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大地震に備える店舗の対応/後編~二次災害と被害後のためにできること~【災害対策シリーズ・第6回】

2020年03月26日
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有事のときに本当に“いいお店”かどうかが分かる。お客様、スタッフ、そして店舗を守るための災害対策シリーズ、前回に引き続き地震対策のポイントを紹介します。今回は地震の揺れが収まった後に対する準備について考えてまいります。

大地震による二次災害・二次被害を防止する

大地震で恐ろしい「強い揺れ」ですが、地震対策では揺れによる直接的な影響だけでなく、店舗が原因となる二次災害を起こさない準備、二次災害に巻き込まれることによる被害を免れる対策も必要となります。

火災を出しても消火をする準備

大地震の被害を大きくする要素のひとつが、大規模火災です。古い木造住宅、具体的には第5回で紹介した「旧耐震基準」の建物が多く、かつ道幅が狭く密集しているようなエリアで火災が発生し、消防車が来られない状況になると、最悪の場合は「火災旋風」と呼ばれる炎の竜巻を伴う大規模な延焼火災に発展し、燃える物がなくなるまで手がつけられなくなるといった被害を招くことになります。

第3回で、2019年10月以降、全ての飲食店に消火器などの消火器具を設置することが義務づけられるようになったことを紹介しましたが、火災が発生するのは飲食店だけではありません。

大地震が発生すると、電気器具や店内配線から出火する場合もあり、特に小売店など可燃物が多い店舗の場合は、あっという間に火災が拡大してしまう恐れがあります。平時であれば消防車をすばやく呼ぶことができますが、地震で消防が出動できない場合は問題となります。

万が一店舗から出火させてしまった場合は、「大声で火災発生を知らせる」「お客様を避難させる」「119で消防に通報する」といった対応と並行して、初期消火を試みることが重要です。一般的に初期消火が可能な目安と言われる炎が背丈を超えて天井に達するまでであれば、消火器などの消火器具を用いて自力消火ができる可能性もあります。
事前の消火器具の準備、地域の火災消火訓練などへの参加などを行うようにしましょう。

二次災害から避難をする準備

火災以外にも、津波や土砂災害などの二次災害が発生することがあります。店舗に影響すると想定される場合は、すばやく避難をすることが生命を守る唯一の対応となります。

第3回で「国土交通省|重ねるハザードマップ」を紹介しましたが、こちらのページにアクセスし、自店舗の住所を検索して地図を表示、ページ左の情報ボックスから「津波」「土砂災害」のボタンをクリックし、店舗に影響が生じないかどうかを必ず確認してください。

津波はわずか30cm程度の高さであっても、巻き込まれると歩行することが困難となり、1mの津波に巻き込まれると統計上死亡率が100%になります。店舗がわずかな高さでも津波の影響エリアにある場合は、地震の揺れがおさまり次第すばやく高台に避難するか、水が到達しない階まで移動しなければなりません。その際の候補となる避難先と経路をチェックしておきましょう。

また地震の影響で土砂災害が発生した場合、土砂災害に巻き込まれる恐れがあるならば、発生後に避難をしても間に合いません。そのため、地震の揺れが収まり次第、土砂災害からの安全が確認できるまでは店舗から避難をする必要があります。そもそも逃げるべきなのかどうかと、候補となる避難先と経路をハザードマップで確認してください。

被害が発生してしまった場合に対する備え

建物対策・店内対策・避難対策、これらをきちんと行えば大地震による被害を最小化することができますが、どれだけ厳重な対策を施しても、想定外を含めた被害を完全になくすことは困難です。そのため、店内で被害が発生してしまった場合に対する準備も必要になります。

救助用品の準備

建物が歪んで倉庫のドアが開かなくなった、什器が転倒してスタッフが足をはさまれ身動きできなくなったなど、物理的な被害に対する救助の準備を行います。素手で対応することは難しいため、ジャッキ・バール・手斧などの救助道具と、作業手袋・ヘッドライトなどを事前に準備し、すぐ持ち出せるように保管をしておきます。

応急手当の準備

店舗内で負傷者が発生した場合など、大地震の際にはすぐ病院へ移動することが難しかったり、救急車を要請しても来られなかったりする恐れがあります。避難所などに救護所が開かれるにも時間がかかるため、最低限の応急手当の準備が必要です。絆創膏・ガーゼ・包帯・三角巾・副木・洗浄用の水などの道具を、平時にも使える救急箱などに入れておくと役立ちます。

AEDの準備

万が一店舗内で心肺停止者が発生した場合には、AEDによる心肺蘇生が有効です。自店舗に準備をするか、あるいは近隣に設置されているAEDの場所を把握しておき、必要な場合に走って取りにいけるような準備をしておくとよいでしょう。なお応急手当の準備とあわせて、消防などが無料で行っている普通救命講習などを受講してスキルを身につけておくことも有効です。

ライフラインの停止に対する備えとBCP

大地震の揺れや二次災害をやり過ごしたあとは、店舗の再開に向けた復旧活動に取り組んで行くことになります。しかし、大規模な地震では停電や断水などのライフライン被害が発生する可能性があるため、自店舗に被害がなかった場合でも、すぐに営業再開をすることが困難になるかもしれません。 そのため、大地震が発生して店舗を含む地域が被災地となり、電気・ガス・水道などが使えなくなった状況において、最低現維持したいサービスは何か、販売したい商品はどれなのかを事前に定めておき、このギリギリの営業を行うために必要な「モノ・コト」を準備しておく必要があります。これが第1回で紹介した「BCP(事業継続計画)」です。

まとめ

スタッフやお客様の安全を確保するための防災対策と、ライフライン停止状態で最低現営業を継続するための準備が、店舗に必要な事前計画となります。かならず不意打ちで発生する大地震に対して、まずはできることから。棚ひとつを固定する作業から、ぜひ取り組んでみてください。


執筆者:ソナエルワークス代表 
    高荷智也(備え・防災・BCP策定アドバイザー)
「自分と家族が死なないための防災対策」と「企業の実践的BCP策定」のポイントをロジック解説するフリーの専門家。大地震や感染症パンデミックなどの防災から、銃火器を使わないゾンビ対策まで、堅い防災を分かりやすく伝えるアドバイスに定評があり、講演・執筆・コンサルティング・メディア出演など実績多数。著書に『中小企業のためのBCP策定パーフェクトガイド』など。1982年、静岡県生まれ。

【災害対策シリーズ】
第1回 防災だけじゃだめ?店舗に“今こそ”必要なBCP・事業継続計画とは?
第2回 大規模停電、店舗としてできる停電対策は?
第3回 2019年は大地震3回・大規模台風2回。過去を振り返り、店舗を守る対策を学ぶ
第4回 地震対策から保険の見直しまで。2020年に向けて行いたい事前対策とは?
第5回 大地震に備える店舗の対応/前編~転倒・移動・落下・飛散対策には?~

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