コラム 販促・集客
~大手スーパーマーケット元副店長が語るシリーズ⑦~新商品(製品)の仕入れは「賭け」に勝とう !

2019年08月23日
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お客様ニーズから発想する「新商品」の売上予測とマーケティングの極意!

毎週のように各種メーカーから新商品が発売されている昨今、小売業界では商品寿命(ライフサイクル)の傾向が大きく変化しています。旧来は、徐々に売れ始め、頂点を過ぎると徐々に売れなくなってくる「富士山型」。今は、一気に人気に火が付き頂点に到達すると同時に売れなくなってしまう「ペンシル型」にシフトしたと言われています。 今回は、その「ペンシル型」のライフサイクルにどう対応したら良いのか、利益を確保するにはどうしたら良いのか、ズバリY氏に伺いました

<Y氏プロフィール>
1993年某スーパーマーケット入社。主に本社のセールスプロモーション部で活躍された後、店舗にてその知見を活かした店舗づくりや販促を実施。画期的でユニークな手法を駆使され成果をあげられました。
本社勤務時は、朝ネットで注文すると夕方届く“ネットスーパー”を立ち上げ、大ブレイクを起こします。またShufoo!(シュフー)を導入し、店舗ページからチラシを確認できるように整備。2010年には、いち早くスマホ公式アプリをリリース。
長期に渡り会社のIT事業に携わり実績を残した後、2016年、副店長として店舗へ配属。ITやマーケティング戦略の知見と、パートナー社員の知見を最大限に活かし、さまざまな取り組みを実施しました。

小売業で重要視される「新商品」のマーケティングの意義とは

スーパー元副店長・Y氏

皆さんはスーパーの一番目立つ売場で、ビールやお菓子などの新商品が幅広く陳列されている風景を見たことがあるのではないでしょうか。

買うつもりじゃなかったのに、ついつい手が伸びてしまい、気付くと買い物かごに…という経験は少なからずあると思います。 普段のお買い物に1点でも2点でもプラスしていただく為に、小売業界の中で力を注いでいるのが「新商品のマーケティング」です!

なぜ新商品のマーケティングに力を注いでいるのかというと、例えばナショナルブランドの商品はどこでも購入可能なため、価格競争に陥りやすい。同じ物であれば安く売っているお店で購入したいというお客様も多いでしょう。

新しい商品が並んでいる、例えば少し調理されているお魚やお弁当なども含め、見たことが無いものが店頭に並んでいるという、そのものがお客様にとって付加価値になります。

その為、新商品であれば、ナショナルブランドであろうがプライベートブランドであろうが、価格競争に巻き込まれにくいという強みがあります 価格で商品を選択するという心理要素の前に、見たこともない、食べたこともない、飲んだこともない商品に対しては「少々値段が高くても買ってみよう!」という欲求に繋がりやすく、価格よりも先に「新しい」価値でお客様に商品を選んでいただくことができます 。

商品寿命と消費意欲の関係とは?

メーカーからは毎週のように新商品が発売され、それを元に沢山の商品がスーパーの店頭に並びます。先週は店舗の真ん中に山積みになっていた商品が、今週は売り場が縮小されているというのを見たことがあるかもしれません。 というのも、昔と比べると商品寿命(ライフサイクル)が非常に短くなってきているためです。

その① 商品寿命は「富士山型」から「ペンシル型」に

昔は、新商品が出ると緩やかに人気が上がり、売れている期間が長く、その後ジワジワと人気が落ちていく「富士山型」と呼ばれる商品のライフサイクルでしたが、現在は「ペンシル型」と呼ばれ、商品の人気が一気に上がり、一気に落ちる超狭小二等辺三角形型のライフサイクルになっています。 そのため、この短い「ペンシル型」のライフサイクル商品を毎週畳み掛けるように仕入れていき、売れ筋の商品を売っていく。そういった仕入れを繰り返し、この尖った期間を繰り返すような「アルプス型」の商品の打ち出し方をしていかないと、お客様に満足いただけないですよね。

その② ピークの山をどれだけ高くできるかが勝負の分かれ目!

お客様のニーズが「ペンシル型」になってきているため、実はメーカーとしても、初回生産数をあまり多く作らないという傾向もある様に感じます。
「ペンシル型」になってきているということは、その商品の売れているピークを逃してしまうとお客様の商品に対する興味が薄れ、すぐに売れなくなってしまうからです。

一方で、このピーク期間が長く、下降するスピードが緩やかな売上曲線をたどる新商品が定番商品になるわけです。
例えばウーロン茶と言えば○○○というように、定番商品になると勝ち組になりますが、現状、スーパーなどで同一商品が店頭に長期間並ぶということは、少なくなってきているように感じます。
そのため、メーカーや小売業にとって、ピークの山の部分をできるだけ高くし、どれだけ売り上げに貢献できるかが勝負どころといっても過言ではありません。

新商品の仕入れには担当者の「知見」「推察」が最も重要になってくる

しかしながら、メーカーさんが持ってきた商品情報だけでは、その商品が売れるのかどうかは判断がつきません。
そこで大切になってくるのが「嗅覚」です。言い換えると、「お客様はどう思うか?」という顧客心理を「推察」するということですね。そのためには、事前にどれだけの情報を手に入れるかということが非常に重要になってきます。
まずはメーカーさんから届いた試供品のパッケージやネーミングにどれだけインパクトがあるのか。その後、試食や試飲をし、お客様目線で買うか買わないかを想像します。
お客様が買う、つまり売れそうだと判断した場合は、一気にどれだけ勝負をかけられるかというスピード感が必要です。
その商品が社会的にヒットした場合、生産が追い付かなくなってしまうことがあります。最初の仕入れが少ないと、次に発注をして納品される頃にはブームが去っている可能性もあるので、仕入れの量は悠長に悩んでいる暇はありません。いかに「賭け」に勝つかどうかの土俵に乗ることが重要です。

売り手の理論(プロダクトアウト型)から考えると「売上予測」は外れる

前述の通り、新商品の仕入れのポイントは、売り手の論理で考える「売上予測」は絶対に外れます。
やはりお客様目線で考えないと商品は売れません。美味しいか美味しくないかは、手に取って買ってもらわないとわからないですよね。見た目でほしいと思うか思わないか、要は興味がわくかわかないかが重要な要素になってきます。
もちろん全ての商品において、興味だけの尺度では測れません。食品でいうと、美味しいかどうかの尺度が重要ですよね。ただ、興味がわくかわかないかで、お客様に手に取っていただく機会は確実に増えると思います。
最近は、その要素に加えてSNS映えも考慮しないといけなくなってきているかもしれませんね。

新商品の仕入れが「賭け」と言う理由

新商品の仕入れがなぜ「賭け」かというと、新商品は間違いなく売れる商品なのですが、その商品の発注量、仕入れ量、販売量をどれだけ上積みできるのかというのが仕入れ担当者の腕の見せ所になるからです。

例えば、透明のコーラがありますよね。今まで見たこともない商品で、コンセプトにインパクトがあり、直感的に面白いと感じました。
私のいた店舗では、通常、清涼飲料水は、初回で50ケースほどを仕入れていましたが、透明のコーラは、初回にその10倍の500ケースを仕入れるという賭けに出ました。私は当時、透明のコーラを世界で一番仕入れたと思います。
売れなかったら在庫になりますが、飲料などは販売期限も長いので、初回にある程度在庫を持っても何とかなるものなのです。
社会的に話題になってしまう前に、最初から沢山仕入れることにより、在庫切れになるリスクを回避することができますよね。結果、透明のコーラは本当によく売れました。

こういった場合、大量に仕入れることはできても、どこにその在庫をストックすればいいのか?という問題が発生します。
このリスクを避けるために、仕入れ前に店舗のスタッフ間で、売れなかった時の対処方法や保管場所についての話をつけておくといいですね。

当然、失敗もありますし、勝率10割とは到底いきませんが、そういった勝負を仕掛けていかないと、プラスの売上がとれないし、お客様の期待に応えることはできません。
やはりそこには理解のある上司のサポートがあることが理想です。

売れる新商品を知るためにはメーカー担当者との強い信頼関係を築くべし

新商品の中でも、明らかに売れている商品があった場合、色々と調整が必要になってきます。
例えば、A市の名前を商品名に入れたビールがあるとします。B市で売ってもなかなか売れないけれど、A市にある店舗にそのビールを置けば確実に売れる。
この場合、メーカー担当者に相談して、B市の店舗の在庫を返品してもらい、A市にある店舗で改めて仕入れるということをすると、メーカーさんにとっても、店舗にとってもwin-winの関係を築くことができます。
また、すごく頑張っているメーカーさんがいたら、やはり人間の心理として新商品を仕入れてあげようという気持ちになります。
特に新商品に関しては、「一緒になって頑張りましょう!」という雰囲気作りや信頼関係を作り、お互いやる気にならないと、なかなかヒット商品は生まれないのではないかと思います。

買う買わないは別として、お客様にとっても新商品が発売されるのは楽しみの一つですし、価格に勝る付加価値があるものなので、「推察」し「賭け」に勝ち、プラスアルファの売上をどうやって作くっていくか?ということが、メーカーさんや小売業界にとって大変意義のあることなのです。

まとめ

Y氏に伺った「新商品のマーケティングの極意」はいかがでしたでしょうか?
SNSが発展した近年では、食品業界だけではなく、様々なジャンルにおいてトレンドの移り変わりも激化しています。時代の変化に伴い、人々の嗜好も日々変化、多様化している中、Y氏へのインタビューは、仕事をしていく上で大変気づきの多い時間となりました。
顧客のニーズを掴むため、日々アンテナを張り巡らせ、いち早くトレンドをキャッチし、賭けに出る。そんな勇気を持つことは、どの業界のおいても共通する大切な要素なのではないでしょうか?

<大手スーパーマーケット元副店長が語るシリーズ これまでの記事はこちら>
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その2 スーパーマーケットの”売れる”売り場作りのコツは『爆速レシピ』で攻めろ

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