザー)
「自分と家族が死なないための防災対策」と「企業の実践的BCP策定」のポイントをロジック解説するフリーの専門家。大地震や感染症パンデミックなどの防災から、銃火器を使わないゾンビ対策まで、堅い防災を分かりやすく伝えるアドバイスに定評があり、講演・執筆・コンサルティング・メディア出演など実績多数。著書に『中小企業のためのBCP策定パーフェクトガイド』など。1982年、静岡県生まれ。

【災害対策シリーズ】
第1回 防災だけじゃだめ?店舗に”今こそ”必要なBCP・事業継続計画とは?

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