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~スーパーマーケット元副店長が語るシリーズ①~ 【スーパー】あるテクニックを使えば、いちご大福が10倍売れる!買上点数を上げる秘訣特別大公開
目次
売上を上げる売場づくりのテクニックや裏話など、スーパーマーケット元副店長が語るシリーズをお届けします。シリーズ第一弾は「買上点数を上げる」テクニックです。売場を変えるだけで、10個しか売れなかったいちご大福が100個売れる!?そのテクニックとは?
<Y氏プロフィール>
1993年某スーパーマーケット入社。主に本社のセールスプロモーション部で活躍された後、店舗にてその知見を活かした店舗づくりや販促を実施。画期的でユニークな手法を駆使され成果をあげられました。
本社勤務時は、朝ネットで注文すると夕方届く“ネットスーパー”を立ち上げ、大ブレイクを起こします。またShufoo!(シュフー)を導入し、店舗ページからチラシを確認できるように整備。2010年には、いち早くスマホ公式アプリをリリース。 長期に渡り会社のIT事業に携わり実績を残した後、2016年、副店長として店舗へ配属。ITやマーケティング戦略の知見と、パートナー社員の知見を最大限に活かし、さまざまな取り組みを実施しました。
自分たちのお店は自分たちで作る!
そう熱く語るのは、今回お話を聞いたスーパーマーケット元副店長のY氏。スーパーでは、本部主導の陳列台帳をベースに売場作りをすることが多いなか、Y氏のお店では自店のアイデアで様々な売場作りをされてきました。
大型商業施設に併設されたスーパーで副店長をしていました。お客様としては、近所にお住いのご家族や他のテナントで買い物をしたお客様が寄ってくださることが多かったですね。ただ、すぐ近くに700世帯のマンションがあったのですが、杭に欠陥が見つかり、取り壊すことが決まったんです。そこからのお客様だけで年間5億の売上がありましたので、お住まいの方の退去後には売上が5%落ちることは確実だと言われていました。その減ってしまう売上をなんとか他の方法で売上をつくるにはどうしたらいいのかを模索する日々でした。
通常スーパーでは、本部から陳列台帳が渡され、そこにある指示書に従って売場作りをすることが多いのですが、よくあるのは「1個160円の商品を2個まとめて買うと300円で20円お得」というような、いわゆる“まとめ買い”が多いんですよね。これだけだと買上点数を増やすのはなかなか難しいことが現状です。
私がいた店舗は大型商業施設に入っていたので、その他のテナントで買い物したお客様が最後に寄っていただくことが多いのです。そんな“一見さん”にも買っていただけるような、衝動買いを誘うイベント的な売り方が必要なんですね。
そんな中、ヒントをくれたのは、主婦を中心とするパートナー社員の方々でした。実は、パートナー社員が主婦の生の声を一番よく知っているんですよね。私は副店長として、総菜の味見などをすることも多かったのですが、その際にちょっとした料理のコツや簡単レシピなどをパートナー社員からよくおしえてもらっていました。そんな日常会話から生まれるアイデアを「売場作りに活かせる!」と気づき、積極的にパートナー社員の意見を売場作りに反映することにしました。パートナー社員は宝。お店の財産です。
「パン売場にあるイングリッシュ・マフィンはどのように食べていますか?」―意外なアイデアとお客様が求めるもの―
スーパーの店頭には非常に多くの商品が並びます。お客様にとって、その中から商品同士を組み合わせて食卓のメニューを考えるのは、大変なんですよね。そのため、「こんな食べ方もありますよ」「こんな商品もありますよ」と新しい気づきをお客様に与えることが買い物点数を増やす上でとても重要なのです。
①自宅で朝マッ○!? -再現メニューの提案-
「パン売場にあるイングリッシュ・マフィンはどのように食べていますか?」
そんな質問をすると、多くの人は「トーストしてバターを塗って食べる」と答える方が多いと思います。実際、売場でも単品での購入が多い商品のひとつでした。
パートナー社員に食べ方を聞いてみたところ、「ソーセージポークパティをはさんで食べるとおいしいですよ。」とおしえてくれました。あの人気ファストフード店の朝メニューでおなじみの「ソーセージマフィン」ですね。
そこで、パン売場ではなくソーセージポークパティが売られる冷蔵コーナー横にイングリッシュ・マフィンを置いて食べ方の提案したところ、通常時の2倍の200個が1日で売れました。売場でお客様の動きをじっと見ていたのですが(笑)、増えた100個はソーセージパティの売場からお客様が買い物カゴに入れたものでした。
②いちご大福は○○売場で売れ!-連想を誘発-
商品によっては、同カテゴリの売場よりも他に活躍の場があることもあります。
例えば、いちご大福ってどこの売場にあるイメージをおもちですか?
だいたいは和菓子売場に置いてありますよね。実は和菓子売場より売れる場所があるんです。それはどこかというと、フルーツ売場なんです。
お客様がいちご大福を求めるときの心理を考えると、おそらく「和菓子が食べたい」と思って和菓子売場へ足を運ぶことは少ないのではないかと思うのです。むしろ「苺が食べたい、でも苺は高い、じゃあ手頃ないちご大福を食べるか」などというような感覚で、いちご大福を手に取るのではないかと考えました。
そこで、フルーツ売場にある苺の傍にいちご大福を置くようにしたところ、いちご大福が通常時の10倍以上の100個が売れました。これもパートナー社員のアイデアです。フルーツ売場は入り口付近の一番目に入りやすいところに位置していることも大きな要因だといえます。
③こんな食べ方もあったんだ!-「タコとキュウリのキムチ和え」で“キムチの素”を売る-
まだまだあります。“キムチの素”の使い道って、だいたい鍋や白菜キムチを作るイメージですよね。これは新しい食べ方の提案なのですが、キュウリを手でちぎってキムチの素に混ぜ、そこにタコも加えて和えるとお酒のおつまみにもなり、とっても美味しいんです。辛いのが苦手な方はキムチの素の代わりに“浅漬けの素”でも同じことができます。
キュウリのシーズンにキムチの素とレシピカードを一緒に置いて提案したところ、キュウリは通常1日100本ほどの売れ行きなんですが、なんと10倍の1,000本にまでに増加しました。タコは高価品でもあり通常1日10パックほどの売れ行きですが、こちらも40パックまで増加。キムチの素にいたっては、通常1日5本程度だったのが100本も売れました。3つ全て購入すると1,000円くらいになるので、客単価もあがり、非常に良い施策となりました。
売場での提案力の底力をみせていただいたようなクロスマーチャンダイズのアイデアの数々いかがだったでしょうか。
お客様が商品を手に取る時の心理や背景を想像し、どんなふうに商品と出会わせるかを演出することで、お客様にとってはいつもの食卓に新鮮味を家族に提供することができ、店舗にとっては売上をあげることができるというWin-Winの状態をつくることができるのです。
その着想は、地域の主婦でもあるパートナー社員。彼女たちは自分たちのスーパーで買い物をし、普段から様々な工夫をして調理しています。彼女たちとの何気ない会話やレシピアイデアから、売上をつくる提案型の売場が生まれてくるのです。 売場をまたいだクロスマーチャンダイジングを実現するのは、各売場のみでの実現は難しく、横断的な施策を実現できる店長、副店長の役割のひとつだと思います。「自分たちのお店は自分たちで作る!」そんな気持ちで、店舗全体で取り組んでいただけたらと思います。
<大手スーパーマーケット元副店長が語るシリーズ これまでの記事はこちら>
その1 テクニックを使えばいちご大福が10倍売れる!買上点数を上げる秘訣
その2 スーパーマーケットの”売れる”売り場作りのコツは『爆速レシピ』で攻めろ
その3 折込みチラシでは到達しない層へはネット(デジタル)で情報配信がカギ
その4 パートナー社員の力を最大限に引き出すコミュニケーション術とは?!
その5 Beaconで販促効果の見える化「このチラシを見てきた来場者は〇人」
その6 制作費0円!所要時間10分!スマホで作るハイクオリティなPOP制作のススメ
その7 新商品(製品)の仕入れは「賭け」に勝とう!
その8 催事・イベント企画の成功に欠かせない、重要な2つの要素
その9 未来予想シリーズ/アメリカ発ブラックフライデーは日本に根付くのか?
その10 【スーパー】発注ミスに配達ミス…その時、失敗をどうリカバリーしたか?
その11 少子高齢化は商機!プロモーションを拡大し変化し続ける店が勝つ