2020年01月17日

お役立ち情報販促・集客 地震対策から保険の見直しまで。2020年に向けて行いたい事前対策とは?【災害対策シリーズ・第4回】

有事のときに本当に“いいお店”かどうかが分かる。お客様、スタッフ、そして店舗を守るための災害対策シリーズ、第4回では前回のコラムでおこなった「2019年以前の振り返り」をもとに、2020年に行っていくべき防災・BCP対策について紹介をしてまいります。多くの災害教訓を得ながら「何もしていませんでした」とならないよう、2020年代に向けた防災対策の方向性を探っていきましょう。

基本にして最重要な大地震対策

前回のコラムでお伝えした通り、日本では北海道から沖縄まで、いつでもどこにでも最大規模の大地震が発生する可能性があります。外国には地震リスクをほとんど無視できるような地域もありますが、日本で店舗を構える以上、「地震が少ない地域」という場所は存在しないため、店舗の地震対策は不可欠となります。大地震が相次ぎ、沈静化する気配すら見えない昨今、この状況は2020年代に向けても変わりません。

あなたの店舗は新耐震基準の建物?

地震対策で最も重要な項目は「建物対策」です。どのような地震対策を施しても、建物が潰れてしまえば全てが無駄となります。日本の建築物は「建築基準法」の「耐震基準」により、地震に対する設計がなされています。耐震基準は大地震のたびに見直されており、直近では1981年6月1日に改正された「新耐震基準」が重要な指標となっています。

店舗のある建物がこの日付よりも後に建てられた(厳密には建築確認申請を受けた)ものであれば、大地震の直撃を受けても1発目で即倒壊する恐れは小さいのですが、この日付よりも前に立てられた「旧耐震基準」の建物である場合は、大地震で即建物が倒壊する恐れがあるため、まずは建物の耐震化や店舗の移転を検討しなければなりません。

転倒、落下、移動、飛散を防止

建物に問題がなければ、店舗内部の安全対策を行います。背の高い什器の転倒防止、高い場所に置いてある資材の落下防止、キャスター付きで重量のある機材の移動防止、ガラス製の窓や扉、ディスプレイの飛散防止などが必要です。

ガラスの飛散防止対策は、2019年の台風15号で問題となった飛来物による窓ガラスの破損にも有効です。建物を潰さず店内の安全を確保することは、事業継続だけでなくお客様の安全を守るためにも不可欠な準備となります。あらためて自店舗の地震対策ができているか、確認をしておきましょう。

小規模な飲食店にも消火器を設置・点検

2016年の12月、新潟県糸魚川市でラーメン店のコンロの消し忘れを原因として大規模火災が発生しました。幸いに死者は生じませんでしたが、147棟・30,000㎡を焼損する大惨事となりました。この被害を受け法律(消防法)が改正され、2019年10月1日以降、「延べ面積にかかわらず全ての飲食店」に消火器などの消火器具を設置することが義務づけられました。

設置した消火器については「半年ごとの自主点検」と「1年ごとの消防署への報告」が義務づけられていますので、2019年に消火器を設置した店舗については、2020年中に点検と消防への報告書提出が必要となりますし、まだ設置ができていない店舗の場合は消火器などを購入して店内に設置する必要があります。

法律で義務づけられているから設置する、というのはもちろんですが、火災の初期消火を行う際には消火器の効果が絶大です。店舗の安全を確保する有効な手段として、ぜひ消火器の設置や防災訓練での利用体験を行ってください。

ハザードマップによるリスクの確認

ハザードマップは災害の種類ごとに異なる地図が作製されます。
大地震であれば津波や地震火災のハザードマップ。台風や大雨であれば高潮・洪水・内水氾濫などの浸水や土砂災害のハザードマップ。また地域によっては噴火ハザードマップやため池氾濫ハザードマップなどが作成されている場合もあります。

1種類の地図だけをみて判断するのではなく、店舗のある地域で公開されている全てのハザードマップを確認し、どの災害でどの程度の影響が生じるのか、を認識しておく必要があります。

手軽に閲覧できるハザードマップとしてまずおすすめしたいのが、国土交通省の「重ねるハザードマップ」です。

パソコンまたはスマートフォンなどで閲覧することができ、日本中任意の場所の地図を表示させ、そこに「洪水・土砂災害・津波」の影響を重ねて表示させることができます。

こちらは東京駅周辺の地図に、洪水の影響を重ねて表示させたものです。ページ上部の検索ボックスに調べたい場所の住所や施設の名前を入れて地図を表示させ、ページ左にある情報ボックスから表示させたい情報を選択します。

洪水ハザードマップを閲覧する場合は、「洪水」ボタンを押し、さらに下のリストから「想定最大規模」「計画規模」の2項目を選択してください。

自治体が作成するハザードマップは市区町村単位でしか閲覧ができませんが、重ねるハザードマップは任意の地点・縮尺で表示させることができますので、「自宅と店舗の両方を表示させたい」「複数の市にまたがる店舗全てをまとめて表示させたい」といった場合に便利です。この記事をご覧になっているということは目の前にパソコンかスマホがあるはずです。ぜひリンクをクリックして店舗周辺のハザードマップを閲覧してください。

自治体のハザードマップで避難場所を確認

重ねるハザードマップとあわせて確認いただきたいのが、自治体が作成するハザードマップです。パソコンやスマートフォンで「○○市 ハザードマップ」と検索するか、国土交通省の「わがまちハザードマップ」で対象地域から検索し、閲覧することができます。

また、役場の防災課や危機管理課などの窓口で紙のハザードマップをもらえる地域もありますので、店舗に貼っておきたい場合などは問い合わせてみるのもよいでしょう。自治体のハザードマップも、表示されている被害想定の情報は重ねるハザードマップと同じです。これに、災害の種類ごとの避難場所の情報や、町の防災設備の情報などが記載されていたり、重ねるハザードマップではカバーされていない小規模河川などの被害想定が策定されていたりします。

特に店舗周辺で、津波・洪水・土砂災害などが生じる地域の場合は、発生時の避難場所を確認しておく必要がありますので、自治体のハザードマップも確認をしてください。

保険の見直しとリスクファイナンス

近年相次ぐ大規模災害と、これにより多額の保険支払いの影響もあり、2019年10月より火災保険料が大幅に引き上げられました。

また、2020年度中にも再度の引き上げが検討されており、「今保険に加入すると高いから、安くなるまで待とう」という考え方はまったく通用しない状況になっています。

今後も大規模災害が発生するたびに保険料の引き上げが想定されますので、特に資金繰りが厳しく大被害を受けた場合の対応が難しい店舗ほど、保険加入が不可欠となります。

新規の保険加入・既存の保険見直しに共通することですが、まずはハザードマップを見てどのようなリスクに見舞われる恐れがあるのかを認識しておくことが重要です。

「浸水の可能性がある地域であれば、火災保険に付帯の水災補償の内容を確認しておく」「津波の恐れがある地域であれば地震保険を追加しておく」「自然災害以外のリスクにも対応したいのであれば店舗保険に加入しておく」などの検討が必要です。

休業による損失はどうする?

また、損害保険は「物理的被害の補填」には有効ですが、休業による機会損失に対しては別の対応策が必要です。

店舗休業保険への加入や特約の付帯などが考えられますが、保険金が支払われないケースに対応するために、生命保険にも加入しておき、解約返戻金や契約者貸付制度で当座の運転資金を確保するといった対応も検討できます。

物損を補填する準備、固定費をまかなう準備の両面を検討しておきましょう。

まとめ

防災対策は、自然災害による「被害」を減らすためには有効ですが、万全な対策を講じてなお生じてしまった損失を補うことはできません。損失に対応するためには、つまるところ「お金」を準備しておく必要があります。2020年にも大規模な自然災害の恐れは当然にあります。被害を減らす防災、被害を補うリスクファイナンス、両面の見直しを行い、事業を守るBCPを確かなものにしていきましょう。


執筆者:ソナエルワークス代表 
    高荷智也(備え・防災・BCP策定アドバイザー)
「自分と家族が死なないための防災対策」と「企業の実践的BCP策定」のポイントをロジック解説するフリーの専門家。大地震や感染症パンデミックなどの防災から、銃火器を使わないゾンビ対策まで、堅い防災を分かりやすく伝えるアドバイスに定評があり、講演・執筆・コンサルティング・メディア出演など実績多数。著書に『中小企業のためのBCP策定パーフェクトガイド』など。1982年、静岡県生まれ。

【災害対策シリーズ】
第1回 防災だけじゃだめ?店舗に“今こそ”必要なBCP・事業継続計画とは?
第2回 大規模停電、店舗としてできる停電対策は?
第3回 2019年は大地震3回・大規模台風2回。過去を振り返り、店舗を守る対策を学ぶ

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