コラム 販促・集客
【販促dig!!/第2回】情報のデジタル化を進める必要があるのか?小売業販促の課題と解決策(前編)

2020年06月01日
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時代の流れと共に変容していく「販促」の在り方。しかし、何が正しいのか、未来はどう進むかの答えは掴みにくいものです。そんな疑問の答えを探るべく、販促の最前線にいる有識者を招き入れ、幅広い視点から「販促」をテーマに対談形式で語りつくす本連載。

第2回のゲストは、共に凸版印刷で「販促」に携わるお2人です。販促支援システム「PROMO CORE」の担当であり、デジタル基盤の整備を担当する積田明典さん。ホストを務めるのは元スーパーマーケットの販促部や現場の副店長を経験の後、電子チラシサービス「Shufoo!」の拡販を担当する矢野剛秀さん。今回のテーマは「小売業販促の課題と解決策」。小売業の販促はまだアナログが多いと言われますが、人手不足の昨今では手が回らないという問題が発生。だからこそデジタルの力を使って課題解決をすべきですが、進められない現状があります。なぜなのでしょうか?

小売業における販促が抱える課題と解決策を、前編と後編の2回に渡ってお届けします。

社内の販促領域はデジタル化を完全に進められていない

▲凸版印刷株式会社の積田明典さん

矢野剛秀さん(以下、矢野)「積田さんは小売販促部門を担当されているとのことで、小売業販促が抱える課題をご存じだと思います。現状の課題はなんだと思われますか?」

積田明典さん(以下、積田)「多くの企業は社内の情報管理のシステム化に偏りがあると感じています。特に販促部門は後回しになっている」

矢野「それはなぜでしょうか?」

積田「販促情報のデジタル化には『投資』が伴いますが、多くの企業では、販促部門に投資するという考え方があまり浸透していないからです。矢野さんはスーパーの販促部門や現場の副店長という立場から、小売業界を内部から見つめてきたと思います。小売業の立場の方は、デジタル化についてはどういう考えをお持ちですか?」

矢野「そうですね、令和時代はデジタルでも販促することが当然という世の中の流れがあると思います。しかし、小売の販促は店頭プロモーションが大事とされており、それは人を介在させるアナログ的なプロモーション。それだけでは時代に追いついていない。小売業界は長年蓄積された仕事の進め方があり、その進め方にこだわっている部分がある。それにより、先ほど積田さんがおっしゃった社内の情報管理システムのデジタル化が進まなくなり、商品情報を会社全体で共有できていないという問題が発生しています」

積田「私は小売業界の人間ではないので外からの意見なのですが、部門間の連携や最適化は進んでいないと思います」

▲ホストを務める矢野剛秀さん

矢野「部門間の連携や最適化が進んでいないために起こる問題は何だと思われますか?」

積田「まずは無駄な業務が増える。いま、店頭で売っている商品をECでも売る時代。多くの小売業者はECに参入しているのですが、連携が進んでいないがために手間が増えています。どういう手間かと言うと、商品情報を部門間で共有していないため、店舗販促でゼロから商品情報を作り、ECでもゼロから商品情報を作る。つまり商品情報を作るのは1回でいいはずなのに、2回も作っている」

矢野「人口が減って働き手が少なくなっているのに、仕事が増えているのは矛盾ですね。もし部門間で情報共有をしていれば商品情報の作成は1回で完結する」

積田「その結果、消費者に与える問題として、媒体間やチャネル間で情報のズレが発生し、『店頭の情報とECの情報が違う!』『チラシと店頭で価格が違う!』と混乱が起きてしまう」

矢野「店頭で必要な情報とECで必要な情報の量は異なります。店頭の場合、商品のスペックはその商品に載っているので敢えてお店側が用意しなくてもいい。一方、ECはスペックをサイト上に掲載しないとお客様は商品がわからない。だから本社の担当者からすると、EC向けにわざわざ商品スペックの情報を集めるのが負荷になる」

積田「昔より必要な情報の量が増えていますよね。それを媒体・チャネルごとに間に合わせで情報構築しようとするから負荷もミスも増えてしまう。もしECで販売している商品にアレルギー表示を出していなかったら、出していても間違えていれば、例えばアレルギーを持つ子どもを誤って危険な目に遭わせてしまう可能性もある。だから正しい情報を一元化・最新化して皆で共有しないといけない。それは社会のためでもあり、物を売る企業の責任でもある。特に安心・安全に関わる情報の整備は小売業界全体で取り組まないといけないと考えています。」

矢野「おっしゃる通りです。お客さまの求めている情報を、いつでも・どこでも・誰でも共有できる形にすることが難しいのが一番の問題ですね。『いつでも・どこでも・誰でも共有できる形』、要はいかに販売場所毎にいかに見やすい、選びやすい、買いやすい売場を作るのか、その基本中の基本がデジタルデータですよね。」

積田「さらに突っ込んだ話をすると、基幹システムの中にある、ベースとなる販促向け商品情報がいつまでも修正されないという問題もあります。昔の話ですが、基幹システムから提供されたチラシに掲載する商品情報が間違っていたので、修正を入れる。その後、同じ商品を掲載しても元の情報が間違っているのでまた修正を入れる……を繰り返す。元の情報を修正していれば仕事もミスも減るのに、と思っていました」

矢野「会社を上げて正しい情報が入ったシステムを管理しないといけませんね」

積田「小売業の販促は、販促部門だけでは成立しない業務です。商品の仕入れ状態やお店の売場作り、と全体を把握していかなくてはいけない。会社全体の流れを把握することができるデジタル化を推し進めるべきだと思いますが、そうなると会社全体を改革する意気込みが必要になる。それはもう大変な労力が必要なので、販促部門だけでなく会社全体でデジタル化を推し進めるぞ、という気概をもってやらなくてはいけない。まずはその意識を持つことが大切だと思います」

後編では小売販促部門が抱える課題への解決アプローチについて語りつくします。次回も乞うご期待!


取材協力

凸版印刷株式会社
世界最大規模の総合印刷会社。昨今では販促支援システム「PROMO CORE」の開発・販売をするなどデジタル技術を使ったビジネスを推し進めている。
https://www.toppan.co.jp/

【販促dig!!】
第1回・前編 リアル店舗の販促にも活きるデジタル販促の「今」とは? デジタルを使った販促の可能性を探る
第1回・後編  「このお店をリピートしたい」と思わせるためのデータ活用方法とは? デジタルを使った販促の可能性を探る
第2回・前編 情報のデジタル化を進める必要があるのか?小売業販促の課題と解決策
第2回・後編 令和時代をサバイブできる販促の新常識とは? 小売業販促の課題と解決策

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