2020年01月17日

お役立ち情報販促・集客 2019年は大地震3回・大規模台風2回。過去を振り返り、店舗を守る対策を学ぶ【災害対策シリーズ・第3回】

有事のときに本当に“いいお店”かどうかが分かる。お客様、スタッフ、そして店舗を守るための災害対策シリーズ、今回の第3回と次回の第4回では、2019年の災害を振り返りながら来る2020年代へ向けた準備を考えてまいります。昨今、被害の規模が増加している自然災害。他の地域で生じた被害は自店舗の地域でも生じる可能性があります。対策を怠って自店舗やお客様に被害を出すことは「想定外」で済まされません。直近のトレンドから対策を学んでおきましょう。

21世紀は大地震の世紀

日本は世界でも有数の地震大国で、統計方法により差はありますが地球で生じる大地震の1~2割がこの狭い列島近辺で生じています。

この地図は、2019年1月に更新された「今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率の分布図」です。色が濃い場所ほど高い確率で大地震に見舞われるとされています。太平洋沿岸の確率が軒並み高いのは、首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの発生が切迫しているためです。

では、この予測に対する答え合わせとして、直近で生じた大地震にはどのようなものがあったのでしょうか。

間もなく2010年代が終わりますが、この10年、さらにいうと21世紀は国内で大地震が相次いだ時期でした。比較としてまず、1980年~1999年の20年で生じた「震度6弱」以上の観測点を含む大地震の回数を見ると、合計7回生じています。この中には1995年の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)も含まれています。

一方、2000年~2019年の20年で生じた震度6弱以上の大地震は、なんと合計53回。この中には2011年の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)も含まれています。この53回の大地震の震源をマッピングするとこのようになります。

確率分布の地図と重ね合わせてみると結局のところ、「日本列島はいつでもどこにでも、最大規模の大地震が生じる可能性がある」と言わざるを得ません。

日本に店舗を構える以上は、常に大地震の揺れや地震による火災に対する備えが必要であることが改めて分かります。

実際、2019年も1月に熊本県で、2月に北海道胆振地方で、6月には山形沖で、大地震が生じています。熊本と北海道の地震は、それぞれ2016年の熊本地震、2018年の北海道胆振東部地震のすぐ近くで生じた地震です。2019年の大地震では死者の発生こそありませんでしたが(気象庁発表 https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/higai/higai1996-new.html)、建物、ライフライン、交通網への被害などが生じています。

2020年代に向けて、地震対策の重要性はますます高まっていると言えるでしょう。

想定されていた「想定外」

近年では大雨や台風による大規模水害も頻発しています。2019年の台風被害にしぼっても、千葉県を中心に大規模かつ長期間の停電被害を生じさせた“暴風”の影響が強い「台風15号」と、死者・行方不明者96名、全国71河川を決壊させるなど甚大な被害をもたらした「台風19号」による大きな被害が生じました。

台風19号では「まさかこんな所が沈むなんて」「長年店舗を構えているがこんなことは初めて」といった声が報道などを通じて伝えられました。しかし、浸水被害を受けた地域の「浸水ハザードマップ」を見ると、多くの地域で実際の被害とハザードマップによる想定が一致しています。

「想定されていた災害が、想定どおりに生じた」のが近年の浸水害の特徴のひとつです。

例えば、北陸新幹線車両10編成が冠水する被害が生じたJR東日本の長野新幹線車両センター周辺で生じた浸水実績と、事前に公開されていたハザードマップを比較するとこのようになります。

この事例は他の箇所でも見られ、ハザードマップを見ておけば自店舗が浸水する可能性のある地域にあることを認識し、対策を講じられたという事例が多くあるのです。

毎年塗り替えられる「観測史上最大」の大雨

また少し期間をさかのぼると、広島で大規模な土砂災害が発生した「平成26年8月豪雨」。鬼怒川で大規模な氾濫が生じた「平成27年9月関東・東北豪雨」。死者・行方不明者27名という被害もさることながら、北海道のジャガイモ生産に大きな被害を出しポテトチップス製造に影響を生じさせた「平成28年台風第10号」。北九州を中心に死者42名の大きな被害を出した「平成29年7月九州北部豪雨」。西日本を中心に死者・行方不明者232名という平成最後に最悪の被害を生じさせた「平成30年7月豪雨(通称西日本豪雨)」と、全国に大規模な停電被害を生じさせた「台風21号」「台風24号」などの被害が生じています。

毎年のように「想定外」「過去最大級」「観測史上最大」という言葉が反復されるようになっていますが、これは勘違いでも印象操作でもありません。

ここ数十年の気象統計データを見てみると、平均気温が上昇し続けており、その結果大雨の年間発生回数も右肩上がりに上昇しているのです。この傾向はもちろん今後突然解消されることはなく、2020年代についても、より大きな被害をもたらす災害が、より多く発生すると考えて対策を講じる必要があるのです。 (出典:気象庁・大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化)

停電と断水、ライフラインへの影響

大地震や大雨による水害ではライフラインへの広域被害も生じています。自店舗が被災地にならなかった場合であっても、広域停電や断水に巻き込まれ、営業ができなくなるというリスクが生じているのです。

2019年の台風15号では千葉県を中心とした大規模な停電被害が問題となりました。従来、電力は被害からの復旧が早いライフラインとされていましたが、今回は山間部を含む広範囲で被害が生じたため、停電発生から1週間時点でいまだ8万戸が停電したままとなるなど、長期間の停電に対する備えの必要性が課題となりました。

2018年の台風21号では最大240万戸が停電するという規模もさることながら、1つの台風が全国37都道府県に停電をもたらすという広域停電が問題となりました。台風の規模と進路によっては、どこでも停電被害が生じる可能性があるわけです。

また同2018年の北海道胆振東部地震で生じた「全道停電」や、2011年の東日本大震災で生じた「計画停電」のように、被災地以外でも停電被害に巻き込まれる可能性があることも判明しています。

大地震や浸水による直接被害だけでなく、「何かしらの原因で停電し、停電を原因に断水したらどうするか」といった対策が、店舗に求められているのです。

まとめ

自然災害大国日本、大地震や大規模水害はいつどこで生じてもおかしくありません。災害は「来るかどうか」ではなく「いつ自分の所にやってくるか」と考えなくてはならず、これだけ大規模な自然災害が頻発する状況下においては、「想定外でした」が許されなくなっています。「うちは大丈夫」と根拠なしに考えず、2020年代の災害を迎え撃つ準備を今から始めましょう。


執筆者:ソナエルワークス代表 
    高荷智也(備え・防災・BCP策定アドバイザー)
「自分と家族が死なないための防災対策」と「企業の実践的BCP策定」のポイントをロジック解説するフリーの専門家。大地震や感染症パンデミックなどの防災から、銃火器を使わないゾンビ対策まで、堅い防災を分かりやすく伝えるアドバイスに定評があり、講演・執筆・コンサルティング・メディア出演など実績多数。著書に『中小企業のためのBCP策定パーフェクトガイド』など。1982年、静岡県生まれ。

【災害対策シリーズ】
第1回 防災だけじゃだめ?店舗に“今こそ”必要なBCP・事業継続計画とは?
第2回 大規模停電、店舗としてできる停電対策は?

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