コラム 販促・集客
【販促dig!!/第1回】「このお店をリピートしたい」と思わせるためのデータ活用方法とは? デジタルを使った販促の可能性を探る(後編)

2020年05月15日
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時代の流れと共に変容していく「販促」の在り方。しかし、何が正しいのか、未来はどう進むかの答えは掴みにくいものです。そんな疑問の答えを探るべく、販促の最前線にいる有識者を招き入れ、幅広い視点から「販促」をテーマに対談形式で語りつくす本連載。

第1回のゲストは2004年の創業以来、データによるビジネス創造と経営改善に向き合ってきたデータ活用のリーディングカンパニー株式会社ブレインパッドでマーケティングを担当する秋田直器さん。ホストを務めるのは、株式会社ONE COMPATH メディア企画部のゼネラルマネージャーとして、Shufoo!を統括する森谷尚平。

前編ではデジタル(データ分析)を使った販促の可能性と事例を紹介していきましたが、後編では、リアル店舗はどうデータを使って販促すべきかを語ります。お店で得たデータをどう活用すればお客様が来店したいと思えるのか? リピート客獲得のための施策を解明します。

お客様の正確な購買理由が分かる。それがリアル店舗の強み

▲左からホストの森谷尚平とゲストの秋田直器さん

森谷尚平(以下、森谷)「デジタルの世界でデータを収集し、分析している秋田さんからみて、リアル店舗で集められるデータの強みはなんだと思いますか?」

秋田直器さん(以下、秋田)「例えばECサイトで、アレルギー対応食品を購入しているお客様がいるとして、そのお客様はアレルギー持ちなのかなと推測しても、それが本当なのかどうかは分からない。実はそのお客様のお子さんにアレルギーがあり、お子さんのために購入しているのかもしれない。その商品を買っている事実は分かるけど、なぜ買っているのかの明確な理由は手に入れにくい。デジタルで受け取れるデータには限度がありますよね。でも店舗なら、接客時にそのお客様をヒアリングすることでどの食材にアレルギー反応が出るのか、誰がアレルギー持ちなのかが分かる。つまりお客様がなぜその商品を買いたいのかの正確なデータが取れるんです。ネット上でアンケートを取ればいいと言われればそうなんですが、コミュニケーションでしか取得できないデータはたくさんあります」

森谷「それはリアル店舗の強みですね」

秋田「お客様の購買理由は日々、変化していきますよね。数年後、急にそのお店で買わなくなった理由が、ECサイトに同じ商品が売っているから店舗に行かなくなったとか、アレルギーが治ったから必要なくなったとか、理由は千差万別。そのお客様が買わなくなった理由の推測は複数案出せますが、正解はひとつしかない。そういった購買しなくなった答えも店舗でなら得られやすい

森谷「リアル店舗なら、繋がりを築きやすいという利点もありますよね」

秋田「そうですね。ただ来店させるためにデジタルで信頼関係を作っていくことも大切です。個人的な話になるんですが、僕、この前ワイヤレスイヤホンを購入したんですよ。それまでは有線のイヤホンを使っていて、その理由はワイヤレスだとバッテリーが切れる可能性があるから。ただある時、YouTubeで『e☆イヤホン』というイヤホン専門店の店員さんが最新のワイヤレスイヤホンを紹介している動画を観て、それを購入したいという気持ちになったんですよ。その後動画を紹介している店員さんがいるお店に行ったら、その人が目の前にいて、YouTubeに出ていたあの人がいるって舞い上がっちゃって!」

森谷「憧れのスターに会ったような気分ですか?(笑)」

秋田「ミーハー気分でしたね(笑)。気づいたら、その店員さんに相談し、最終的にはおすすめ商品を買っていました。その時気づいたのは、お店に行く前からこの人になら相談できるという信頼関係を築いていたということ。信頼関係をデジタル上で作ったことで、前向きな気持ちでお店に行けた。デジタルとリアルがつながったことで、よりよい買い物体験ができたんです」

デジタルで信頼関係を築き、リアル店舗で購入してもらう

森谷「YouTubeなどwebの世界で、具体的な買い物のイメージが生まれて店舗に行ってみたところ思った通りの買い物ができたら、より満足度の高い買い物体験が得られますよね。デジタルとリアルの販促を分けて考えるのではなく、まず重要なことは体験を想像してもらうこと。じゃあどうやって事前に想像してもらうのかっていう手段がwebなどのデジタルになる」

秋田「大事ですよね。購入するものに迷った時、相談できる相手がいるって心強い。メールで問い合わせすることもできますが、メールで相談しても購入までのハードルは高いんじゃないかな。買わせる力はデジタルよりリアルの方が強い。だからこそ、なぜそのお客様がその商品を買ったのかっていう購買理由をデータとして取得していき、整理していく必要があると思うんです。先ほどのエピソードの場合、『e☆イヤホン』の店員さんが僕の購買した理由を聞き、『YouTube動画がきっかけで来店し、バッテリーが長持ちするイヤホンを求めている』というデータを得る。それを他の店員にも共有すれば、ほかの店員が僕の求めに応じた接客ができるし、商品開発にも活かせる」

森谷「お店で秋田さんのデータを共有していれば、YouTube動画に出ていた店員さんがいなくても、秋田さんはお店に通い続けますね」

秋田「そうです。だからこそデータを正確に残し、蓄積していく必要があるんです。お客様からヒアリングした情報を、紙でもいいんですけど、できればデータベースで構造化していき、それを使ってよりよい接客をする。そうすることで売上アップにも繋がるんです」

森谷「少し飛躍するかもしれませんが、アメリカのアマゾンが運営している無人コンビニ『Amazon Go』にしても、中国の決済サービスにしても、店頭へのカメラ設置や顔認証は海外では当たり前になりつつあります。撮影した表情から笑顔を検知するセンサー技術もありますし、リアルの売り場でのお客様の感情の変化をデータ化して、そのデータ分析の結果から個人の嗜好を認識したり、陳列する商品を決定するようなこともゆくゆくは当たり前になっていくんじゃないかと思うんです」

秋田「リアルの売り場での感情の変化が取れるようになったらとても強いですね。ただ、そうやって知らず知らずの間にデータを抜き取られていることに嫌悪感を抱く方もいる。データは、悪用されるイメージが消費者にあるからです。だからこそ信頼を築かないといけない。データを預けることで自分に適したものがあると紹介されたら、その人の生活が便利になったり、よりよい買い物ができたりしますよね。そうなると消費者は自分のデータを預けてもいいと思えるんじゃないかな」

森谷「まずお客様には、提供できるサービスの魅力を感じていただいたうえで、そのためにデータをいただく必要があるんですということを理解していただく必要がありますね。その上で、データを渡した以上の価値をお客様に体験していただけたら、更なる信頼関係が築けてお店のリピーターになってもらえる。リアルで取得したデジタルデータを基にきめ細やかで丁寧なリアルの接客につなげることが重要ですね」


取材協力

株式会社ブレインパッド
2004年創業。ビッグデータ活用やデータ分析を通じて企業の経営改善を支援するデータマーケティングのリーディングカンパニー。
https://www.brainpad.co.jp/

【販促dig!!】
第1回・前編 リアル店舗の販促にも活きるデジタル販促の「今」とは? デジタルを使った販促の可能性を探る
第1回・後編  「このお店をリピートしたい」と思わせるためのデータ活用方法とは? デジタルを使った販促の可能性を探る
第2回・前編 情報のデジタル化を進める必要があるのか?小売業販促の課題と解決策
第2回・後編 令和時代をサバイブできる販促の新常識とは? 小売業販促の課題と解決策

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