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セルフレジを導入するメリット・デメリットとは?1万人の消費者調査を元に解説

2021年09月28日
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執筆者
取材の匠 渡邉奈月

取材の匠 渡邉奈月

中小企業診断士、情報処理技術者。通信事業者のマーケティング担当者、プロダクト・マネージャーを経て財務分析業務に従事。最前線でのWebマーケティングの知見を活かし、中堅・中小企業のマーケティング戦略から制作までワンストップで支援。全国の商工会・商工会議所、民間企業、金融機関、自治体にてセミナー、研修を行い、マーケティングやITの普及啓発に努める。

深刻な人手不足を背景に、導入が進むセルフレジ。導入先進国のアメリカや中国では、顧客体験の向上を謳い、もはやレジのない店舗も増加。日本においては2003年にイオングループがセルフレジを試験導入したことを皮切りに、大手小売チェーンを中心に全国に拡大し、近年では、町の医療機関や飲食店など中小店舗でも見かけるようになりました。新たなレジの導入にはまとまったお金がかかりますが、中小の小売店でも、導入メリットはあるのでしょうか。Shufoo! (シュフー)が独自に行った最新の調査をもとに解説します。

セルフレジとは?

現在、全国的に広く普及しているセルフレジには、大きく2種類があります。レジにまつわる作業を、(1)登録、(2)会計と2ステップに分けた場合、従来のレジは全てを店舗スタッフが対応するのに対し、(1)と(2)両方をお客様が対応するレジを「フルセルフレジ」、(1)は店舗スタッフが行い、(2)のみお客様が対応するレジを「セミセルフレジ」といいます。

セミセルフレジとフルセルフレジの比較。セミセルフレジは登録がスタッフなのに対し、フルセルフレジは登録からお客様にお願いする仕組み。

セミセルフレジは商品登録を作業に慣れたスタッフが行い、会計を2名のお客様が同時並行で行うため、1人あたりのお会計が従来のレジ(通常レジ)に比べて早く完了します。

一方のフルセルフレジは商品登録をお客様が行います。日常的な体験でない場合は、楽しさを感じますが、作業に不慣れなため、従来レジの3倍弱と多くの時間がかかります。

しかしながら、店舗スタッフはアテンダント(支援係)として複数台に1名の配置でよいため、1人あたりのスタッフがお客様の会計をこなせる生産性は、セミセルフレジ以上であり、人手不足解消を目的とした場合の導入効果は高いと言えるでしょう。

  通常レジ セミセルフレジ フルセルフレジ
人的生産性 ※1 お客様1人あたりの
作業時間

68秒

43秒

180秒
スタッフ1人あたりが対応できるお客様の数 53人/時 84人/時 120人/時 ※2
稼働までの手間
エンターテイメント性
概算設置面積 約4.6m2 約7.7m2
└ 登録機:1台(店員)
└会計機:2台(買い物客)
約16 m2
└アテンダント:1名
└フルセルフレジ:6台

※1 平均買上点数10点、現金決済条件で試算した客捌き期待値を併記。
※2 アテンドスタッフ1名あたりフルセルフレジ6台稼働で試算。

(引用:一般社団法人キャッシュレス推進協議会 「自動サービス機におけるキャッシュレス普及促進セルフレジ分科会~19年度活動報告~」P5を参考に著者作成)

近年浸透したセルフレジ。85.2%は「使ったことがある」と回答

消費者は、セルフレジの存在をどれだけ受け入れているのでしょうか。 Shufoo! では、2021年7月に「セルフレジに関するアンケート」と題し、全国の消費者10,291人を対象に調査を行いました。この結果を見ていきましょう。

「積極的に使う」「たまに使う」の合計が約8割

直近1年間でセルフレジを使ったことがありますか?という問いに対し、「使ったことがない / セルフレジを知らない」と回答した人は14.8%に留まり、85.2%の消費者がセルフレジを直近1年間で使ったと回答しました。

使ったことがあると回答した人のうち、「積極的に使う」「たまに使う」の合計は約8割に及びます。「コロナ前とコロナ後で、セルフレジを使う機会は変わりましたか?」の質問に対しては、「かなり使う機会が増えた」「やや使う機会が増えた」の合計は41.4%に至り、コロナ禍における滞在時間短縮や接触現象のニーズからも利用者が増え、もはやセルフレジは日常的な決済手段の一つとして浸透した様子が伺えます。

都心でも地方でも活用。スーパーでの利用者が多い

では、地域別や業種によって浸透の度合いに差があるのかもう少し詳しく見てみましょう。

「使ったことがある」と回答した人の割合を都道府県別に見てみると、1位 鹿児島 95.2%、2位 熊本 93.2%、3位 山口 91.7%、47位 鳥取 74.1%と、1位と最下位で21ポイント程度の差に留まりました。東京都は25位で全国平均をやや下回る84.7 %と、都心と地方における差は少なく全国的な普及が見て取れます。大手小売チェーンのセブン-イレブンが2021年8月までに全国でセルフレジの導入を完了する計画であるなど、大手主導で全国的な導入がされていることが背景にあると考えられます。

一方で、業種間では利用頻度に大きな差が見られ、スーパーがもっとも多く、2位のアパレルと41.1ポイントと差が生じています。

世界ではウォルマート、日本ではイオンといったスーパーを中心に導入されてきた歴史、そして、日用品を買い求めるにあたって「会計を早く済ませたい」というニーズが高い中、アパレルに比べスーパーは、買い上げ点数も多いため、行列が生まれやすい業種であることも、セルフレジが求められる大きな要因でしょう。

セルフレジを導入するメリットは?

大手小売チェーンが、設備投資をしてレジを刷新する背景には、人手不足への対策や顧客体験の向上といった狙いがあります。詳しく見てきましょう。

メリット1 レジの混雑を解消できる

店舗におけるお客様の需要は変化があり、集中すると避けられないのが順番待ちの行列です。以下の2つの理由で、各店舗では、行列への対応が課題となります。

  1. 回転率が低下する、買い物を諦める人が出る
  2. 顧客満足の低下につながる

セルフレジの導入により、(1)において、レジの回転率に向上が見られるのは前述の通りです。また、(2)においても、フルセルフレジはお会計のトータルの時間こそ長くなりますが、レジ台数が増えるため、待ち時間自体は短くなります。待ち時間がストレスになる原因は、「不確実性」と「コントロールできない」という要素から発生します。登録、会計作業をお客様が自ら行うことで、顧客満足度の低下が回避できます。

メリット2 多様な決済ニーズに対応できる

近年は、現金とクレジットカード以外に、電子マネー、コード決済、ポイントカードなど決済手段が増え、これらを利用するときは店員に「○○で決済したい」と伝える煩雑さがありますが、セルフレジでは自らタッチパネルで選択することができます。
また、セルフレジの中には操作方法を多言語で表示できる機種もあり、日本語がわからない方でもお会計をスムーズに行うことができます。

メリット3 スタッフの負担が軽減される

レジ業務の時間短縮による人件費削減に加え、負担が軽減するメリットもあります。人的ミスが0になることはありません。レジ業務で打ち間違いやお釣りの渡し間違いが発生すると、クレーム対応や、レジ締め時に何度も現金を数えるなど、精神的・時間的な負担を強いることになります。セルフレジはスタッフをこれらの負担から解放することができるようになるため、顧客満足度と従業員満足度両方をあげる効果があります。

セルフレジの気になるデメリットを徹底解説

メリットの一方で、「面倒だと思われないか」「人件費削減というが、投資は本当に回収できるのか」「盗難による商品ロスが増えるのでは」などの懸念もあります。調査結果をもとに、紐解いていきましょう。

デメリット1:セルフレジは顧客満足度が下がる?

87%以上の消費者がセルフレジを設置する店舗に良い印象

先ほど、自ら行為をコントロールできるようになることでお客様のストレスは下がると述べました。このことは調査結果にも表れています。

お客様がセルフレジを使う理由として、第1位は「対面式のレジまたは店員さんが会計までしてくれるレジが混んでいるから」。次いで第2位は「自分のペースで会計できるから」ですが、この回答をした人は、利用頻度について「積極的に使う」が「たまに使う」を上回っています。

また、セルフレジを設置する店舗に対する印象を訪ねたところ、「とても良い」「良い」の合計は、フルセルフレジで88.6%、セミセルフレジで87.1%と高い数値を示しています。

このことから、セルフレジが消費者への投資として好意的に捉えられていること、そしてお会計という顧客体験に選択肢を与えられていることが満足につながっていることが伺えます。

「うまくスキャンできない」「操作に時間がかかっている人がいる」に不満

一方で、セルフレジに対する不満がまったくないわけではありません。フルセルフレジでは76.9%と、セミセルフレジの49.9%に対し不満を抱える人が多い傾向にあります。フルセルフレジに対する不満の上位1位は「うまくスキャンできないことがある」36.4%、2位「バーコードがない商品や割引の対応が面倒」28.6%と、登録作業にまつわるものであり、これをスタッフが行うことで不満を解消しているのがセミセルフレジであるとも捉えることができます。フルセルフレジの導入に際しては、インストアマーキングを併用してバーコード率を高めることも検討しましょう。

もう一つのセミセルフレジにおける不満を見てみましょう。「不満はない」とする人が50.1%に上る一方、不満の第1位は「操作に時間がかかっている人がいる」22.2%です。お客様としては「時間がないからセミセルフレジを選んだのに…」といった心境でしょう。

セルフレジに対する印象の変化を問う質問においては、「仕方なく利用したが慣れた」「慣れれば、レジが早く終わる様な気がする」との回答が複数ありました。お客様にレジ操作に慣れてもらうことが不満解消のポイントです。店舗側の対応策としては、セルフレジ導入から当面、お客様の来店頻度を考慮した期間を設定し、商品を登録するスタッフ以外にお客様の操作をサポートするスタッフを配置するなどの工夫をするとよいでしょう。

デメリット2:トータルで見るとセルフレジはコストが高い?

年々高騰する人件費。省力化を図り、人件費削減を目論んでも、導入コストやランニングコストがかかり、結局コストが高くなってしまう懸念も拭えません。これを防ぐには、見えないコストも含め費用対効果を数値化し、試算することが重要です。では、具体的に検討していきましょう。

費用対効果を上げるポイント

例えば、省力化のためにセルフレジを検討しているのに、「DXに使うためAIでの売上分析機能を入れよう」「販促のためのレコメンド機能をつけよう」など、あれもこれもと機能を追加すると機器は高額になります。多機能になればなるほど、スタッフへの教育コストもかかります。目的に応じて機能に優先度をつけ、スコープを絞りましょう。

また、これらの効果を得るにはセルフレジの稼働率向上が前提になります。試算して意思決定した後も、月に1度など、目的の達成状況を定期的に確認しましょう。

導入コスト

導入にあたっては、まずセルフレジの設備投資がかかります。現金の自動精算機付きで1台100万円を切る機種もありますが、他のレジや、在庫管理や会計等各種システムと連携すると高額になります。付随して、設置費用、トレーニング費用などがかかる場合もあります。

これらのまとまったお金に対しては、補助金が使えるケースがあります。
審査があり全店舗が補助されるわけではありませんが、費用対効果が大きく変わるため積極的に検討するとよいでしょう。導入時のコンサルティング、教育、マニュアル作成の費用も含めて補助金が支給されるものもあります。

その他、間接的ではあるものの、防犯カメラの設置費用やスタッフへのオペレーション教育費用なども試算しましょう。

ランニングコスト

前述のような初期投資のない、初期費用0円・月額制のサブスクリプション型や、リースの料金プランを設定するベンダーも増えています。中には月額1万円程度のセルフレジも出てきました。

また、初期投資を支払って導入したセルフレジでも、保守費用、サポート費用が毎月1台あたり数千円〜数万円かかることもあります。業者によって料金プランに差があるため、導入の際は、ランニングコストを含めた相見積もりをとるようにしましょう。

商品ロス

セルフレジ先進国である欧州では万引きが深刻化し、ある英国の調査では、セルフレジの商品ロス率が、有人レジの2.5倍という結果もあります。国内でも「盗まれる率が高くなる」という店舗の声もありますが、大手チェーンの大半は商品ロス率に影響は見られないとし、セルフレジを推進する企業が中心です。

その理由は、店内に防犯の仕組みを設置していることが大きいようです。整理整頓、死角のない売り場づくり、防犯カメラの設置、スタッフの挨拶など、狙われない店舗づくりを、セルフレジ導入を機に一層推進することが望まれます。

買い上げ点数の減少

従来のレジとフルセルフレジを同時に設置した場合、フルセルフレジの買い上げ点数が下がる傾向にあります。これは、面倒なスキャン作業を避けるため、買い上げ点数が少ないお客様がフルセルフレジを選んでいることが背景にあります。

レジレスやスマホで読み取りから決済まで行うセルフレジでは客単価が上がっているという報告もあり、店舗全体で評価することが費用対効果を見誤らないポイントです。

効果面

費用対効果の「効果」について、導入目的毎に検討を進めましょう。

  • 人件費削減

先に述べた通り、ある試算では、セミセルフレジ が約1.5倍、フルセルフレジで約2倍の生産性向上が図られます。導入事業者は好事例から数値を算出する傾向があるため、保守的に、混雑時のレジスタッフ数をどれだけ削減できるか試算します。

  • 人手不足への対応

セルフレジはスタッフの操作手順が少なく、また操作性が高いことも多いため、新人トレーニングの時間短縮が期待できます。また、従業員満足度が上がれば、採用コストを抑えることができます。削減した時間で、接客、発注、販促などやりがいを感じやすい業務を兼ねるなど、スタッフの教育計画も見直しましょう。

まとめ

セルフレジは店舗のコスト削減施策であると同時に、お客様の買い物体験を大きく左右するものです。今回の調査からは、セルフレジはすでに全国的に浸透しており、設置によってお客様の印象を悪くするものではないことがわかりました。高度な機能がなくとも、対話を増やす、袋詰めのサポートをするなど、地に足のついた顧客満足度の向上は可能です。導入の際は、目的を明確化し、お客様、スタッフ、店舗の三方よしになるような計画を立てましょう。

調査概要

「Shufoo!」利用者調査
調査エリア:全国
調査対象者:「シュフーポイント」会員(全年齢層の男女)
サンプル数:合計有効回答サンプル数10,291名
調査期間:2021年7月9日~7月13日
調査方法:インターネットリサーチ
*小数点第二位以下は四捨五入しているため、比率の合計が100%にならない場合があります。

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