コラム 販促・集客
【販促dig!!/第2回】令和時代をサバイブできる販促の新常識とは? 小売業販促の課題と解決策(後編)

2020年06月03日
※掲載内容は公開日時点の情報です。現在と異なる場合がございます。
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時代の流れと共に変容していく「販促」の在り方。しかし、何が正しいのか、未来はどう進むかの答えは掴みにくいものです。そんな疑問の答えを探るべく、販促の最前線にいる有識者を招き入れ、幅広い視点から「販促」をテーマに対談形式で語りつくす本連載。

第2回のゲストは、共に凸版印刷で「販促」に携わるお2人です。販促支援システム「PROMO CORE」の担当であり、デジタル基盤の整備を担当する積田明典さん。ホストを務めるのは元スーパーの販促部や現場の副店長を経験の後、電子チラシサービス「Shufoo!」の拡販を担当する矢野剛秀さん前編では小売業の販促が抱える課題について語りましたが、後編では課題解決を深堀りしていきます。対談を通じて見えてきた解決策、そして実現した先に待ち受ける明るい未来とは⁉

小売業界もデジタル化を推し進める必要がある、という認識をスピード感をもって実行に移すべき

▲左からゲストの積田明典さん、ホストの矢野剛秀さん

矢野剛秀さん(以下、矢野)「小売業の販促部門の問題として、情報管理システムのデジタル化の完全移行が進められていないと前編でおっしゃっていましたが、その課題解決はなんだと思われますか?」

積田明典さん(以下、積田)「情報管理システムをデジタル化するためには、デジタル化できるシステムを社内に導入すればいいというのがシンプルな答えなのですが・・・」

矢野「それを導入させるために周囲を説得するのが大変」

積田「そうなんです。とりわけ小売業界は販促部門のデジタル化が遅れており、デジタル化を推し進める必要があるという認識を社内で持ってもらうことが関門。課題を共有し、目指す形を共有する。その意識を持つと必然的にデジタル化できるシステムを社内に導入する流れができます」

矢野「私自身、スーパーで販促部や現場で副店長をしていた経験があり、小売業界にいた実感では、小売は長くアナログな販促を中心に行ってきた成功体験から、デジタル化を進めようという考えが強くないので、抵抗感があります」

積田「それは理解できるのですが、人口が減少し、働き手が減る中でデジタル化を進めないと業務が回っていかなくなる。例えば店頭に置いてあるPOPを手書きするお店も多く、もちろん良い点もありますが、それをデジタルで表示できれば手で書く作業が減るので、人手不足も補える」

矢野「デジタル化できるシステムを導入すると決定した際に、どう導入するかの問題も起きますよね?」

積田「はい。重要なのは会社全体で販促情報が共有できるシステムを導入することです。1つの部署だけで完結するシステムを導入してしまうと、1つの会社に複数の販促情報共有システムが存在してしまう。システムを導入する理由は、会社全体で販促情報を共有することなのに、それでは元も子もない」

矢野「情報共有するべき理由は、店頭やECなど売る場所が複数になっている中で、消費者がどの場所で購入しても同じ情報を得られるようにしないといけないから。店頭の商品とECの商品の情報が違っていては、消費者はどちらの情報を信頼していいのか困ってしまいます。さらに、小売業界では、チラシやオウンドメディアなどオフラインからオンラインまで商品の価格や情報を発信する場が多岐にわたるにようになってきています。」

積田「なので情報管理の場所を一元化しておくことが大事だと認識してほしいですね。情報を入れる箱は1つにしないといけません。そしてそこにあらゆる正しい情報を入れることも大事。いま、Shufoo!などの電子チラシやオウンドメディア、Twitterなど情報を配信する先は増えていますよね。もし情報の入手先が複数あると、オウンドメディアに掲載するための情報を手に入れるためにAの部門へ行き、Twitterに投稿するための情報を手に入れるためにBの部門に行く、というように作業が増える。でも情報を引き出す場所を一元化していれば、情報入手の作業は1回で済む。業務の効率化が行なえます」

矢野「5人でしていた仕事を2人でできれば、残りの3人には別の業務を任せることもできますよね」

社内の情報管理システムを一元化することはお客様にとってもメリットである

積田「こう言ってはなんですが、販促システムを導入することで、どんな費用対効果が得られるのかを説明するのは結構難しいんですよね。システムを導入すれば勝手に効果が出るのではなく、そのシステムを使って、部門間にまたがるこの販促課題を解決しましょう、という意識を社員全員が持たないといけない。そういう意識改革があって初めて大きな効果が出て来る。」

矢野「実は私がかつて所属していた小売企業では各部門の思惑がぶつかって、販促情報管理システムの一元化が進まなかった。何度かの挫折の後、最終的には導入できたんですけどね。」

積田「どういう経緯で導入を実現させたんですか?」

矢野「トップを説得してトップが音頭を取ったことで実現できました。おかげでECビジネスに着手する際もスムーズに進められました。例えば、欲しい商品情報を手に入れる先が分かるので、情報を探す手間が省けるといった業務効率の向上ができました」

積田「素晴らしい経験ですね」

矢野「販促情報管理システムを一元化したことで、会社がうまく回ったと身をもって感じましたね。そして一元化を推し進めたら、それぞれのお客様が欲しい情報をお店が提供することができる。例えばスマホでECを見ていたコーヒー好きなお客様がいて、そのお客様に紅茶の情報を提示していたら、そのお客様の欲しい情報を提供できていない。『このお客様はコーヒーが好き』という情報を一元化して管理していれば、コーヒーをキーに様々な情報を提供することができる」

積田「お客様にとってよりよい未来ですね。そのためにも、情報の一元化を進める必要がある。宣伝になりますが、弊社では『PROMO CORE』という販促業務を合理化するシステムを作っています。社内にいる全員で情報を共有できるクラウドなのですが、これを使ってデータを共有し、販促に活用してほしいと思っています」


取材協力

凸版印刷株式会社
世界最大規模の総合印刷会社。昨今では販促支援システム「PROMO CORE」の開発・販売をするなどデジタル技術を使ったビジネスを推し進めている。
https://www.toppan.co.jp/


【販促dig!!】
第1回・前編 リアル店舗の販促にも活きるデジタル販促の「今」とは? デジタルを使った販促の可能性を探る
第1回・後編  「このお店をリピートしたい」と思わせるためのデータ活用方法とは? デジタルを使った販促の可能性を探る
第2回・前編 情報のデジタル化を進める必要があるのか?小売業販促の課題と解決策
第2回・後編 令和時代をサバイブできる販促の新常識とは? 小売業販促の課題と解決策
第3回・前編 リテール変革プロフェッショナルとしてのキャリアと人生のパーパスとは?
第3回・中編 コンビニは店舗スタッフこそが源。だからマーケティングは社内外で同じくらい力を入れる
第3回・後編 「日本に足りないのはX。本気の変革です
第4回・前編「KPIより”儲かり続ける仕組みづくり”にコミットしたい
第4回・後編 デジタル化の中で、リアル店舗の価値を再定義して資産に変えることが大事
第5回・前編 リテールのCMOを志したきっかけはコカ・コーラ
第5回・後編 「リテールマーケティングは一般的な手法が通じないから面白い
第6回・前編  人を巻き込むスペシャリスト
第6回・後編 週刊ウェビナーは前例がないからやった

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