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売りづらい時代のための色彩心理! 色がお客様に与える影響とは?

2019年10月24日
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消費税増税により、お客様の財布の紐は硬くなるだろうと容易に察しがつくものです。消費が冷え込む売りづらい時代にこそ、「色」がお客様に与える効果・影響はより一層大きくなり、結果的に集客や売上に大きく関わると筆者は考えています。今回、店舗づくりにおいて色がお客様の行動や心理にどう影響を与えるのかを事例とともに紹介します。

色がお客様に与える感情効果・心理的効果

売りづらい時代とは社会情勢が不安定である状態でもあり、私たちの心も不安を抱きます。そんな時代には、色を見たお客様の心理や感情を掴みとることが集客や売上に効果があると考えています。筆者は以前に住宅販売に携わっていましたが、バブル崩壊後とリーマン・ショック後という消費が冷え込んだなかでも、色を使った工夫をしたことで売上を伸ばすことができました。これまでの経験から、売りづらい時代の消費者の心はいつも以上に色を強く求めると考えています。

色の持つ作用には、カラーコーディネイトのような「デザイン性」と、色彩心理による「感情効果・心理的効果」があります。一般的に色彩心理では、色と私たちの心は密接に結びついていると言われています。ここでは、集客においてお客様に影響を与える「感情効果・心理的効果」を主な5つの色をもとに説明します。

■赤色:情熱的な色と言われ、購買意欲を上げやすいのが赤色。女性らしさを表す色でもあります。よく目立つため、注意を引きやすいです。ただし、赤色は使う分量に注意が必要です。例えば、店内全体に赤を使うとお客様の感情が高ぶり、お客様をイライラさせてしまうことも。

■黄色:親しみやすい色と言われている黄色。そのため、黄色に白色を混ぜたベージュはインテリアによく使われています。ただし、個性や特徴が出づらいので無難に収まり、お客様の印象に残らないことも。また、子どもっぽいイメージ、安価なイメージもあります。

■緑色:自然をイメージさせ、フレッシュさを感じさせる緑色。気持ちをリラックスさせ心を癒します。多用しても赤のようにイライラさせませんが、購買意欲を刺激するほどには至らないものです。

■青色:爽やか、冷静、大人のイメージをもつ青色。心を落ち着かせるので、青色の店内はお客様にとっては長居しても苦になりませんが、回転効率が悪いことがあります。また、よく男性が好む色ですが、最近は社会進出した女性が同系統の水色を好む傾向です。食欲が出ない色でもあります。

黒色:高級感や格式の高さを感じさせる黒色。都会的なシャープな印象を与えます。ただし、お客様が距離を感じやすい色であり、気軽には入店しにくい印象が持たれます。

店舗づくりのポイントは「色」と立地・コンセプト・ターゲットのバランス

「色」を意識した店舗づくりでは、ただ色を取り入れればいいというわけではありません。よくある勘違いは、風水のようにその色を塗ればお客様が来店したり、購入したりすると思っていることです。それほど単純ではありません。

先述のように、それぞれの「色」にはいくつかの特徴があるように、ひとつの色でも多面性をもっています。そのため、一見店舗とミスマッチと思う「色」でも別の一面で効果を発揮することがあるものです。だからこそ、「色」を取り入れるだけでなく、ほかの要素をしっかりと確認する必要があります。 当然のことながら、店舗づくりにおいては「立地」「コンセプト」「ターゲット」が大切です。私もマーケティングの観点で出店計画や店舗リニューアルの際にはこの3つのポイントを必ず見ています。繁盛店は、この3つのバランスに加えて「色」を上手に取り入れています。ここでは「色」を取り入れて集客に成功した4つの事例を紹介します。

外観が水色なのに繁盛した飲食店

水色の飲食店(イメージ)

水色は青色と同じく、食欲を減退させる色です。そのため、飲食店には合わないと言われています。しかし、外観が水色にもかかわらず繁盛している飲食店があります。
この飲食店がターゲットとしたのは、30代、40代の癒しを求める女性でした。まさに、水色を好むターゲット層です。さらに「ファミレスよりは高級で、ホテルよりはカジュアルな空間と食事」というコンセプトと、車を止めやすい立地がターゲット層に支持を集め、多くの人で賑わっています。外観はターゲット層の興味を引く水色を使いましたが、内装は茶色とベージュを使ってコンセプトに合うように親しみやすさと上品さを演出しました。

一般的には飲食店と合わない青系の色ですが、店舗のターゲットであるお客様が好むかどうか、その反応を確認し、立地・コンセプトとともにバランスを取ったことで集客につながった事例です。色一つですが、他店にはない個性のある店舗ができたのです。

青色の外壁でお客様を冷静にさせてしまったログハウス展示場

青色を好む経営者が展開していた、青いログハウスの展示場。当時、住宅販売の仕事をしていた筆者はこの経営者から広告の依頼を受けました。広告を出したことでお客様の反応はあるようでしたが、その後の後追い営業ではあまり手応えが無いようでした。筆者は、展示場に来店するお客さまの様子や行動を何度も確認してみました。

そこで、家という一生に一度の買い物なのに、この展示場のお客様はやけに静かなことに気づきました。人を冷静にさせる青色がお客様の購買意欲の向上を妨げている可能性があったのです。

改めて確認すると、展示場の立地は競合他社に比べて幹線道路ではなく、車の往来に少し不便な住宅街。コンセプトは「木の家」なのに、木の温もりを感じない紺に近い青色。それに明確なターゲット層も定めておらず、全てがバラバラでした。

ログハウス(イメージ)

そのため、立地を鑑みてコンセプトを「上品な木の家」とし、ターゲットを「住宅街に住む女性、高級志向の女性」と定めました。さらに、展示場の外壁を赤系の焦げ茶に塗装し、住宅街に相応しい女性が好む高級さ、品の良さを演出。赤色は女性らしさを表し、購買意欲を刺激します。その赤色に高級感を表す黒色を混ぜて深く濃くしていくと、高級感のある赤系の濃い茶色になります。茶系なので、木の家というイメージともマッチ。外壁を変更してからしばらくすると、ターゲット層に勢いよく売れはじめ、年間の販売棟数が前年から大きく増加しました。

同じ青色でも、先述の飲食店とは異なり、必ず自社の色を見たお客様の様子や動き、反応をよく見て、立地、コンセプト、ターゲットと合うのかを考えることが大事です。

看板の色、コンセプトで客層の変化が可視化されたスーパー

複数店舗を運営するスーパーマーケット。こちらの会社では、自社の古い店舗の近くに自社の大型店舗を新しく建てたとき、古い店舗と新しい店舗でお客様の反応がどう違うのかを検証しました。

旧型の店舗の看板は、白地に赤の文字。昭和の雰囲気が漂い、コンセプトはありませんでした。新しい店舗は、茶系をベースに店名のロゴを(フレッシュさを表す)緑色にした看板で、「いつも新鮮」がコンセプト。商品とその価格は双方の店舗とも全く同じで、立地もほとんど変わりません。

新しいスーパーマーケットの店舗は、茶系をベースにロゴを緑色にした。(イメージ)

すると、旧型の店舗には、軽自動車でエプロンにサンダルを履いた40代女性が多く来店。一方の新しい店舗には、おしゃれな外車にワンピース姿の40代女性が中心に来店しました。実はこの客層の違いは、狙ったものではなく偶発的なものだったようです。

私たちは建物の外観、看板の色などを見て、その見た目のイメージから「こちらが安い」「こちらは高いけれど良質なものを売っている」と判断しています。 人は色の影響を受けやすく、看板の色、コンセプトを変更するだけでも客層は変わるということがうかがえる事例です。

色、立地、コンセプト、ターゲットのバランスが取れて売上50%アップを達成した漢方薬局

高級感・格式のある漢方薬局に変更(イメージ)

立地、コンセプト、色が固定されていた、小京都と呼ばれる観光地の漢方薬局です。当初は親しみやすい黄色の看板で、観光地を訪れた観光客も入りやすくジュースやのど飴を買っていました。

しかし、市の条例により町家風の格式ある黒系の外観に変えることになりました。すると格式の高さを感じさせてしまい、それまでターゲットとしていた観光客は中を覗くのですが、入店してくれない状況に。

そこで、ターゲットを見直しました。漢方薬は、10万円もするような高額な商品もあります。まずは、ターゲットを不妊治療など専門的なお悩みを抱える地元の富裕層に絞り、コンセプトも「高級感・格式のある漢方薬局」に変更したことで、風情のある立地、格式の高さをウリにするコンセプト、高額な漢方を求めるターゲット、高級感を表す色と、4つのバランスが取れました。そして、押し出す商品もはっきりしたことでターゲット層の集客に成功し、売上が50%アップしました。

まとめ

売りづらい時代であっても、色が人に与える感情効果や心理的効果を利用して、お客様の心理・感情を掴み集客や売上を伸ばすことができます。それぞれの色の持つイメージ、色を見たお客様の様子や反応とともにマーケティングの観点、立地、コンセプト、ターゲットを考慮する必要があります。全てのバランスが取れていることが繁盛店につながります。そして、必ずお客様の様子や反応を見て、4つのポイントのバランスが取れているかを確認することが大切です。


執筆者:株式会社ローズ・ウェッジ 代表取締役 うえた さより
集客の心理的アプローチ、科学性のある新しい売り方が特徴の経営コンサルタント。「経営者のための会社の競争力を高める集客戦略」というコンサルティングテーマをもち、指導している。リーマン・ショックから売上が上がったログハウスの会社、公共事業激減から10年右肩上がりの建設会社、過疎地に進出しグループ企業内顧客単価第1位になったスーパーなど危機的状況を救う。「色」「女性目線」をキーワードにした経営、マーケティングのセミナー、講演、コラム執筆、テレビ出演多数。

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