コラム 販促・集客
【販促dig!!/第6回 ヤプリ 島袋孝一氏<後編>】週刊ウェビナーは前例がないからやった

2021年09月29日
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左: ホストの早川礼   右: ゲストの島袋孝一さん

時代の流れと共に変容していく「販促」の在り方。しかし、何が正しいのか、未来はどう進むかの答えは掴みにくいものです。本連載は、そんな疑問の答えを探るべく、販促の最前線にいる有識者をお招きし、幅広い視点から「販促」をテーマに対談形式で語りつくす企画です。

第6回のゲストは、株式会社ヤプリの島袋孝一氏です。2004年に株式会社パルコに入社し店舗リーシングや販促宣伝などを経て、2013年よりデジタルマーケティングに従事。2016年よりキリン株式会社にてキリンの全ブランドを束ねるホールディングス部門でデジタルマーケティングを手がけ、2019年、アプリをノーコードで開発・運用するプラットフォーム「Yappli」を提供するヤプリへ。コロナ禍に突入後、毎週開催のオンラインセミナー「週刊ヤプリ」を立ち上げるなど積極的にセミナーを開催し、これまでに2020年から開始したウェビナーでは累計273名の社外ゲストと180本以上のセッションを手がけていらっしゃいます。

今回も、「Shufoo!(シュフー)」の運営会社である株式会社ONE COMPATH 代表取締役社長CEOの早川よりお話をお聞きしました。後編では、ヤプリでのマーケティングのお話を中心にお伝えします。(前編はこちら


オフラインチームだけどイベントがない

早川 礼(以下、早川):さて、2019年1月からヤプリに入社されましたが、今はどんな役割の部署なのでしょうか?

島袋孝一 氏(以下、島袋): 今はマーケティング本部です。ヤプリはスタートアップのベンチャー企業なので、もっと市場に対し会社のことを知ってもらう必要がある。そのきっかけ作りをしています。僕は、B2Bマーケティングという支援会社の立場は初体験なので、新入生の気持ちです。入社当初は包括的に業務をやっていましたが、当時と比較すると社員数が2倍近くになったこともあり、途中でオフラインチームとオンラインチームに分かれました。僕はオフラインチームで、展示会やセミナー施策を考えるチームです。オンラインチームはコンテンツマーケティングや運用型広告でWEBでの接点を考えています。どちらも追っている数値としてはリード数です。

早川:コロナ禍に突入してオフラインイベントはなくなりましたよね。

島袋:そうですね。どうしようかと思いました。僕はB2Bマーケティングの正攻法、いわゆる一般的な手法と言われるリードビジネスの基礎をあまり知らないまま入社したので、コロナ禍によって業界のお作法がリセットされたこともあり、もちろんこうした慣習やあるべき姿は意識しつつも、ゼロベースで考えることができました。これまでにやってきたことや自分の実行力でできることを考えて、シンプルにウェビナー(Webセミナー)がいいのではと思い至りました。

週刊ウェビナーは、リード獲得以外にリテンションにも効果あり

早川:島袋さんがゲストを招いて週刊で開催する「週刊ヤプリ」は私も呼んでいただきまして、ありがとうございます。手応えはいかがですか?

島袋: コロナ禍に入って、多くの会社でウェビナーをやるのが当たり前になりましたよね。でも、「週刊のウェビナー」はないなと思い、やることにしたんです。がっつり朝から晩まで生配信、みたいなこともやったこともありますが、いずれもB2Bマーケティングの界隈では前例がないことです。いわゆる自社セミナーは自社製品の宣伝で終わることが多いですが、弊社は自社の宣伝だけではやりません。クライアントとなる方々にとって課題解決ができることを、自社の周辺の領域の方と一緒に作っていくスタイルです。

数値としても手応えを実感しています。仮に見込み顧客にアポイントがとれたとしても、1度打ち合せをしたら忘れられてしまうようなケースや、他社を選択してしまうこともありませんか?でも「週刊ヤプリ」は「週刊」ですし、ゲストが多様で引き出しも多い。継続的に情報発信をしているから、忘れられない・思い出してもらえるという点があります。新規リードの獲得以外にもリテンションの意味でも効果があると思います。

早川:週刊だとキャスティングが大変そうですが、いかがでしょうか。

島袋:僕の場合オファーやゲストとの調整だけでなく機材まわりも含めて全てやっているので、大変です。Facebookのメッセンジャーでオファーをすることが多いですね。パルコの頃から、もともと滑らかなコミュニケーションのためにすぐにFacebook友だち申請等をするようにしていて、例えばキリン時代でも、営業で電話がかかってきたら、話しながらその人を検索して申請したこともあります。そんなことをしていたらついに僕のFacebookの友達は上限の5,000人に達してしまい、どうしよう!と思っているところです(笑)。コロナ禍では新規の交友関係が作りにくいこともあり、SNSで登壇者を公募をしたこともあります。

2021年8月には、「マーケターのためのアプリの教科書」を出し、その本のために事例取材を何社かしましたので、直近のゲストブッキングは目処がついています。

現在までに手がけたウェビナーの数は180以上に及ぶ

「間口は広げておいた方がいい」

早川:意図的に社外に出ているというか、コミュニティを広げている印象があります。

島袋:パルコでデジタルの業務を始めた頃に、デジタルを使ってどうお客さんを喜ばせることができるのかと、仕事の仲間を探していた時期がありました。自助努力としてやっていた部分もありますが、パルコがデジタルをやっていることを対外的に発信することで、外から情報が入ってくる環境を意識的に用意したんです。取材やセミナーで外に出ていくと、情報流出や、ベンダーから売り込みがあるだけだと思われがちですが、僕らの場合は足りないことが多かったのでベンダーから情報をもらえることも大事なことでした。結果的に自分たちの課題を正しく見ることにも繋がると思います。だから間口は広げておいた方がいいと思っています。

早川:近頃話題の副業についてはどうお考えですか?

島袋:厳密な副業と言うより、「壁打ち相談」みたいなものは多くありますね。ヤプリの業務の一環と考えていますが、相談を受けたらもちろん答えます。それから、雑誌「販促会議」の連載など寄稿の話をいただきますが、会社の広報に近いものと思ってやっています。

偶発的な出会いを仕掛けられるのがリアルなリテールの面白さ

早川:リテールマーケティングを目指したい人に面白さを伝えると?

島袋: ショッピングセンターのことを「SC」といいますよね。このSCを“セレンディピティセンター”と言ってる人がいます。たぶん提唱していたのは、元上司のパルコ林さんですが(笑)。これは、ネットではあまり起きない偶発的な出会い(セレンディピティ)が生まれる場所のことを指していて、いい言葉だと思います。そしてセレンディピティの創出は、逆説的ですが恣意的に仕掛けることが出来る。それがリアルなリテールの価値だし面白さです。どれだけCM露出をしようとWEB広告でインプレッションがとれてイメージや想起をさせようと、一度リアルに商品を手に取ることの体験・奇跡には勝てないと思うんですよね。

早川:ありがとうございます。では、オススメの書籍はありますか?

島袋:元エステーの鹿毛康司さんの、“「心」が分かるとモノが売れる”という本が良かったですね。デジタルマーケターは読んだ方がいいと思います。それから、書籍ではないですが、日経MJや日経トレンディは見ていますし、日経クロストレンドは畑は違うけれど面白いネタが載っているので意識的に読んでいますね。実は学生の頃から、日経MJのヒット番付に載る仕事がしたいと思っています。大ヒットじゃなくてもいいけど、足跡が残る仕事したいんです。

早川:島袋さんが大事にされている言葉に「多様性」があると思いますが、この言葉に対する思いを教えてください。

島袋: 例えばセミナーや取材があるとしたら、話し手には“偉い人”を立ててしまいがちだと思うんです。でも、現場で活躍している人に立ってほしいし、そういう人に成長の機会を用意するべき。もちろん場慣れしていない人もいるけど、周囲がフォローするべきであって、出たいとさえ言えない空気があるのが勿体ないと思います。無名企業の無名の人だったとしても、現場で活躍している人がいる。そういう人がメディアに出ることで社内から「あんなことやっているんだ」という循環を作るのが多様性を生むと思う。僕自身がこういった機会を得て育てていただいたと思います。

「繋ぎ人」でいたい

早川:今後の島袋さんのキャリアプランはいかがでしょうか?

島袋:「リアル×デジタル」は僕の礎として、今後の領域を広げていく感じですかね。てこの原理的に“ここをくすぐると、ここが伸びる”というものがよくて、レバレッジの効く仕事をしていきたいですね。

企業ヤプリとしては、やはり導入企業を増やしたいです。アプリはまだハードルが高いと思われている部分もありますので、裾野を広げていくなどやるべきことはたくさんあります。

早川:最後に、島袋さんの人生のパーパスを教えてください。

島袋:ちょっと前は、自分自身がサクセスしたりグロースしたりという視点でいましたが、一周回って、今は関わる人にどう喜んでもらえるかを大切にしています。パルコの企業理念に「訪れる人々を楽しませ、テナントを成功に導く、先見的、独創的、かつホスピタリティあふれる商業空間の創造」というものがあって、僕はこれが好きで共感しています。僕を利用して、周囲の方々が サクセスすることがあればいいなと思います。僕らのようなスタートアップだと人の層も厚くはないので次世代育成をやっていきたいと思います。

幻冬舎の箕輪厚介さんの相棒のような方に設楽悠介さんという方がいます。設楽さんは、箕輪さんが広げたものを畳む人ということで自身を「畳み人」といっています。その発想で、僕はなんだろうと考えたら「繋ぎ人」だと思いました。誰かと誰かを繋ぐことで何かが生まれることがあります。リアルなイベントで発揮してきたことが、ソーシャルでの発信などで発揮している感じですね。これからも、いろいろな物事や人を「繋いで」いきたいですね。


取材協力

株式会社ヤプリ
アプリプラットフォーム「Yappli」を開発・提供しているヤプリは、Mobile Tech For Allをミッションに、モバイルテクノロジーで世の中をもっと便利に、もっと楽しくすることを目指しています。
https://yappli.co.jp/

【販促dig!!】
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第2回・前編 情報のデジタル化を進める必要があるのか?小売業販促の課題と解決策
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第3回・前編 リテール変革プロフェッショナルとしてのキャリアと人生のパーパスとは?
第3回・中編 コンビニは店舗スタッフこそが源。だからマーケティングは社内外で同じくらい力を入れる
第3回・後編 「日本に足りないのはX。本気の変革です
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第6回・後編 週刊ウェビナーは前例がないからやった

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