コラム 販促・集客
【販促dig!!/第1回】リアル店舗の販促にも活きるデジタル販促の「今」とは? デジタルを使った販促の可能性を探る(前編)

2020年04月16日
このエントリーをはてなブックマークに追加

時代の流れと共に変容していく「販促」の在り方。しかし、何が正しいのか、未来はどう進むかの答えは掴みにくいものです。そんな疑問の答えを探るべく、販促の最前線にいる有識者を招き入れ、幅広い視点から「販促」をテーマに対談形式で語りつくす本連載。

第1回のゲストは2004年の創業以来、データによるビジネス創造と経営改善に向き合ってきたデータ活用のリーディングカンパニー株式会社ブレインパッドでマーケティングを担当する秋田直器さん。ホストを務めるのは株式会社ONE COMPATH マーケティング部のゼネラルマネージャーとして、電子チラシサービスShufoo!を統括する森谷尚平

今や、インターネットやSNSの普及により、リアルの販促だけでなくデジタルを使った販促も重要視されるようになりました。商品や顧客のデータを蓄積・管理する企業も増えてきている中、それらを効果的な販促に活用するにはどうしていくべきなのでしょうか。デジタルを活用した販促について熱い議論を繰り広げる中、見えてきたデータ活用・分析の方法。最適なデータ活用とは何でしょうか?

これからの販促を見据えた対談を、前編と後編の2回に渡ってお届けします!

デジタルを使った販促をすることでデータ活用は攻めの姿勢になっている

▲左からホストの森谷尚平とゲストの秋田直器さん

森谷尚平(以下、森谷)「近年デジタル化が急速に進む中、ブレインパッドさんには多くのデータ活用の依頼が来ているかと思います。特に販促の領域においてデータ活用・分析は今、どういったトレンドになってきていますか?」

秋田直器さん(以下、秋田)「DX(※1)が進み、企業としてお客様にどのようにコミュニケーションすればよりよい価値が提供できるのかという事がトレンドになってきていると思います。企業としての価値を提供するために、データを使ってお客様の嗜好を分析し、その結果をもとにマーケティングの活動を活性化しよう!や商品開発をしていきたい!となっていると思います。」

森谷「わかりやすいのはECサイトですよね。お店で売っていたものをデジタルで売りはじめた」

秋田「そうです。ただネット上で商品を売るとなると、店舗でできた接客ができなくなるし、コミュニケーションを通じて獲得した『お客様の購買理由』も得られなくなる。お客様がなにを求めているかって知りたいじゃないですか。だからデータ分析でその情報を得ようとしているんだと思います。ECサイトを利用する消費者が増えると同時に、お客様のネット上での行動データを分析することも増えています」

森谷「顧客視点でのデータ分析もそうですし、データドリブン(※2)やビッグデータ(※3)も、マーケティングの世界では一般化されていますよね。そういった昨今の流れのなかでブレインパッドさんへの相談内容に変化はありますか?」

秋田「5~6年前までは、データが溜まっているから分析して欲しい、という依頼が来ていました。ただ、大量にデータがあるからといってすべてのデータが分析可能というわけではないんです。使えないデータを分析しても意味がないので、目的に応じたデータをどのように蓄積すべきなのかというご相談をいただくようになりました。そういった意味でデータ活用・分析における正しい認識が高まってきているな、と。手元にビッグデータがあるからなんとかしないといけないという考えではなく、目的を明確にしたうえでビッグデータを蓄積・活用するべきです」

※1=デジタルトランスフォーメーションの略。デジタル技術によって人々の生活をより良いものへと変革するという意味
※2=データをもとに判断しアクションをしていくこと
※3=スマートフォンやインターネットなど通して得た位置情報や行動履歴により得た膨大なデータのこと。それらのデータを通じて消費者の購買行動を分析できるようになった

データ分析をしたことでECサイトでも店舗並みの接客をすることが可能に

森谷「以前はデータから入るというアプローチが多く見られましたが、それが変わってきていますよね。ブレインパッドさんが手掛けられたプロジェクトの中で、目的軸から入った好事例を教えてください」

秋田「イスラエル発祥のバス&ボディケアコスメブランドであるSABON様は、自社のフィロソフィーでもある店舗での『体験価値』をECサイトでも提供したい、という目的から弊社にご相談をいただきました。SABON様の店舗には必ず、聖地エルサレムの職人が手作りしたウォータースタンドがあります。このウォータースタンドを囲んでスタッフとお客様が会話を楽しみながら商品を試し、そこから自然に笑顔が生まれるというシーンはSABON様が大切にしてきたフィロソフィーです。このような体験をECサイトでも実現したといった内容です。」

森谷「どうやって解決されたんですか?」

秋田「お客様はSABONのECサイトに何を求めているのか、その期待に応えるにはどうすればよいのか、まずはそういったお客様ニーズに関する仮説立案や、サイト設計などの上流工程を一緒にSABONのご担当者様と作っていきました」

森谷「実際ECサイトにどのように反映していったのでしょうか」

秋田「例えば、お客様はSABONの香りが好きという理由でSABONのファンになる方が多いという仮説があり、店頭で香りを体験することができます。そこでECでも『香り』を軸にした商品をレコメンドすることで、他の商品への興味を促進できるのではないかと思いました。具体的には、商品詳細ページで閲覧中の商品と同じ香りを持つ商品をレコメンドしています。SABONならではの香りに基づく商品レコメンドは、『ギフトランキング』や『アイテム軸レコメンド』など、他のレコメンド枠のCVR(※4)と比較し、30%高いCVRが出ています。」

森谷「ECでも、SABONらしさを体験していただきながらお客様に寄り添った接客ができるということが重要なんですね。その為にも、目的に応じたデータをしっかりと蓄積することがデータ活用の鍵となるいい事例ですね。」

※4=コンバージョン率(Conversion Rate)のこと。ウェブサイトを訪れたユーザーのうち、コンバージョン(成果)に至った率を表す指標

目的に応じたデータをちゃんと蓄積していかないといけない

森谷「ECサイト以外にも最近のデータ活用の事例はありますか?」

秋田「その他の事例ですと、有料放送を行うWOWOW様ですね。WOWOW 様ではすでに『WOWOWDMP』という独自のDMP(※5)を構築されていました。これは、WOWOWオンデマンド視聴履歴、Webサイト 閲覧履歴、アンケート回答情報などのデータを統合・蓄積するためのデータ基盤です。このWOWOWDMPをもっと活用できないか、というご相談を弊社にいただき、一緒に取り組んでいます。」

森谷「どういった取り組みをされているんですか?」

秋田「WOWOW様ではすでにWOWOWDMP上のデータを掛け合わせて『会員一人一人が、どの番組ジャンルを、どれぐらい好きなのか』を定量的に示す指標が考案されており、その指標を『熱量』と名付けていました。様々な施策によってこれを高めてゆき、やがて『偏愛』と呼べるレベルにまで到達させることを目的に、取り組みを行っています。」

森谷「熱量!偏愛!とっても面白い指標ですね。具体的にデータをどう蓄積し、活用していっているのですか?」

秋田「例えばWOWOWDMPのデータを分析すると、テニスに関して一定以上の 『熱量』を持つ会員を特定することができます。その会員に向けて、テニス関連の番組情報やWebコンテンツ情報をタイムリーにメール配信することで、テニスへの熱量を高めていく。あるいは『テニスが好きな会員はサッカーにも興味を示しやすい』という傾向をデータが指し示せば、該当の番組情報をメール配信し、テニス以外の『偏愛』対象を増やすことにもトライする。そして、メールに対するリアクションをWOWOWDMPに還元すればデータはさらに厚みを増し、会員の嗜好をより精緻に把握できるようになる。これらのデータは次に配信されるメールだけでなく、解約防止のためのサービス展開や、オリジナルコンテンツの制作にも活かすことができます。」

森谷「リアルな店舗で対面接客すると、お客様の求めているものが感覚的に掴め、お客様個人に合わせた商品をおすすめできる。これまで非対面ではできないと思われていた、そういった接客がデータの活かし方次第でできるようになったんですね」

秋田「そうですね。そのためにもデータをどう活用したいかを明確化し、目的に応じた良質なデータを集めることが求められていると思います」

※5=データマネジメントプラットフォーム(Data management platform)の略。インターネット上の様々なデータを蓄積する仕組みのこと。

後編ではお店で販促するうえでデータをどう活用すべきかを語ります。


取材協力

株式会社ブレインパッド
2004年創業。ビッグデータ活用やデータ分析を通じて企業の経営改善を支援するデータマーケティングのリーディングカンパニー。
https://www.brainpad.co.jp/

【販促dig!!】
第1回・前編 リアル店舗の販促にも活きるデジタル販促の「今」とは? デジタルを使った販促の可能性を探る
第1回・後編  「このお店をリピートしたい」と思わせるためのデータ活用方法とは? デジタルを使った販促の可能性を探る

あなたに合った集客方法をご提案します

ページトップへ